新規Web掲載論文(要旨)

新規Web掲載論文(要旨)

福祉車両の貢献度合いを測定する尺度
要旨

福祉車両を通じてお客様の社会活動の充実に寄与することを目指し,貢献状況の把握や価値の発信ができるよう貢献度合いを定量的に表す手法を検討した.貢献度合いは福祉車両を継続して使用した後のお客様個人の社会活動の活性化度合いとし,17項目の設問アンケートを5段階評価で回答することで活性有無を判別する尺度を構築した.身体が不自由なドライバーと介護に関わるドライバーを対象に,構築した尺度を用いて社会活動の活性化度合いの予測性について統計検証をおこなった.その結果,正解率はそれぞれ0.825および0.846と高い精度で予測できることを示した.本研究で構築した尺度は福祉車両の貢献度合いを定量的に表せることを確認した.

遠藤 有紗、小山 俊博、角南 圭一、五味 哲也

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Pix2Pix GANを用いたサイドミラー周り流れ場短時間予測ツール
要旨

開発初期におけるサイドミラーのデザイン方向性を検討するため,深層学習モデルの一つであるPix2Pix GANを採用して,流れ場を短時間かつ十分な精度で予測し,出力までの操作が容易なツールを構築した.深層学習モデルによる予測時間の短縮に加え,計算負荷の高い形状認識のための符号付距離関数を省略して更なる短時間化を達成した.同時に少量の学習データでも予測精度を維持できるツールを構築した.さらに,ツールの操作画面においては,検証に必要な流体物理量の出力を最小限に絞り,入力から出力までをボタン操作のみでおこなえることで,設計者が使いやすいように工夫した.

橋本 拓郎、岡部 浩司、山戸田 武史、城戸 誉芳

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燃焼CFDによる副室ジェット燃焼を用いた大型二輪車用ガソリンエンジンの出力と熱効率改善の検討
要旨

大型二輪車用のビッグボアガソリン火花点火エンジンに対し全負荷出力向上と部分負荷熱効率改善を目的に,3次元燃焼シミュレーションを用いて燃焼方式の検討をおこなった.全負荷出力点においては,パッシブタイプの副室ジェット燃焼の効果を確認した.副室から噴出するジェットにより主室の乱流運動エネルギーが増加することで燃焼が高速化し,圧縮比を2.0高めることで従来SI燃焼に対して全負荷図示仕事が3.6%向上することを確認した.部分負荷においては,燃焼安定性向上をねらい主室サイドプラグ点火ののちに副室点火をおこなう副室ジェット2プラグ燃焼の効果を確認した.副室から噴出するジェットは,主室サイドプラグ先行点火による火炎面と接触することにより着火が促進した.これにより従来SI燃焼に対して部分負荷図示熱効率が1.7 Pt向上することを確認した.

安藤 博和、田仲 巧、富沢 健吾、井上 陽介

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LDHs構造を有するメタネーション触媒による耐水性向上の研究
要旨

合成メタン製造プロセスの高効率化を目指し,水蒸気とCO2の共電解反応から得られた合成ガスをメタン化する触媒を新たに開発し原料ガス中における水蒸気の許容割合,すなわち耐水性の検討をおこなった.流通法による活性評価の結果,層状複水酸化物を利用したNiAl-LDHsは0.1 MPa,300℃の条件でCOとH2からなる合成ガスからメタンを生成する際に高い触媒反応性を示す結果が得られた.また,共電解リアクタと組み合わせた合成メタン製造プロセスで懸念される水蒸気を含む合成ガスのメタン化反応を実験し,水蒸気が20%含まれる場合までは,含まない場合と同等のCO転化率とCH4選択率を維持し,従来の金属担持触媒に対して優位性をもつことを確認した.

米田 英昭、柳澤 和貴、飯嶋 洋平、吉田 潤平

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自動車の外板面ひずみを抑制する設計・製造・材料統合シミュレーション技術の開発
要旨

自動車の高意匠な外観デザインを実現するためには,従来製造工程で車体の外板表面のひずみが生じる場合があり,仕様の手戻りを伴う対策の必要があった.そこで開発段階においてひずみが目視確認できない仕様の成立性が予測できる設計,製造,材料の各要因を統合した新たなシミュレーション技術を開発した.
まず車体の設計出図前のモデルから製作所の製造工程(プレス成型,スポット溶接,塗装乾燥)を一気通貫してひずみを予測するデジタル開発のコンセプトを立案し,次に製造工程における蓄積したひずみを解析するシミュレーション技術を構築し,実機を用いて検証した.
そして本技術を新機種の開発運用ルールに導入することにより,長年未解決であった製作所ごとにおけるひずみの対策手戻りを抑制し,効率的な外板意匠面のデザインの実現が可能となった.

古沢 透流、豊岡 洋一、横井 栄一郎、高見 滋、内山 政夫、田中 義規

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曲率差分を用いた自動車の外板面ひずみの評価手法の構築と車体設計への適用
要旨

自動車の製造工程において発生する外板面ひずみを開発段階で予測するためには,人の目視検査と相関する定量的な評価手法が不可欠である.本研究では曲率差分を用いた定量的なひずみの評価手法を提案し,開発段階での予測シミュレーションによる仕様判定を可能にすることを目指した.曲率とは曲面の勾配変化率を指し,基準形状とひずみ部との曲率の差を曲率差分と定義することで,ひずみの程度を定量化できる.この手法により,外板面ひずみと目視評価との相関性について良好な一致が得られた.そこで設計段階のシミュレーションにおいて曲率差分を判定基準として取り入れることで,開発から製造現場に至るまで一貫した評価指標として活用が可能となった.本稿では評価手法の詳細と有効性について報告する.

豊岡 洋一、古沢 透流、横井 栄一郎、高見 滋、内山 政夫、田中 義規

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電動モトクロッサーCR ELECTRICの開発
要旨

モータースポーツなどのFUN領域で電動車両の新たな価値創出の一助となる,電動モトクロッサーCR ELECTRICを開発した.バッテリセルの選定と制御でのローンチコントロールとエネルギーマネジメントの仕様を構築したことで,モトクロスで求められる動力性能と航続距離を得ることができた.L字型バッテリパックの構築と,フレームボデーの剛性値を最適化し,CRF450R同等の完成車諸元を達成した.さらに400 V帯の高電圧パックの構築と冷却系部品を電動モトクロッサーに合わせて再構築したことで,各部品の小型化と軽量化につながった.これにより,走行時の軽快感,走破性,旋回性といった操縦安定性を得ることができた.

加藤 誠司、秋吉 洋行、北岡 惇、木下 雅之、古山 拓也

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リチウムイオン電池の耐久性能下限予測技術への拡散過程モデルの活用
要旨

リチウムイオン電池を搭載した製品の耐久テスト後の性能を保証するため,ばらつきを含めた下限値を予測するモデルを構築した.劣化の予測には,電池の耐久性劣化トレンドに乗算したランダム効果と時間に比例してばらつきが拡大する拡散過程の2種類の確率変数をモデル式に含めた.パラメータ最適化には,マルコフ連鎖モンテカルロ法を援用した最尤法を用いた.その結果,従来12か月分の実測耐久データで推測していた劣化の下限値を4か月分のモデル学習で導出できるようになった.さらに,予測された耐久テスト後の代表性能値と耐久中の性能ばらつきの二つの情報が必要だった下限性能予測を,提案モデルを用いることにより,一つの情報でできることを示した.

大道 馨、鈴木 琴音、長塚 豪己、安田 道洋

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小標本データの統計分析へのベイズ定理の適用
要旨

近年、機械製品に求められる高機能化に伴い、確率論的取扱いを求められる機会が増えている。このことは、機械製品の高機能化に伴い、万が一の事故時には結果も重大となる傾向があることと無関係ではない。高圧力のもとに貯蔵される車載型の複合材料水素タンクなどはその典型的な例であろう。例えば、G.W.Mairは規格策定の検討において、安全裕度の検討に、確率論的取り扱いを導入することを提案している(1)。筆者は、燃料電池車の複合材料水素タンクの安全規格の取り扱いで、GTR規格などで度たび議論のある確率論的扱いの考え方を紹介している(2)。この記事では、自動車分野外の立場から筆者がこれまで体験してきた信頼性設計の観点から、概要をとりまとめている。その中では、歴史的背景、手法の内容、メリットデメリット、他分野での活用事例、燃料電池車での活用の可能性、などについて言及した。これに引き続き、重要となるアクションは、わが国の現状に対して、具体的に確率論的扱いを適用した上で、破裂強度に対する安全裕度の根拠に基づく議論を開始することであろう。そのために、不可欠となるのが統計データの整理である。統計量の基本は、水素タンクの破裂圧力の平均値、分散などの基礎統計量である。しかし、水素タンクの破裂強度の基礎統計量を実験的に取得することは、コスト、労力の観点から容易なことではない。しかも、結果の重大性に鑑みてより高度の安全性が求められるということは、その発生確率が極めて小さいことを意味し、その意味でもサンプルサイズを大きくとることに困難が伴う。もし、膨大なデータ量を取得できるのであれば、いわゆる標本統計学に基づいて、母集団の基礎統計量を精度よく評価することもさほど困難なことではないかもしれない。しかし、複合材料水素タンクの場合は、サンプルサイズを大きくとることは期待できないとしたら、標本統計学の適用は一般に困難である。このような場合に、小標本の統計量の評価に効果的な、ベイズ統計学という考え方がある。例えば、プラントの圧力設備の検査をリスクに基づいて実施するリスクベース検査において、保全データの統計処理においてベイズの定理が活用されている(3)(4)。これは、保全データのサンプルサイズを大きくとれないことと関係している。本稿においては、ベイズの定理の基本的考え方から、例題、応用法、適用にあたっての注意点をまとめる。

酒井 信介

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戦略的カラーラインナップの実現
要旨

二輪車のカラーリングは,モデルのコンセプトや魅力を顧客に伝えるたいせつな要素であり,お客様の購買意欲に大きく影響する.著者はベトナム赴任時に,全モデルのカラーリングを俯瞰的に見直すことで,各モデルの個性を際立たせる「色戦略」を立案した.この「色戦略」に基づき,上位モデルがカラーリングのトレンドを発信し,エントリーモデルがそれを追従するという商品展開をおこなった.これにより,顧客に満足度の高い商品が提供できるようにした.ベトナムでの事例をもとに,日本の50 ccスクータにも「色戦略」を応用し,モデルごとのカラーリングを見直した.モデルごとに違うお客様それぞれに,満足度の高いカラーの選択肢を提供しつつ,ビジネス的な貢献度の高い商品展開を実現した.市場背景や生産工場の設備の違いなど,地域や市場によって条件は異なるが,「色」を切り口に機種のキャラクタを際立たせて,ラインナップとして最適を目指す「色戦略」は,さまざまなモデルの開発にも応用が可能である.

吉村 雅晴

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高速PIVを用いた時間フィルタ法による乱流成分の分離手法構築とハイブリッド用エンジン開発への適用
要旨

エンジン燃焼促進に寄与する乱流成分を分離する手法として時間フィルタ法を構築した.時間フィルタ法では流れの周波数特性が変化する周波数をカットオフ周波数としており,この周波数は燃焼室や吸気ポートとともにピストン形状により誘起される比較的大きな流れの時間スケールに相当することを確認した.さらに流れの積分時間スケールの逆数をカットオフ周波数とすることにより,カットオフ周波数を一義的に決定できることを明らかにした.吸気切り替えデバイスであるタンブルコントロールバルブを搭載した流動場へ時間フィルタ法を適用した.得られた乱流は実機の燃焼期間と高い相関性があり,分離手法の確からしさを確認することができた.時間フィルタ法を市販解析ソフトへ実装し,ハイブリッド用エンジンの開発へ適用した.開発初期仕様に対して吸気ポートとピストンの形状を変更した流動強化仕様では乱流が強化されており,急速燃焼を実現するための流動強化コンセプトを検証することができた.

大倉 康裕、瀬川 誠、鬼丸 裕美、佐藤 誓祐、浦田 泰弘

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V6エンジンにおける始動時エミッョン低減用HCトラップ材料およびHCトラップ触媒の検証
要旨

これまでの三元触媒システムでは浄化が難しいエンジン始動直後のエミッション低減を目的に,新しいHCトラップ材料とトラップしたHCを効率よく浄化するためのHC浄化触媒を組み合わせたHCトラップ触媒を開発した.HCトラップ材料としては,HC分子サイズに近い細孔径を有し,化学吸着を促進するイオン交換種の安定性を高めることでより高温までHCの吸着を可能とするゼオライトとして,Ag-CHAとCu-FAUを開発した.また脱離したHCを効果的に浄化するためにはHC浄化触媒層をHCトラップ材の上層に配置することが重要であり,HC浄化触媒にCeO2とZrO2を1:1で配合した酸素吸放出材料を加えることで,ストイキオメトリ条件下においても脱離したHCを浄化できることを明らかにした.このHCトラップ触媒は,フロア下部に配置したV6エンジンにおけるLA#4モードのエミッション試験において,エンジン始動時のHC排出量を約50%削減することができた.

竹折 浩樹、根本 康司、奥 裕希、生友 良平、中尾 圭太、碓氷 豊浩

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再学習を必要としないカスタマイズ可能なEnd-to-end音声認識の研究
要旨

本稿では,ユーザが任意に登録したフレーズに対する認識精度を改善するため,編集可能な用語リストを用いた音声認識モデルのカスタマイズ手法を提案する.提案手法では,従来のConnectionist Temporal Classification/attention型音声認識モデルにテキストエンコーダとCross-attention層を追加し,音声信号に含まれる登録用語を検出する.また,登録用語の認識精度向上のため,検出された登録単語の確率やConnectionist Temporal Classificationを統合した推論アルゴリズムを提案する.日本語の社内データセットおよび英語のLibrispeechコーパスを用いた評価の結果,提案手法の適用により,登録用語の文字誤り率と単語誤り率が改善した.

周藤 唯、Shakeel MUHAMMAD、住田 直亮

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モーターサイクル用Honda E-Clutchシステムの開発
要旨

マニュアルクラッチ操作無しで発進,変速,停止ができ,必要な際にはマニュアルクラッチ操作も可能なHonda E-Clutchシステムを開発した.既存エンジンに対してクラッチアクチュエータを追加し,クラッチ自動制御を実現した.またエンジン側クラッチレバーを3分割構造とし,ライダーのマニュアルクラッチ操作を適切に検知することで,クラッチ自動制御とマニュアルクラッチ操作のスムーズな切り替えも可能とした.これによりこれまで通りのマニュアルクラッチ操作を楽しむこともでき,一方でクラッチ自動制御でよりスポーティに,より楽に走行することも可能となった.本システムは搭載にあたって車両への制約を少なくし,幅広い車両に適用できる構成とした.

小野 惇也、竜﨑 達也、内藤 正純

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月面での夜間電力供給を目的とした循環型再生エネルギーシステム
要旨

月面での夜間電力供給を目的とした循環型再生エネルギーシステムの開発を進めている.循環型再生エネルギーシステムの原理証明を目的として,打ち上げ想定機の約1/10の出力を持つシステムを構築し,月面3年相当の利用回数である39回のサイクル試験をおこなった.
燃料電池スタックでは純酸素供給による電解質膜の特性変化を考慮したMembrane electrode assembly設計をおこなった.水電解スタックでは高圧酸素下の難燃性や耐酸化性に優れる部品材料を選定した.電気化学式水素昇圧スタックでは流路構造を最適化することで反応面の滞留水の排出性を向上させた.また,安定的な水循環を成立させるための制御やシステムの構築をおこなった.
以上の取り組みによりサイクル試験を達成し,循環型再生エネルギーシステムのコンセプトである水循環による継続的な発電が可能であることが実証され,原理証明を完了した.

稲西 諒亮、大門 鋭刀、福間 一教、河野 匠、本多 徹

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義足に活用した,新機構トランスミッション技術
要旨

両方向の回転が可能なワンウェイクラッチを組み合わせ,そのクラッチの接続状態を切り替えることで変速可能なトランスミッション機構を開発した.
これにより電磁クラッチに対し小型軽量になるとともに,正転・反転両方向回転の駆動力を伝達できるようになった.また回転状態の維持に電力を使わず,切り替えのみに電力を消費し,速比段数の設定に制限がない特徴も備えた.
この技術をモータ駆動式義足に適用した場合,歩行速度がモータ性能に依存しないためモータの小型化が図れ,また省電力でもあることから義足の軽量化が可能となった.また歩行遊脚を省音化することもでき,義足装着者の生活の可能性を広げることができた.

小野 拓洋、島田 圭、日木 豊、小ノ澤 聖二、後藤 文人

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小型船用電動船外機の実証実験
要旨

島根県松江市のお堀を小船で巡る観光遊覧「堀川めぐり」をユースケースに,電動二輪車のパワーユニットとスワッパブルバッテリを活用した小型電動船外機システムの実証実験をおこなった.
プロペラ回転方向の切り替えスイッチと,極低速までコントロール可能な速度調整機能により着桟時の制動距離を30%低減した.操作性については船頭の使い方を検証し,スロットル開度と遊覧船の船速の関係を電動船外機用にチューニングした.また,スワッパブルバッテリの採用により,船上での短時間のバッテリ交換を可能とした.以上の結果からICE船外機以上の性能および,フィーリングが得られた.

竹重 隆正、加藤 健太、日向野 正麻

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