現在,二輪自動車用に使われている塗料の多くには,Volatile Organic Compoundsが多く含まれている.このVolatile Organic Compoundsは環境負荷物質の一つであり,近年では排出量の低減が求められている.二輪自動車外装部品の多くは,ABSプラスチック,PAプラスチックが使用されている.これらの素材は塗膜密着性と密着メカニズムが異なるため,従来は素材別に導電プライマを使い分ける必要があり,塗装工程における作業ロスが発生する要因の一つであった.筆者らはこれら二つの課題,Volatile Organic Compounds排出量の削減と,素材別導電プライマの共用化を達成すべく,水系塗料で,カルボン酸基含有ウレタン樹脂およびアミド基含有アクリル樹脂という物性の異なる二種類の塗料樹脂を導電プライマ用として,新規に設計し,それらを配合することによって課題解決に至った.また,二輪車プラスチック部品には,自動機による塗装が困難な部分があり,作業者の手によって塗装されているものが多く存在する.それゆえ塗装時の作業性を確保するために,チクソトロピック性を有する粘度制御剤を用いて,塗料たれの制御とウェット塗膜の平滑性を両立する範囲に導電プライマの粘性を調整した.
Honda R&D Technical Review Vol.25 No.2 収録 (146 - 156)