Hondaの研究開発子会社である株式会社本田技術研究所の総合試験場「鷹栖プルービンググラウンド(北海道上川郡鷹栖町)」において、地域生物多様性増進法※1に基づく生物多様性の維持に資する増進活動実施計画およびその実施区域が「自然共生サイト」として10月30日(金)に認定されました。Hondaは、環境省が主導する「生物多様性のための30by30アライアンス」に2022年4月より参画しています。Honda関連の拠点が自然共生サイトに認定されるのは、2023年10月のモビリティリゾートもてぎ(栃木県芳賀郡茂木町)、2024年9月の埼玉製作所 完成車工場(埼玉県大里郡寄居町)に続き3件目で、本田技術研究所の研究開発拠点としては初めてとなります。
「30by30」は、2030年までに陸域および海域の30%以上を健全な生態系として効果的に保全する国際目標であり、2022年12月の生物多様性条約第15回締約国会議(CBD COP15)において採択された、昆明・モントリオール生物多様性枠組(KMGBF)※2のターゲットの一つです。日本においては、30by30目標の国内達成に向けた仕組みの構築を目指し、環境省主導で「生物多様性のための30by30アライアンス」が設立され、自然共生サイトの認定が進められています。
自然共生サイトは、地域生物多様性増進法に基づき、主務大臣(環境大臣、農林水産大臣および国土交通大臣)から認定を受けた増進活動実施計画(生物多様性の維持・回復・創出)および実施区域であり、既に生物多様性が豊かな場所を維持する活動(維持タイプ)として認定を受けた実施区域はOECM※3として国際データベースに登録されます。
鷹栖プルービンググラウンドは、1996年に開設した本田技術研究所の総合試験場です。総面積789haの敷地には、車両の走行テスト用に世界各地のさまざまな道路環境を再現したコースのほか、寒冷地であることを生かし、多様な冬期コンディションでのテストが行えるコースを備えています。
今回、外部から干渉を受けにくいテストコース特有の管理環境や保護区の設定、地域と連携した保全活動による生態系維持などの活動実績が評価され、全敷地面積のうち、テストコースなどの施設エリアを除いた約70%にあたる571haが自然共生サイトとして認定されました。この認定面積はHondaとして最大規模となります。今後も研究開発と自然共生の両立を追求し、地域と共に豊かな環境を未来へつないでいきます。
民間などによる生物多様性の保全活動を促進するため、2025年4月に施行された法律。2023年度より環境省が推進してきた「自然共生サイト(民間の保全区域の認定制度)」が法制化されたもの
2030年までに生物多様性の損失を食い止め回復軌道に乗せる「ネイチャーポジティブ(自然再興)」の達成を目指す国際目標。生態系の保全や持続可能な利用など、23の具体的目標が掲げられている
Other Effective area-based Conservation Measuresの略。民間などの取り組みにより保全が図られている地域や、保全を目的としない管理が結果として自然環境を守ることにも貢献している地域
鷹栖プルービンググラウンドの生物多様性への取り組み
鷹栖プルービンググラウンドは、広大で豊かな自然を守りながら、研究開発と生物多様性保全の両立を実現しています。
継続的な環境保全と豊かな生態系の維持
北海道の豊かな自然を保全するために、建設時から敷地全体の60%にあたる森林面積を残すとともに35,000本の植樹を行うなど、自然環境との調和を重視しています。開設後も生物多様性の保全を踏まえた緑地管理計画を策定し、植林や水質管理を実行するなど、継続的な環境保全を進めています。このような長年の取り組みにより、2025年の調査時点で、敷地内では希少種58種を含む合計1,245種の動植物が確認されています。
テストコース特有の環境を生かした「安全な生息環境」の創出
鷹栖プルービンググラウンドでは、開発車両の試験場という特性上、人の立ち入りを関係者に限定するとともに、安全確保の観点から、周囲に高さ約3mのフェンスを設置することで大型哺乳類の侵入を防ぐ管理を行っています。このような外部からの干渉を受けにくいテストコースならではの管理環境により、野生動植物にとって安全な生息環境が保たれており、そのことが豊かな生態系ネットワークを形成する一助となっています。また、こうした活動における、指標の調査対象であるクマタカなどの希少種の選定は、ネイチャーポジティブ・イニシアティブ(NPI)※4が公表した、優先して調査・測定する種を絞り込むための考え方に沿っています。このように国際的な枠組みも取り入れ、生態系の健全性を客観的に確認しています。
保護区の設定と「見守り型保全」による希少種保護
敷地内では、自然度の高い「ハルニレ・ヤチダモ群落」を保護区に指定し、人の手を極力入れない「見守り型保全」を展開。クマタカやクマゲラをはじめとする希少種の保護や、外来種の駆除、水質保全などを通じて生態系全体の健全性を維持しています。さらに、定期的なパトロールや生態系のモニタリングを継続的に行っています。
従業員の保全意識醸成と地域社会とのつながり
社内で従業員を対象とした環境保全意識の醸成にも取り組んでいるほか、施設見学イベントなどを通じて地域住民の方々に施設内に生息する動植物を紹介する活動を行うなど、地域とのつながりも大切にしています。
Hondaの生物多様性への取り組み
Hondaは、自社の企業活動が生物多様性に影響を及ぼす可能性があることを認識し、1960年代からその保全につながる活動に力を入れてきました。当時から工場での植林活動や工業用水の循環利用を行うとともに、1976年には各事業所において「ふるさとの森」づくり活動※5を開始しました。
2011年には「Honda生物多様性ガイドライン」を制定し、生物多様性と企業活動の調和を図っていくことを基本的な考えと定め、世界各地でさまざまな環境保全活動に取り組んでいます。
Hondaは豊かな自然、クリーンな海、全ての人の安全、子供たちが自由に夢を叶える未来、みんなが暮らしやすい社会など、夢のある明日の社会づくりを目指しています。
今回の認定により、国内の生産・研究開発拠点などの敷地面積合計に占める自然共生サイト認定面積は全体の約40%※6となります。これは、Hondaが事業活動と自然環境との共生を目指して取り組んできた成果の一つです。今後も、豊かな暮らしを次世代につなげる活動に注力していきます。
Hondaは、国際的なフレームワークであるTNFD※7のLEAPアプローチ※8に基づき、自然への依存度や影響度を評価した上で、優先度の高い地域・拠点から段階的に、地域特性や自然環境に応じて生物多様性保全活動を推進しています。今後も、国内拠点での自然共生サイト認定取得を推進するとともに、そこで得られた知見を生かして、海外拠点への展開を目指し、取り組みのさらなる充実を図ります。
ネイチャーポジティブの定義を含め、在り方を検討する組織
国内工場や研究所などの事業所において敷地内にそれぞれの地域の植生にあった樹木を植えて育てる活動
Honda国内の生産・研究開発拠点およびモビリティリゾートもてぎを対象とした敷地面積に対する割合
Taskforce on Nature-related Financial Disclosuresの略。企業や金融機関が、自社の事業活動による自然環境や生物多様性への影響・リスク、機会を評価し、情報開示するための国際的な枠組み
TNFDによって開発された自然との接点や自然との依存関係、インパクト、リスク、機会などの自然関連課題の評価のための統合的なアプローチ
鷹栖プルービンググラウンド 自然共生サイト概要
サイト名称 | HondaWoods 鷹栖 大成の森 |
サイト住所 | 北海道上川郡鷹栖町21-10 |
サイト面積 | 571ha |
統治責任者氏名 | 本田技研工業株式会社 |
管理責任者氏名 | 株式会社 本田技術研究所 |
連携団体 | 株式会社地域環境計画 北海道鷹栖町 鷹栖町森林組合 |
年間の管理期間 | 通年 |
管理開始年 | 1996年 |
Honda関連の自然共生サイト認定拠点一覧
拠点名 | 申請名称 | 認定年 | 申請面積 | 希少種数 |
モビリティリゾートもてぎ | モビリティリゾートもてぎ | 2023年 | 415ha | 48種 |
埼玉製作所 完成車工場 | HondaWoods みなみ寄居 集いの里 | 2024年 | 27ha | 41種 |
鷹栖プルービンググラウンド | HondaWoods 鷹栖 大成の森 | 2026年 | 571ha | 58種 |