2019.03.15 update
クリーンな再生可能エネルギーで、電動バイクが走る島!
風力発電の余剰電力を有効活用する実証実験がフィリピンで稼働開始。
2019年2月10日、フィリピンのロンブロン島で株式会社駒井ハルテックが設置した風力発電機とHondaの着脱可能な可搬式バッテリー「Honda Mobile Power Pack」、充電ステーション「Honda Mobile Power Pack Exchanger」、電動バイク「PCX ELECTRIC」の運用開始を記念するセレモニーが開催されました。ディーゼル発電に頼るロンブロン島に風力発電のクリーンな電気を供給し、その余剰電力をモバイルバッテリーに蓄え電動バイクを走らせる。島のエネルギーリスクへの対応とCO2排出量の低減に貢献できるこの実証実験を通して、Hondaは豊かな暮らしの実現を目指します。
2019年2月10日、フィリピンのロンブロン島で株式会社駒井ハルテックが設置した風力発電機とHondaの着脱可能な可搬式バッテリー「Honda Mobile Power Pack」、充電ステーション「Honda Mobile Power Pack Exchanger」、電動バイク「PCX ELECTRIC」の運用開始を記念するセレモニーが開催されました。ディーゼル発電に頼るロンブロン島に風力発電のクリーンな電気を供給し、その余剰電力をモバイルバッテリーに蓄え電動バイクを走らせる。島のエネルギーリスクへの対応とCO2排出量の低減に貢献できるこの実証実験を通して、Hondaは豊かな暮らしの実現を目指します。
ディーゼル発電に頼るフィリピン ロンブロン島が抱えるエネルギー課題。
ロンブロン島は、フィリピン共和国を構成する小さな島々のひとつです。マニラなどの大都市から遠く離れ、周囲を海によって隔たれたこの島に、大規模な発電施設でつくられた電気は届いていません。島で使用される電気は、島内に設置されたディーゼル発電機によってつくられています。
そのディーゼル発電に必要な燃料は船による輸送に頼るしかなく、海が荒れて輸送船が欠航となれば島に燃料が供給されなくなるなどのエネルギーリスクを背負っています。加えて、ディーゼル発電には一般的に発電時のCO2排出量が多く、環境負荷が高いというデメリットがあります。
エネルギーリスクの対応とCO2排出量の低減を目指す実証実験が回り始める。
このようなエネルギーの課題を強く認識していた現地のロンブロン電力組合(Romblon Electric Cooperative, Inc.:ROMELCO)(以下、ロメルコ)、株式会社駒井ハルテック、そしてHondaが共同でロンブロン島で始めた実証実験※の、稼働開始を記念するセレモニーが2019年2月10日に開催されました。
島内で稼働している実証実験のシステムは、Hondaが提案する“電気の「つくる・つながる・つかう」”のコンセプトを現実のものにしています。
ロンブロン島の豊富な風力資源を活用し、エネルギーの地産地消を可能にしている風力発電。CO2を排出することなくつくられた風力発電の余剰電力を、Hondaが島内に設置した充電ステーション「Honda Mobile Power Pack Exchanger」につなげ、着脱可能な可搬式バッテリー「Honda Mobile Power Pack」に蓄えます。そしてこのバッテリーを動力とした約100台の電動バイク「PCX ELECTRIC」が、島民の足としてつかわれています。
風力発電の導入でエネルギーの地産地消ができるようになったことは、エネルギーリスク対応の一助になっています。
さらに、「PCX ELECTRIC」はガソリンをつかわず、走行中にCO2を排出しません。このバイクが、再生可能エネルギーで作ったクリーンな電力で走ることで、更なるCO2排出量の低減が可能になります。
このような実証実験を行う意義について、Hondaエネルギービジネス開発部 岡本英夫 部長が語りました。
「今回の実証実験は、再生可能エネルギーを利用して電動バイクを走らせるという、まさにHondaの目指す将来像です。しかもロンブロン島のような、電力や燃料に対してリスクを抱える地域でそれを実証する。これは非常に意義のあることであり、今日の天気のような素晴らしい青空を未来の子どもたちに残したいという、Hondaのグローバル環境スローガン『Blue Skies for Our Children』の実現につながる取り組みだと思っています」。
ロンブロン島でクリーンなエネルギーの地産地消を実現する風力発電機を設置した(株)駒井ハルテックの田中進 代表取締役社長が、島に設置した理由をこのように説明します。
「この実証実験は、当社の風力発電機3基をロンブロン島に設置して再生可能エネルギー由来の電気を島民のみなさんに供給しながら、エネルギーリスクの低減に貢献していくというものです。海外の離島では初めての試みですが、この取り組みが1つのモデルケースとなって、他の島のエネルギー課題の解消に少しでも貢献できるようになればと考えています」。
- ※
- 環境省の補助事業「平成29年度~30年度途上国向け低炭素技術イノベーション創出事業」に採択されています。
”Blue Skies for Our Children“豊かで持続可能な社会の実現に向かって。
実証実験の稼働開始を記念したこのセレモニーには、Hondaや(株)駒井ハルテック、ロメルコをはじめ実証実験に関わる企業や団体、島内の自治体などから約200名が出席。各企業・団体の代表によるスピーチに続いて、風力発電機の前でテープカットや記念碑の除幕式も行われました。
盛大に行われたこのセレモニーは、今回の取り組みに対するロンブロン島の歓迎ぶりを表しています。
「『Honda Mobile Power Pack』、『PCX ELECTRIC』が導入され、島民のみなさんが喜んでいる姿を見られたことはとても喜ばしいことです。また、島内に再生可能エネルギーを利用する風力発電機が設置されたことで、停電のリスクは今までよりも減るはずです。今後、島民が安心して生活できるだけでなく、観光客も安心してこのロンブロン島を訪れることができるようになるでしょう」。
島の発展を願うマリアノ M.マテオ ロンブロン市長も、実証実験に対して多方面からの効果を期待していました。
この実証実験の中でHondaは、“電気の「つくる・つながる・つかう」” のコンセプトが現実のものになったとき本当に生活に浸透し、実際に島民に喜ばれるシステムであるのかを検証しながら、使用状況のデータを活かして今後の運用や開発に役立てていきます。また(株)駒井ハルテックもこの実証実験の知見を活かし、風力発電を導入する上で課題となっている超大型台風にも対応できる風力発電機の開発を進めていきます。実証実験での検証が進めば、ロンブロン島に限らず他の地域でもエネルギーリスクゼロと、CO2フリー社会を実現することが可能になるでしょう。
「Blue Skies for Our Children ~子どもたちに青空を~」
未来を担う子どもたちに素晴らしい青空を残したい。美しい青空の下を走る喜びを未来に伝えたい。
この気持ちを胸に、実証実験を経たその先、Hondaが掲げる「すべての人に生活の可能性が拡がる喜びを提供する」ことを目指して、取り組みを続けていきます。
(取材日 2019年2月10日)