要旨
ピストンの耐久性はエンジンの性能を限界付ける重要な要素であり,その温度を知ることでエンジン開発上有用な情報を得ることができる.従来用いられてきた材料硬度法は,一定速運転のデータしか取れない欠点があり,多様なピストン温度測定要求に対応しきれなくなってきている.そこでサーミスタによりピストンの温度を直接計測し,下死点近くで計測情報を受け渡しできる軽量小型な電磁誘導法を用いて高速回転に耐えるピストン温度計測システムを開発した.使用回転速度の高い二輪車用エンジンに適用して,15300 r/minまでの計測が可能になり,同時に10時間以上の耐久信頼性を確保することができた.本研究では,この電磁誘導法を用いて,エンジン実働運転時の代表的なパラメータを変化させたときのピストン温度変化の実例を紹介し,高速回転時は各パラメータを変化させてもピストン温度が鈍感になる理由を入熱側と放熱側の熱伝達率の違いという概念を用いて説明することができた.
参考文献
- (1)高松英俊,金澤卓也:高速ガソリン機関のピストン温度測定法,自動車技術会学術講演会前刷集,No.982, p.25-28(1998)
- (2)松井淳,志村節,辻直樹,森次通泰,加藤直也:電磁誘導法を用いたピストン温度測定技術の開発,自動車技術会学術講演会前刷集,No.47-00, 20005199(2000)
- (3)稲見規夫,竹内一雄,加藤哲也,大理江:超高速(CART)エンジンにおける実動時のピストン温度計測,自動車技術会学術講演会前刷集,No.89-02, 20025464 (2002)
- (4)松浦健児:電磁誘導法による内燃機関運動部の諸測定に関する研究-主としてロータリエンジンのアペックスシールの挙動-博士論文,p.110-124(1993)
- (5)Meinrad, E., Edward, K.: An Evaluation of the Potential Performance Gain From Leakage Reduction in Rotary Engines, SAE Paper, 730117(1973)
- (6)Robert, M., Gray, L.: Advanced Stratified Charge Rotary Engine Design, SAE Paper, 890324(1989)
著者(所属)
掲載情報
Honda R&D Technical Review Vol.18 No.1 収録 (77 - 80)
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引用情報
鈴木 正剛, 植田 真悟.
非接触電磁誘導法を用いたピストン温度計測例
Honda R&D Technical Review Vol.18 No.1 pp.(77 - 80)2006.
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