要旨
台上試験によるコースティングダウンモード中のブレーキ各部品の変位および引きずり抵抗値のモニタリングをおこなった.本モード中には,ブレーキ引きずり計測過程の前に暖気走行によるブレーキ作動過程が存在し,この時ブレーキディスクは温度上昇とともに熱変形する.その後の引きずり計測過程では,ディスク温度の低下とともに熱変形から戻ってくるディスクがインナ側のパッドに近づき,干渉した時に引きずりが発生する.また,その時のブレーキディスクに対するインナ側のブレーキパッドの姿勢が,ディスク回転方向に対し回入側が狭く回出側が広いクリアランスとなる姿勢の時,パッドがディスクに吸い寄せられて引きずりが突如増大する.この吸い寄せられる力は,ディスクとパッド間に発生する負圧による力である.これにより,引きずり低減のための構造であるパッドリターンスプリングの回入側と回出側の荷重設定バランスおよびキャリパロールバック量とキャリパボデー変形量の指針を設けることで,ブレーキの引きずり値を安定させるとともに低減させることができた.
参考文献
- (1) SAE J2263: Road Load Measurement Using Onboard Anemometry and Coastdown Techniques (2008)
- (2) SAE J2264: Chassis Dynamometer Simulation of Road Load Using Coastdown Techniques (2014)
- (3) 蒲生慶一,鈴木伸二,久米村洋一:CLZ型ディスクブレーキの設計技術開発,TOKICO REVIEW Vol.43, No.1, p.6-13(2001)
- (4) 蒲生慶一,石井英昭,鈴木俊次,久米村洋一:ブレーキ引き摺り低減技術の開発,TOKICO REVIEW Vol.42, No.1, p.20-26(2001)
- (5) 中井浩二,野畑康寛,斉藤範幸:ディスクの熱変形低減によるブレーキジャダー低減手法の開発,MAEテクニカルレポート,No.14, p.27-34(2005)
著者(所属)
掲載情報
Honda R&D Technical Review Vol.26 No.2 収録 (216 - 223)
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引用情報
小林 靖, 樋口 祐多, 中村 直樹.
コースティングダウンモードにおけるブレーキ引きずりメカニズムの解明と引きずり安定化および低減手法
Honda R&D Technical Review Vol.26 No.2 pp.(216 - 223)2014.
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