F1のレギュレーションは,公平性,競技性,安全性,持続性,興行性を考慮して定められている.コンストラクタが自らのオリジナルな車両で参戦することが義務付けられるF1の技術規則は,自由な技術競争を保証するため,最小限度の基本事項以外は本来自由となっている.1990年代初頭から 2009年まで,車両の性能抑制と安全性向上を目的とした継続的な規定強化がおこなわれたが,それを上回るさまざまな技術開発により,F1のラップタイムはほぼ毎年短縮されてきた.それらのせめぎあいの結果として,F1技術規則の記述は文字数にして19年間で3倍以上に増加した.2000年代のF1では,コンピュータを活用した広範囲で詳細な技術開発とともに,それを取りまとめる総合的な技術マネージメントが要求される.特に近年は,世界的な経済状況悪化にともなうコストダウンや,地球温暖化対応に象徴される環境適合技術の推進とともに,レースの本質である競争を際立たせスペクタクル性を増す取り組みもおこなわれるなど,急激な社会的変化に対応すると同時に,F1がその存在意義を問い直される時代である.
Honda R&D Technical Review F1 Special (The third Era Activities) 収録 (4 - 11)