要旨
湿式多板クラッチの押付け力によって後輪への駆動力を制御するトルクオンデマンドタイプの4WDシステムにATの変速クラッチを転用する場合,連続的に差回転が入力される旋回や発進時などに異音が発生することがある.要因解析として潤滑の単体解析を行ったところ,クラッチへ実際に供給されている潤滑油流量が少なく,かつ各部へ均一に供給されていないことがわかった.また,結果を踏まえて設定した実車の再現モードで異音の発生が再現できた.さらに異音が摩擦材の気孔率とたわみ量に相関があることを確認した.これらの解析結果から潤滑仕様の改善を行い,さらにクラッチについて油保持性を考慮して,気孔率とたわみ量を増やした摩擦材を開発した.この対策仕様で実車再現モードを用い検証を行った結果,異音が発生しないことを確認した.
参考文献
- (1)自動車技術会:自動変速機,自動車のトライボロジー,東京,養賢堂,1994, p.151-155
- (2)小林ほか:デュアルポンプ式4WDシステムの開発,HONDA R&D Technical Review, Vol.8, p.77-82 (1996)
- (3)浜田ほか:前後駆動力配分の最適化による4WD車両の軽量化について,自動車技術,Vol.46, p.99-103 (1992)
- (4)浜田ほか:リアルタイム4WDデュアルポンプシステム,自動車工学,Vol.43, No.7, p.16-25 (1994)
著者(所属)
掲載情報
Honda R&D Technical Review Vol.15 No.2 収録 (133 - 138)
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引用情報
井上 真幸, 荒井 康典, 畔上 敏明, 平尾 泰生.
4WD用多板クラッチ契合時異音の低減研究
Honda R&D Technical Review Vol.15 No.2 pp.(133 - 138)2003.
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