ARGENTINAHonda Motor de Argentina S.A.

土地面積は140万m²で工場面積は9.7万m²だ。カンパーナ工場における二輪の生産開始は2011年である。
二輪と四輪を同じ工場で生産
アルゼンチンにおいてBiz125とWAVE110Sを生産するのはホンダ・モトール・デ・アルヘンティーナのカンパーナ工場だ。首都ブエノス・アイレスから北西80㎞、カンパーナにある140万㎡という広大な敷地の工場で、完成検査用のテストコースがあり、本社も、この工場におかれている。
従業員約1,240人のカンパーナ工場の特徴は、ひとつの工場で二輪と四輪の両方を生産していることだ。エンジンや駆動系の部品などはブラジルや中国、タイから輸入しているが、部品の現地製造と現地調達拡大の努力が続けられている。Biz125の場合はブラジルから、WAVE110Sは中国から、それぞれ部品を輸入している。
カンパーナ工場で生産され、この 1年間に販売された二輪製品は、合計14万7649台。そのうちスーパーカブ・シリーズだけで全体の40%近くを占めており、Biz125は6.2%の9,111台、WAVE110Sは32.2%の4万7473台である。二輪製品のなかでもスーパーカブ・シリーズの人気がNo.1で、WAVE110Sがよく売れていることがわかる。
ホンダ・モトール・デ・アルヘンティーナの分析では、WAVE110Sの主要なユーザーは男女を問わず年齢20歳から40歳、月収800USドル以下で、生活の足として通勤通学に使われているという。アルゼンチンでもスーパーカブ・シリーズは、まぎれもない庶民のモビリティなのである。

ラインで組み立て完成したWAVE110S。見るからにスポーティーなカブだ。

若い従業員が多く活気にあふれる工場だ。

完成検査中のWAVE110S。存在感があるデザインだ。
二輪市場の約半数を占めるスーパーカブ・タイプでも一番人気はWAVE110S
アルゼンチン共和国は南米大陸で2番目に大きな国だ。国土面積は日本の約7.5倍である。人口は4,076万人で、国民の大半はヨーロッパ系と言われるスペイン語の国だ。
日本ではイグアスの滝やアルゼンチン・タンゴ、サッカーの盛んな国としてよく知られ、首都ブエノスアイレスはヨーロッパ的理想の都市「南米のパリ」と呼ばれ世界的に有名である。
このアルゼンチンでホンダ・モトール・デ・アルヘンティーナが生産販売するスーパーカブ・シリーズは、Biz125とWAVE110Sだ。
アルゼンチンの公共交通機関が発達していない地方都市や農業地帯ではスーパーカブ・タイプが人びとの日常の足になっている。アルゼンチンは年間72万台の二輪市場を有し、その約半分をスーパーカブのようなスタイルのモデルが占める。世界中のメーカーのスーパーカブのようなモデルがアルゼンチンで販売競争を繰り広げ、しのぎを削っている。
なかでもBiz125とWAVE110Sは高価格帯のモデルにあたるのだが、信頼性、耐久性が高く高品質なのでトップクラスの根強い人気がある。メットインでキャストホイールのBiz125より、大衆的な価格帯であるWAVE110Sの人気がとても高い。
Biz125のメーカー希望小売価格は50,600アルゼンチン・ペソ(約253,000円)で、WAVE110Sは31,500アルゼンチン・ペソ(約157,500円)だ(為替レートは2018年5月末現在)。
Biz 125

■全長×全幅×全高:1897×706×1083㎜
■車両重量:101kg
■エンジン:空冷4ストロークOHC単気筒
■総排気量:109.1㏄
■燃料供給装置形式:キャブレター
■変速機:自動遠心クラッチ4段
WAVE110S

■全長×全幅×全高:1880×726×1075㎜
■車両重量:102kg
■エンジン:空冷4ストロークOHC単気筒
■総排気量:124.9㏄
■燃料供給装置形式:キャブレター
■変速機:自動遠心クラッチ4段

「旅の途中で買ったBiz125は故障一つしませんでした」
「町で金物屋をやっています。私は19年前の24歳のとき、アメリカのカリフォルニアへオートバイ旅行をしたのです。ところがブラジルで交通事故にあって大型オートバイが壊れてしまった。でも、諦めずにブラジルでBiz125を買って旅行を続けました。学生時代にスーパーカブ90を買い、今もずっと大切に乗っています。だから、Hondaが丈夫でよく走る高品質だと知っていたので、旅先でBiz125を買ったのです。そのBiz125でブラジルからカリフォルニアまで13,000㎞を走破しました。途中で1回タイヤ交換をしましたが、Biz125は故障ひとつしなかった。ハンモックひとつ持った野宿の旅だったので、カリフォルニアに着いたときはお金がなくなり、Biz125を300USドルで売ってアルゼンチンへ帰ってきました」

「オートバイでもスクーターでもない独特の乗り味が楽しめます」
「兄弟で小さな自転車工場を経営しています。小さなHondaのオートバイが好きなので、WAVE110SとCB190R(スポーツタイプモーターサイクル)とElite(スクーター)を所有しています。長距離を走るときはCB190Rで、町の中を日常的に走るのはWAVEがとても経済的で便利で乗りやすい。このあたりは路面がよくないので大径タイヤのWAVEがスクーターより走りやすい。WAVEはオートバイでもスクーターでもない独特の走り味が楽しめるので大好きです。結婚を約束したフィアンセは、僕がオートバイに乗るのを危険だと反対しているのですが、子供に恵まれたら僕の考え方が変わるかもしれないけれど、いまはずっとオートバイに乗る趣味を楽しみたいと思っています」