本田技研工業(株)(以下ホンダ)は、小型軽量で人間の歩き方に近い歩行が可能となった新しい人間型ロボット「ASIMO(アシモ)」※1を発表した。
ホンダはかねてより基礎技術研究の一環として、人に役立ち、社会の中で利用できることを目指して自律歩行人間型ロボットの開発に取り組んでいる。1986年に研究開発を開始し、1996年にプロトタイプP2、1997年にはP3を公開してきた。
「ASIMO」はP3をさらに進化、発展させ、実際に人間の生活空間で作業することと親しみやすさを両立できるサイズとしながら、人間の歩き方にさらに近づいた自然でスムースな歩行を実現した。 また、腕の動作範囲も拡大した。
さらに、携帯コントローラの使用で操作性も向上している。
「ASIMO」の特長は
- ・小型・軽量化
- ・より進化した歩行技術
- ・簡単な操縦性
- ・腕の動作範囲を拡大
- ・親しみやすいデザイン
- 1)小型・軽量化
生活空間の中でスイッチ類やドアノブに手が届き、テーブルや作業台で作業できるサイズを検討し、全高を120cmとした。また骨格構造の見直しと、フレーム肉厚の薄肉化。専用設計による制御ユニットの小型・軽量化を行ない、重量も43kgと大幅に軽量化を実現。
(P3は全高160cm、重量130kg)
- 2)進化した歩行技術
従来の歩行制御技術に予測運動制御(次の動きを予測してあらかじめ重心を移動させる)を加えた「i-WALK」(Intelligent Real time Flexible Walking)技術で、スムースな方向転換が可能となった。また、とっさの動きへの対応など人間の歩き方に近い、自然で安定性の高い歩行ができる。
- 3)簡単操作
パソコンを使ったワークステーションに加え、携帯コントローラによる「自在歩行の操縦」と「ボタン操作による動作(身振り手振り)」を可能とし、操作性が向上。
- 4)腕の動作範囲を拡大
肩関節軸の取り付け角度を上方に20°傾けることで、肘の高さを水平からさらに15°まで上げて作業することが出来るようにした。これにより、P3での腕の可動範囲90°から、ASIMOでは105°まで広がった。
- 5)親しみやすいデザイン
小型サイズに加え、見た目のやわらかさを意識した、人にやさしいデザインとしている。
※1「ASIMO(アシモ)」の名称について
“Advanced Step in Innovative Mobility”の頭文字をとって「ASIMO」とした。新しい時代へ進化した革新的モビリティーを意味する。
「ASIMO」主要諸元
重量
43kg
全高
1,200mm
奥行
440mm
横幅
450mm
歩行速度
0~1.6km/h
作動自由度
頭自由度 2、
腕自由度 5×2=10
手自由度 1×2=2、
脚自由度 6×2=12 合計 26自由度
自由度:人間の関節に相当。前後、上下、回転がそれぞれ1自由度。
アクチュエータ
サーボモーター+ハーモニック減速機+駆動ECU
制御部
歩行/動作制御ECU、ワイヤレス通信ECU
センサー
足部:6軸力センサー
胴体部:ジャイロ・加速度センサー
電源部
38.4V/10AH(Ni-MH)
操作部
ワークステーション及び携帯コントローラ