二輪事業統括部 営業部 営業一課
期間従業員として、本田技研工業株式会社 入社
生産本部 埼玉製作所 寄居完成車工場 寄居化成モジュール 払い出し工程担当
正規登用後
生産本部 埼玉製作所 寄居完成車工場 寄居化成モジュール 生産ロボットオペレーター担当
ライフクリエーション事業本部 購買企画部 コスト管理課 電装部品担当
二輪・パワープロダクツ事業本部 二輪事業統括部 営業部 営業一課 北米Gr American Honda担当
私はフィリピンの出身で、16歳のときに始めて日本を訪れました。母が日本で働いており、もともと3カ月ほどの滞在でフィリピンに戻る予定でしたが、想像以上に居心地がよく、そのまま日本に残りました。日本の魅力はいたるところにありますが、人の優しさと礼儀正しさに何より感銘を受けました。
日本の高校を卒業し、専門学校を経て、空港で働き始めました。私はランプコーディネーターと呼ばれる地上スタッフとして、フライトを定時に出発させるために、各部署やパイロット・乗務員と連携しながら細かな調整を行い、飛行機の安全な運航を支える仕事をしていました。母の勧めもあり空港で働き始めたものの、昔からクルマが好きだったので、本当はクルマに関わる仕事がしたいと心の奥底で考えていました。自分のやりたいことに近い仕事を探す中、未経験でもチャレンジできる期間従業員の募集を見つけました。数ある自動車メーカーのなかでHondaを選んだ理由はごくシンプルで、CIVIC TYPE RやNSXが好きだったから。こうして、私のHondaでのキャリアがスタートしました。
1年の期間従業員を経て、部門の推薦を受け、正社員になりました。本来、期間従業員は決まったラインを担当しますが、私は自分の担当以外の工程にも興味があり、「やらせてほしい」と意向を伝え、率先して各工程を担当させてもらいました。全体をぐるぐるとまわるうちに、気づいたらオールラウンダーになっていて、「困ったらラルフに任せよう」といった空気ができていました。頼ってもらえるほどに成長でき、評価をしていただけたことが、正規登用につながったのかもしれません。
その後、上司の勧めで購買部に異動しました。工場の仕事とは畑違いで不安もありましたが、部品価格の調整次第で、製品の販売価格が安くもなるし高くもなる、それはやがてお客様の購買欲を左右し、ひいては会社の利益に影響を及ぼす・・・と考えたとき、自分の役割の重みを感じ、経営視点で考える面白さに気づくことができました。
ターニングポイントになったのが、コロナ禍での出来事です。当時、住んでいた場所と勤務地が離れていて通勤の便が悪く、カブを購入しました。単なる移動手段で乗り始めましたが、思いのほか楽しく、クルマばかりで生活していた自分でもびっくりするくらい、関心の矢印が一気に二輪へ向かいました。もっとバイクを楽しみたいという想いから、中型免許を取得し、仕事でも二輪に関わってみたいという気持ちがどんどん強くなっていきました。
Hondaには「社内チャレンジ公募制度」という、社内のさまざまなポジションに対し、異動の希望を出せる制度があります。興味が二輪に傾くなか、二輪営業部で、海外営業ポジションの応募を見つけました。「社内チャレンジ公募制度」は魅力的な制度ですが、他の部署へ異動することで生じる影響も加味する必要があります。迷った結果、思い切って周りに相談したところ、上司から「若いうちはいろいろ経験したほうがいいよ」と言ってもらい、同僚も「チャレンジしなよ」と背中を押してくれました。そうして二輪の部署に異動し、今に至ります。
自分自身の夢や実現したいことの達成に向け、全社員の更なるチャレンジ意欲・モチベーションの高揚を喚起するとともに、企業活力の更なる向上を目的とした制度。応募者は、書類審査・面接をクリアすると、希望の部門・業務に就くことができる。
現在の主な仕事は、米国現地法人アメリカン・ホンダモーターとの営業窓口です。アメリカ側からの車両オーダーを受け、販売目標や実績に基づいた生産台数の調整や、卸値、販売台数のコントロールをしています。本社には本社の考えがあるように、販売現場のアメリカにも、生産現場の熊本にも、タイにもそれぞれの思惑があります。単にこちら側の要望を伝えるだけでなく、各拠点の文化やルールを理解したうえで、互いに有益な提案をする必要があり、常に相手の立場や考えを尊重しながら、交渉するよう心がけています。
こういった仕事ができているのは、英語を活かせている側面もありますが、根底には二輪が好きという気持ちと、一緒に働く仲間の役に立ちたいという想いがあるからです。Hondaには「人間尊重」のフィロソフィーがあり、上下関係にとらわれることのない腹を割ったコミュニケーションが重視され、ボトムアップの意思決定も頻繁に行われます。Hondaに入社してから、自分が外国人として働いているという感覚は全くありませんし、周囲はいつでも平等に接してくれます。そういう土壌があるので、私自身も誰に対しても平等で、「人間尊重」の価値観を大事にしていきたいと考えています。
Hondaは、やりたいと手を挙げれば、必ずチャンスがある会社です。工場勤務のときから今日に至るまで、本当にいろいろな現場で多くの経験をさせてもらいました。「現場・現物・現実」に重きをおく三現主義に共感し、やりたいことに果敢に挑戦できる会社だからこそ、今の自分があります。今後、挑戦したいことは、モータースポーツ関連の仕事に携わることです。そして、少し先になるかもしれませんが、日本以外の現場でもグローバルに活躍し、二輪事業全体に貢献したいです。
生産や営業の現場に行き、現物や現状に触れ、現場で現実を知って得た情報を用いて現実的な評価・判断を行うこと。創業者本田宗一郎の時代から受け継がれる重要な考え方で、3つの「現」を重んじる行動における心構えを指す。
社内のレースチームに所属し、週末はサーキットにいることが多いです。ライセンスも取得しました。もっぱらメカニックの勉強中ですが、ライダーとしてレースに参加してみたいという野望もあります。私がレースに参加することで、二輪に興味をもつ後輩が一人でも増えてくれたらな、と淡い期待を抱きつつ、練習に励んでいます。
※取材内容、および登場する従業員の所属は取材当時のものです。