要旨
金属ベルト式CVTにおいては,ベルト内部での滑りやプーリミスアライメントが機構特有事象としてこれまで許容されてきた.本研究では,さらなる効率向上のため,従来では許容されてきたこの損失の低減を,世界で初めて達成した.ベルト内部での滑りは,プーリ巻きかけ時のベルトピッチ半径とリング巻きかけ半径に差があることにより生じる.この半径差を小さくすることにより,エレメントとリングの間に発生する滑り量を低減した.また,プーリのV面形状を従来の11度から9度および曲率の複合形状とすることで,リング張力を低下させることができ,滑り部の接触荷重を低減した.さらに,変速時の駆動および従動プーリのストローク量の差を小さくし,変速比にかかわらずミスアライメントの発生を抑えるプーリベルト機構とした.その結果,動力伝達効率が最大で2.4%,変速比幅平均で0.9%向上した.
参考文献
- (1) 経済産業省自動車新時代戦略会議中間整理(案)補足資料,p.18, (2018)
- (2) 矢ヶ崎徹,青山英明,斎藤俊博,石井和夫,岡田善成,有川守:CVT用金属ベルトの開発,Honda R&D Technical Review, Vol.14, No.1, p.181-190
- (3) 矢ヶ崎徹,青山英明,一條秀治,戸塚博彦,原田雅道:金属ベルトCVTのV面角度の最適化,Honda R&D Technical Review, Vol.22, No.1, p.158-164
- (4) 一條秀治,矢ケ崎徹,安藤大起,坂上恭平,隅田聡一朗:高効率金属ベルト式CVT変速機構の研究,Honda R&D Technical Review, Vol.26, No.1, p.33-39
- (5) Saito, T., Miyamoto, K.: Transmission Efficiency Prediction for CVT Metal V-belt with Ratio Feedback Control, CVT-HYBRID 2010 Proceedings, p.29-34, (2010)
- (6) 守本佳郎:無段変速機CVT入門,グランプリ出版社,p. 53-56, (2004)
- (7) 特許番号,第6094911号,(2017)
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掲載情報
Honda R&D Technical Review Vol.31 No.2 収録 (74 - 80)
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引用情報
隅田 聡一朗, 矢ヶ崎 徹, 青木 亮太, 淺井 光.
複合V面形状プーリおよびピッチ位置変更ベルトによる金属ベルト式CVTの動力伝達効率向上
Honda R&D Technical Review Vol.31 No.2 pp.(74 - 80)2019.
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