いかに優れたパワープラント性能を得たとしても,タイヤを介してその力を路面に効率的,合理的に伝えることなくして,レースカーとしての競争力は得られない.近年のF1における車両運動性能技術は,タイヤ性能を最大限に引き出すことを主眼に開発されている.特にF1で使用されるタイヤは,タイヤ自体の性能を極限まで高めるために,タイヤ接地状態やタイヤ温度など極めて狭い条件でしか作動しない特性を有しており,これを把握しコントロールすることが,F1の運動性能技術開発における重要課題であるといえる.本稿では,タイヤ性能を引き出すサスペンション設計とセットアップコンセプト,これらの理論のベースとなるタイヤモデルの開発について紹介する.
Honda R&D Technical Review F1 Special (The third Era Activities) 収録 (155 - 162)