ステアリングキックバックのような過渡的な振動現象はその発生原因と現象との因果関係がよく解かっていないことが多い.さらに,キックバックに対しタフネスのあるサスペンションを設計するためのガイドラインというものも確立されていない.このような現象を解析するために,筆者らは新しい解析手法を試みた.それは,力の釣合に着目して実走中の路面不整に起因するタイヤからの入力が,どういった経路でどのようにしてステアリングギヤボックスに伝達しているのかを定量的に把握するものである.その結果,ステアリングタイロッド軸に発生する軸力の要因が分解可能となり,主要因の発生メカニズムが解明できた.そしてキックバックを削減する定性的指針とサスペンション設計の指針が得られたので,これを紹介する.
Honda R&D Technical Review Vol.11 No.1 収録 (119 - 128)