要旨
従来の常圧水電解と機械式コンプレッサによる高圧水素製造に代替する手法として,差圧式高圧水電解がある.差圧式には電解セル自体に耐圧性が必要であり,ねらいの水素圧力を電解質膜で保持しなければならない.この課題に対し,酸素極給電体の強度と表面の開口を調整し,電解質膜の変形を抑制することで35 MPaの差圧保持を達成した.ピストン式の差圧式高圧水電解セルでの試験により,給電体と触媒の最適接触面圧は5 MPaであることを明確にし,セル内部の水素圧力によらず接触面圧を一定とすることで,濃度差電圧による理論昇圧エネルギーでの高圧水素製造を達成した.また,電流効率は97%であり,損失分は水素の膜透過のみで,透過した水素によるその他の機能への影響は無いことを確認した.差圧によって酸素の透過は抑制され,製造水素中の酸素濃度は規定値の5 ppm以下となり,常圧水電解よりも高純度の水素を得た.
参考文献
- (1) 上山雅樹,喜多真佐人,田口聡,中沢孝治,長岡久史,荒川慎一:太陽電池を使った水素ステーションの紹介,Honda R&D Technical Review, Vol.15, No.2, p.31-38
- (2) 岡部昌規,中沢孝治,樽家憲司,判田圭:太陽電池を使った水素ステーション(SHS)の実証試験,Honda R&D Technical Review, Vol.20, No.1, p.67-73
- (3) 中沢孝治,長岡久史,武内淳,Frank MOBURG,山下郁也,岡部昌規:差圧式高圧水電解型ソーラー水素ステーション(SHS2)の紹介,Honda R&D Technical Review, Vol.22, No.2, p.28-35
- (4) 電気化学会編:電気化学便覧,第5版,p.155(2000)
- (5) 酒井清孝ほか:気体透過,膜分離プロセスの理論と設計,アイピーシー,p.196-197(1993)
- (6) 化学工学会編:流動状態とその遷移条件,化学工学便覧 改訂六版,丸善株式会社,p.298(1999)
- (7) 井上雅弘,中原真也:水噴霧による水素の燃焼抑制に関する研究,水素エネルギーシステム,Vol.34, No.3, p.23-31(2009)
- (8) ISO 14687-2:Hydrogen fuel - Product specification - Part 2, Type 1, Grade D
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掲載情報
Honda R&D Technical Review Vol.23 No.2 収録 (90 - 97)
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引用情報
針生 栄次, 中沢 孝治, 樽家 憲司, 石川 博之, 岡部 昌規.
差圧式高圧水電解セルの構造とその性能評価
Honda R&D Technical Review Vol.23 No.2 pp.(90 - 97)2011.
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