可搬型外部給電器
Power Exporter e: 6000 / Power Exporter 9000
クルマから電気を取り出して活用。使い勝手の良い可搬型外部給電器
電動自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池自動車(FCEV)といった電動車両には、車自体にたくさんの電気を貯める能力、あるいは発電する能力があります。その電気を取り出すことができれば、クルマを「走る電源」として様々な場所で活用することができます。
しかし、クルマから取り出す電力は「直流(DC)」であり、「交流(AC)」電力で動く家庭用の電気機器においては、そのまま使用できません。
Hondaの「Power Exporter e: 6000」と「Power Exporter 9000」は、外部給電機能を備えた車両とつなぐことでクルマからの直流電力を交流電力に変換し、家庭用電化製品はもちろん、電気の質が求められる精密機器や楽器などにも対応する高品質な電力を供給する可搬型外部給電器です。
使用イメージ
クルマから電気を取り出して外部に供給するには、車内に搭載された電源コンセントを利用する方法もありますが、出力は1.5kVA程度で大きな出力を得ることはできません。
「Power Exporter e: 6000」は最大6kVA(平均的な一般家庭で消費する電力の約2倍)、「Power Exporter 9000」は最大9kVA(平均的な一般家庭で消費する電力の約3倍)の電力を出力します。
また、スマートフォンなどの低負荷な家庭用電化製品で用いられる100V出力に加え、照明やエアコンなどの高負荷な電気機器が要する200Vにも対応するため、平時はイベントにおける電源として、有事の際は避難所や小規模オフィスの非常用電源としての活用も期待できます。
長年のノウハウがつまった、Hondaの独創技術
「Power Exporter e: 6000」と「Power Exporter 9000」には、Hondaが長年培ったポータブル発電機の技術が採用されています。Hondaの発電機の歴史は、1965年に登場したガソリンを燃料とした小型ポータブル発電機から始まり、現在では世界中の多くのお客様にお使いいただいています。ポータブル発電機は、仕事やレジャーでの使用はもちろん、停電時のバックアップ電源としてのニーズも高い製品であることから、家庭用コンセントのように幅広い電気機器に対応することが求められます。
Hondaポータブル発電機の歴史
Honda独創の「正弦波インバーター」は、電気機器に不都合をあたえる波形の歪みを制御し、様々な電気機器に対応できるきれいな「正弦波」を、負荷(使われ方)に応じて出力する高い性能が特長です。
コンバーターはLLC電流共振駆動※1を採用することで、高効率化と低ノイズ化を図っており、電気的なノイズに弱いパソコンや電子機器、精密機器などを動かすこともできます。緊急時の携行医療用の機器をつなげば、これらが動作することも実証実験にて確認済み※2です。
「Power Exporter e: 6000」と「Power Exporter 9000」は、これらの技術を使い、クルマから供給される高電圧の直流(DC)電力をコンバーターで一定出力に変換し、インバーターできれいな正弦波に整え、交流(AC)電力を出力します。
※1 LLC電流共振駆動:入力電圧の変化に対しても、特定の電流を取り出すことができるスイッチング電源のこと。構成部品が少なく高効率と低ノイズを兼ね備えているのが特徴
※2 医療用電気機器を使用する際は、医療機器メーカー・医師・病院などへ事前にご相談ください
高い技術力で、交流100Vと交流200Vの同時出力を可能に
「Power Exporter e: 6000」と「Power Exporter 9000」は、デュアルボルテージインバーター技術により、交流100Vと交流200Vを同時に使用できます。
内蔵するインバーター1とインバーター2はそれぞれ交流100Vを出力し、リアルタイム通信同期制御で位相を180°ずらします。これにより、その合成波を交流200Vとして出力することが可能になります。
家庭用電化製品はもちろん、大きな電力を要するオフィス用エアコンや店舗用冷蔵庫など、幅広い電気機器へ対応します。
デュアルボルテージインバーター技術
200V三相交流出力で有事でも活躍
さらなる活用の場を広げるため、「Power Exporter e: 6000」には、三相交流出力の機能を搭載しています。三相交流は、電圧の位相が 120°の間隔で異なる 3 系統の単相交流を組み合わせた200Vの電源のことで、工場やビルの大型エアコンやエレベーター、農業用の散水用ポンプ、大型冷蔵庫、酪農機器など、大容量の電力を必要とする産業用設備の動力源として広く使用されています。三相交流出力の機能搭載により、災害時などの電力復帰が困難な状況下でも、早期の電力普及が望まれる設備への電力供給を可能とするバックアップ設備として、有効な活用が期待できます。
負荷につながる集電ボックスへ3基の「Power Exporter e: 6000」と電動車両を接続し、それぞれ三相出力モードに変更します。三相出力モードでは、リアルタイム通信同期制御でインバーター同士の位相差を180°から120°に変更します。並列同期制御技術によって、信号通信無しで波形を同期させることができ、三相出力が可能※3となります。
※3 ご使用には集電ボックスが必要です
小型化・軽量化を実現。使いやすさの追求
外部給電機能を備えた車両を「走る電源」として利用するには、外部給電器を持ち運べる「可搬型」とすることが不可欠でした。「Power Exporter e: 6000」と「Power Exporter 9000」は、いずれも大出力ながら、車載可能な小型化を実現しました。
小型化と軽量化を実現できた理由の一つは、コンバーターのレイアウトを見直したことです。一段だったコンバーターユニットの基板を二段構成とし、基板間を中空構造としました。中空構造にすると基板面の片面だけがモールド構造となるため、基板の裏表で熱膨張率が異なり、熱による基板の反りや割れが発生しやすくなりますが、基板の膨張と吸湿を抑える呼吸穴を設けることでこの課題に対応し、小型化と軽量化の両立を実現しました。
「Power Exporter 9000」は、ユニットを細分化し、5つのユニット構成とすることで設計の自由度を高め、より効率的なパッケージングにしました。さらに、容量の大きいコンバーターおよびインバーターなどから出る熱も効率的に排出させるよう、冷却風の流れを工夫したことで、冷却ファンの数を減らすなど、徹底的な小型化を追求しました。
全体構成図
ファンの効率的配置
「Power Exporter e: 6000」は、内部の構成を見直し、さらなる軽量化を追求しました。質量は41kgと、「Power Exporter 9000」の質量51kgに対し、約20%の軽量化を実現、使い勝手の向上を図りました。
一人で持ち運びできる可搬性を実現するため、ハンドルと車輪のつくりにもこだわっています。小さな段差もバランスよくスムーズに乗り越える大型車輪とハンドルを備えています。さらに、「Power Exporter e: 6000」と「Power Exporter 9000」は車載時の安定性と、本体車輪での移動時における操作性の両立をしています。具体的にはハンドルを持ち上げた時にのみ接地する車輪構造を採用することで、車載時には車輪を接地させず安定性を確保し、ハンドルを持ち上げた時には車輪を使い容易に移動できるようにしました。また、ハンドル以外にも本体前後と本体側面に大型グリップを配置し、積み下ろす際の負担を軽減する工夫も施しています。
可搬イメージ
使い方は至ってシンプルにしており、給電コネクターを電動車両に接続し、スイッチを押すだけで給電が開始されます。
また、給電に使うケーブルが本体に収納できるのも、使いやすさでこだわった点の一つです。「Power Exporter e: 6000」では「Power Exporter 9000」に対して、車両と接続する給電ケーブルの長さを1.2mから2.1mへ伸長するとともに、ケーブル径を小さくすることで、さらなる使い勝手の向上を図っています。
Hondaのノウハウがつまった「Power Exporter e: 6000」と「Power Exporter 9000」は、高い電気品質を安定的に供給できる給電性能で、多くの方に安心してお使いいただける外部給電器です。大容量と持ち運びのしやすさで、家庭用電化製品などの身近な機器から災害時における避難所への給電など、さまざまなニーズへの対応を実現可能にし、暮らしに広がりをもたらします。
世界初※4 CHAdeMO協議会「V2L 検定基準 DC 版」認証取得
「Power Exporter 9000」は世界で初めて、CHAdeMO協議会発行の「V2L※5検定」に登録された外部給電器です。電気安全及び車両と接続機器の互換性を確保するために作成されたガイドライン※6に基づき、2016年2月に認証を取得しました。
「Power Exporter e: 6000」も同様に2023年5月に認証を取得しております。
これによりHondaの電動車両に限らず、このガイドラインに従った外部給電機能を備えた他社の車両との接続互換性も確保しており、高い汎用性を実現しています。
※4 2016年当時
※5 V2L(Vehicle to Load):クルマの蓄電・発電機能を活用して、外部給電機能を備えた車両からの電力を電気機器に直接給電を行うこと
※6 電動自動車用充放電システムガイドライン V2L DC版
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