社内の化学反応を、社外へ。——HTFが「オープンフォーラム」に踏み出した意義

次世代BEV研究 イメージ

2025年、HTFは初めて外部研究者を招く「オープンフォーラム」を実施しました。
“社内で磨いてきた議論”を、どこまで外へ開くのか。
機密という現実と向き合いながら、それでも一歩を踏み出したのはなぜか。
この企画を主導した先進技術研究所 知能化領域の安井裕司さんは、こう語ります。
「先生たちとガチでディスカッションすれば、次のステップが見えてくる」。

HTFは「単なる発表会」ではなくなってきた

安井:「正直、びっくりしました。こんなことになるなんて。8年前、私が関わり始めたころは、セッションも少なくて…」 それでも、少しずつ仲間が増えた。個々の技術への質疑応答から始まった議論が熱を帯び、「これは聞きたい」「ここは議論したい」と、領域が広がり、対話の密度が上がっていった。

安井:「単なる社内の発表会じゃない。もっと深くて熱い議論が繰り広げられるようになって、将来の技術戦略みたいなものまで話し合える場になってきたんですよね。」

だからこそ次は、社内だけで完結しない問いを増やしたい。
外の知を入れて、議論の解像度をもう一段上げたい。
それが、オープンフォーラムの出発点だった。

機密がある。それでも「開ける範囲」を精密に作る

外部へ開く——言うのは簡単ですが、企業研究には機密がある。
オープンフォーラムは、ここを曖昧にしません。
“全部を開く”のではなく、開ける範囲を設計して成立させる。

安井:「うちはどうしても機密があるので、出せるものは限られる。でも、出せるものが“ゼロ”じゃないのも事実なんです。だったら、公開できる内容に限定した枠をきちんと作る。それだけでも、共同研究のきっかけになると思ったんです。」

安井:「『そんなことしてたんですか』ってなると、そこからどんどん、次のステップが見えてくるんです。」

「開く」とは、無防備になることではない。
守るべきものを守りながら、未来を増やすために開く。
そのバランスの取り方に、Hondaの研究の現実味が出ます。

「次のステップが見えてくる」——本気の議論が連携を具体化する

オープンフォーラムの狙いは、名刺交換ではありません。
“本気の議論”で、共同研究の輪郭を割り出すことです。

安井:「学会で顔を合わせていた先生でも、実は“その先生が何を深くやっているか”って、案外知らないことがあるんですよ」

そこで腹を割って話すと、関係が“繋がり直す”。
会話の解像度が上がるほど、「次に何を一緒にやるか」が具体化していく。

安井:「『そんなことしてたんですか』ってなると、そこからどんどん、次のステップが見えてくるんです。」

議論が深くなるほど、次の一手が現実の形として見えてくる。
オープンフォーラムは、その確率を意図的に上げる装置になっています。

外の反応が、Hondaの研究における“芯”を可視化した

もう一つの成果は、「Hondaが何を積み上げているか」が外に伝わったことです。

安井:「Hondaがここまで深く研究していて、社内でカンファレンスとして回している。その取り組み自体が、先生たちには驚きだったみたいで。僕らが“製品開発のためだけ”にやっているんじゃなくて、深い研究をやった上で出しているんだ、というのはかなり伝わった感覚があります。」

企業研究は、ともすれば「製品のための研究」として見られがちです。
でもHTFは、研究を研究として回し、その上で社会実装へつなぐ。
その芯が伝わったこと自体が、次の連携の土台になります。

社内の熱が、社外の加速へ。日本全体の駆動力へ

安井:「これは続けるべきだと思っています。領域も、もっと広げたほうがいい。社内で起きていた化学反応が、社外とつながると、研究の速度も方向性も変わっていくはずなので。こうして広がっていくと、日本全体の研究の流れを動かす駆動力になる可能性だってある。そこまで行けたら、すごく面白いですよね。」

オープンフォーラムを、“新企画”で終わらせるつもりはありません。
今回の経験を通じて得られた手応えや課題を、参加者や関係者の声とともに受け止め、来期に向けて磨き込んでいきます。
社内の化学反応を、社外へ。——その先に、研究も人も。さらに加速していきます。