POWERED by HONDA

RA619H

2019Aston Martin Red Bull Racing RB15
2019Red Bull Toro Rosso-Honda STR14

レッドブルとのジョイントがスタート
シーズン3勝を挙げて、タイトル争いが視界に

2019年、Hondaはレッドブルとのジョイントを開始し、トロロッソと合わせ第4期で初めて2チーム、4台にパワーユニット(PU)を供給。製造、ロジスティック、トラックサイドでの運用などHondaとしては大幅な体制拡大となった。そして、前年4勝を挙げているレッドブルは、タイトルを狙うトップチームであり、第4期でこれまで優勝を果たせていなかったHondaは大きなプレッシャーの下でシーズン開幕を迎えた。

その勝負のシーズンに投入したRA619Hは、やはり前年の正常進化版である。前年型RA618H スペック3で採用した高速燃焼をより進化させた燃焼メカニズムで出力アップを図り、競争力を高めた仕様を開幕戦に投入。高速燃焼による出力アップに対応する高次元の信頼性向上も必要となり、ICEの主要パーツであるシリンダーヘッド、ピストン、コンロッドなどの耐久性を強化している。期待と不安が入り混じる開幕戦オーストラリアGP、レッドブルのマックス・フェルスタッペンは予選4位から3位表彰台を獲得。Hondaにとって第4期初の表彰台は、PUの進化に手応えを感じられるものとなった。

Hondaはより耐久信頼性を高めた「スペック2」を、第4戦アゼルバイジャンGPに投入した。主に耐久信頼性をより高めた仕様だが、これにより確保したマージンによってパワーアップも果たしている。そして第8戦フランスGPには高効率化とワイドレンジ化したコンプレッサーを採用した「スペック3」を投入し、さらなるパフォーマンスアップを狙った。

しかし、フランスGPは欧州を襲った熱波の影響で非常に高温の環境となり、アップデートに見合う成果を出すことはできなかった。その真価が発揮されたのは次戦オーストリアGPで、高地という環境と、短時間で熱対策を行なったエンジニアの努力が報われ、フェルスタッペンが優勝を飾った。Honda F1第4期における待望の初優勝が実現し、表彰台にはチームを代表してHonda F1テクニカルディレクターである田辺豊治が登壇した。それは、Hondaの努力に敬意を示したレッドブルの配慮だった。

雨中で波乱の展開となった第11戦ドイツGPでフェルスタッペンが2勝目を挙げ、トロロッソのダニール・クビアトが3位に入り、トロロッソ・Hondaとして初の表彰台を獲得。Hondaにとっても第4期初のダブル表彰台となった。

初優勝を果たし、自信がみなぎり手応えを感じたHondaは、RA619Hの開発の手を緩めることなく、さらなる性能向上に突き進む。サマーブレイク明けの第13戦ベルギーGPにより耐久信頼性を向上させた「スペック4」を投入し、さらなる飛躍を目指した。

この年のHondaにとってのハイライトは第20戦ブラジルGP。レース後半フェルスタッペンが首位を走行し、チームメイトのアレクサンダー・アルボンが2番手、トロロッソのピエール・ガスリーが3番手と続き、Honda陣営が1-2-3態勢となった。終盤にアルボンが脱落したが、フェルスタッペンとガスリーが1-2でチェッカーフラッグを受け、Hondaにとっては1991年以来の1-2フィニッシュが達成された。この日、11月17日は奇しくも創業者である本田宗一郎の誕生日だった。

2019年シーズン、フェルスタッペンは3勝を挙げ、ドライバーズランキング3位を獲得。レッドブルもコンストラクターズランキングで3位となった。トロロッソはランキングを前年より3つ上げ6位に上昇を果たす。2019年はHondaにとって、第4期5年目に迎えた飛躍の年となった。

Aston Martin Red Bull Racing RB15

Red Bull Toro Rosso-Honda STR14