要旨
アルミニウム鋳物合金製の部品に要求される機械的特性を達成した上で,熱伝導率を高める熱処理条件を設定するアプローチを研究した.シリンダヘッドの材料として使用されるアルミニウム鋳物合金AC4Bにおいて,アルミニウム金属マトリクスに固溶して熱伝導を阻害する溶質原子の挙動に着目することで熱伝導率を高める熱処理条件を検証した.本研究は熱処理型アルミニウム合金全般への応用性があり,放熱特性の要求が高いアルミニウム合金製部品への展開が可能である.また,熱伝導率と電気伝導率の密接な関係から熱伝導率の簡便な代替測定方法の可能性を示した.
参考文献
- (1) 日本アルミニウム協会標準化総合委員会 編:アルミニウムハンドブック第6版,日本アルミニウム協会,358p., (2001)
- (2) 平野賢一:アルミニウムおよびアルミニウム合金中の拡散,軽金属,Vol. 19, No. 12, p. 577-590, (1969)
- (3) 紀隆雄,小野興太郎:金属中の原子空孔源,日本金属学会会報,Vol. 21, No. 7, p. 518-522, (1982)
- (4) 白井泰治:陽電子でみるアルミニウム合金中の原子空孔の挙動,軽金属,Vol. 56, No. 11, p. 629-634, (2006)
- (5) 成田麻未:アルミニウム合金の時効硬化現象における原子空孔の役割,まてりあ,Vol. 61, No. 3, p. 160-165, (2022)
- (6) 里達雄,北岡山治,神尾彰彦:Al-Cu系合金,軽金属,Vol. 38, No. 9, p. 558-578, (1988)
- (7) 吉田英雄,内田秀俊:アルミニウムの熱処理,軽金属,Vol. 45, No. 1, p. 41-55, (1995)
- (8) 鈴木寿,菅野幹宏:アルミニウム合金の析出時効,軽金属,Vol. 31, No. 4, p. 277-298, (1981)
- (9) 里達雄:アルミニウム合金の時効析出研究の歴史と今後の展望,軽金属,Vol. 69, No. 3, p. 138-148, (2019)
- (10) 川路均:固体の熱伝導,化学と教育,Vol. 59, No. 10, p. 488-491, (2011)
著者(所属)
掲載情報
Honda R&D Technical Review Vol.34 No.2 収録 (18 - 23)
論文PDF
PDF 1.6MB
引用情報
上田 順一, 家永 裕一, 須藤 建次.
アルミニウム鋳物合金の熱伝導率に及ぼす熱処理条件の研究
Honda R&D Technical Review Vol.34 No.2 pp.(18 - 23)2022.
引用情報をコピー
コピーしました