要旨
モータサイクルのエンジンに広く採用されるアルミニウム合金製クランクケースでは,試作段階での耐久テストにおいて,シリンダヘッド締付ボルトやクランクシャフトのメイン軸受締付ボルトのめねじ谷底部に疲労破損が発生することがある.従来は,めねじ谷底部の疲労強度は机上での絶対値評価が困難であったため,疲労強度評価はエンジン実機を用いた耐久テストに頼らざるを得なかった.本研究では,主要なボルトのめねじ部を含むクランクケース全体の疲労強度をFEM解析により机上評価する技術を構築した.おねじとめねじの形状や接触特性を考慮した大規模FEMモデルに対し並列計算処理をおこなうことで,計算精度,計算時間ともに実用性を見出した.本手法を製品設計に適用した事例より,ボルト締結部周辺の形状やボルト先端部の形状を工夫することで,質量を増加させることなくクランクケースのめねじ谷底部の疲労強度を向上できることが示された.
参考文献
- (1) 福岡俊道,山崎直樹,北川浩,浜田実:ねじ谷底の応力集中(谷底の丸みおよび摩擦係数の影響),日本機械学会論文集(A編),52巻,481号,p.2201-2208(1986)
- (2) 福岡俊道,野村昌孝,森本雄哉:ねじ山らせん形状の高精度なモデリングと有限要素解析,日本機械学会論文集(A編),72巻,723号,p.1639-1645(2006)
- (3) 籾井秀斗,池田聡,田上実秋,牛嶋研史,高橋直樹:エンジン実稼動時のボルトねじ部の応力解析手法,自動車技術会2009年学術講演会前刷集,No.99-09,p.13-16(2009)
- (4) Niino, T., Iwamoto, T., Ueda, S.: Development of simulation technology for dynamic behavior of crankshaft systems in motorcycle engines, JSAE Review, Vol.23, p.127-131(2002)
著者(所属)
掲載情報
Honda R&D Technical Review Vol.22 No.2 収録 (202 - 207)
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引用情報
栗原 博, 齋藤 淳也, 齋藤 秀輝, 関谷 大輔.
めねじ谷底部を含むクランクケース全体に対する疲労強度評価技術の確立と製品開発への適用例
Honda R&D Technical Review Vol.22 No.2 pp.(202 - 207)2010.
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