Hondaマリン事業が60周年を迎える

~水上での自由な移動の喜びを提供し、お客様のさらなる体験価値向上を目指す~

 Hondaは、1964年に初の船外機を発売してから今年で60周年を迎え、本日、Hondaマリン事業の取り組みと今後の方向性について説明会を実施しました。現在の4ストロークエンジンによるマリン事業の取り組みや、操船支援システムなど新技術の開発、さらに将来に向けた電動推進機の開発などについて説明しました。
 以下、本日の説明会の概要をお伝えします。

Hondaマリン事業の歩み

 Hondaは、「水上を走るもの、水を汚すべからず」という信念のもと、軽量・廉価な2ストロークエンジンが主流の時代に、環境にやさしい4ストロークエンジンでマリン市場に参入しました。1964年、初のHonda船外機となるGB30を発売して以降、さまざまな機械の動力として使用可能な4ストローク汎用エンジンを独自に進化させてきました。お客様の大出力ニーズに対応するため、1990年にはHondaの四輪事業で培った技術を活用し、当時の最大出力である45馬力の船外機BF45を発売しました。1992年には、当時もっとも厳しいとされた欧州の排出ガス規制であるボーデン湖規制に適合したBF8Bを発売。1998年にはHonda独自の技術であるPGM-FIを導入するなど、水を汚さない船外機づくりを続けてきました。現在では、世界中で2馬力から350馬力までの計25モデルを販売しており、累計生産台数は219万台※1にのぼります。北米・欧州を中心に、生活を支えるような仕事の用途から、生活を豊かにする趣味やレジャー用途まで、さまざまな用途でお客様にご愛用いただいています。

※1 2024年10月時点

高出力船外機の市場投入~フラッグシップモデルBF350~

 2024年2月には、市場の高出力ニーズに対応し、Hondaとして最大出力となる350馬力のV型8気筒エンジンを搭載した船外機BF350を発売しました。フラッグシップモデルであるBF350は高出力と静粛性を両立するとともに、低燃費を実現しています。豊かなトルクからもたらされる高い走破性に加え、新設計のクランクシャフトを採用することで、高い静粛性・低振動を実現しています。Hondaとして初搭載のトリムサポート機能は、リモコンのボタン操作で、船外機の回転数や速度に合わせて、あらかじめ設定した船体姿勢へ自動制御することができ、より簡単で快適な操船を実現します。今後はBF350の技術を水平展開し、2030年までに順次、新モデルの投入を予定しています。

体験価値の向上~先進操船支援技術~

 Hondaは水上の移動をより安心・快適にすることを目指し、マリン領域の自由な移動の喜びの拡大に向け、先進操船技術の研究にも取り組んでいます。

マルチビューカメラシステム:

船艇の前後左右にカメラを設置し操船者の手元ディスプレーに表示することで、操船時の死角を減らします。桟橋や障害物に近づくと、物体との距離に応じて2段階で接近を通知し、操船者に注意を促します。

着桟支援システム:

ボートユーザーが操船時に最もストレスを感じるとされる※2離着桟時の操船を支援します。カメラ・各種センサーの情報をもとに自艇の位置を把握し、障害物や空いている停船スペースを認識。停船場所までの最適ルートを辿るように操船を支援します。トレーラーに積み込む場合は、船艇のカメラでトレーラーを認識。風や潮の流れを考慮し、船艇の進入角度を調整しながら、まっすぐトレーラーに載るよう軌道を補正します。

※2 Honda調べ

カーボンニュートラルへの取り組み

 Hondaは、2050年にHondaの関わる全ての製品と企業活動を通じてカーボンニュートラルを目指す、という目標の実現に向けて取り組んでいます。その領域は二輪車や四輪車といった陸上のモビリティにとどまらず、水上のモビリティのカーボンニュートラルにも積極的にチャレンジしています。
 2023年8月には島根県松江市にて、小型船舶向け電動推進機プロトタイプの実証実験を開始しました。この電動推進機プロトタイプには、電動二輪車のバッテリーとしても活用されている着脱式可搬バッテリー「Honda Mobile Power Pack e:(モバイルパワーパック イー)」を搭載しています。
 また、工場の環境負荷低減にも取り組んでいます。Honda船外機を生産している細江船外機工場(静岡県浜松市)では、昨年から太陽光発電システムを導入し、再生可能エネルギーの活用を開始しています。今後は、再生可能エネルギーのさらなる活用を促進・拡大するために、リチウムイオン蓄電池などの導入も推進していきます。

本田技研工業株式会社 二輪・パワープロダクツ事業本部 パワープロダクツ事業統括部 統括部長
鶴薗 圭介(つるぞの けいすけ)のコメント

「Hondaの船外機はプロフェッショナルユースからレジャーユースまで幅広いお客様に選ばれ、今年で60周年を迎えました。1964年の船外機市場への参入から60年間、『水上を走るもの、水を汚すべからず』の考えに基づき、独自のエンジン技術を活かした高い耐久性や環境性能を持った船外機を提供してきました。今年発売したフラッグシップモデルBF350にとどまらず、今後も継続的に新機種を投入し、水上での自由な移動の喜びを拡げてまいります」