
埼玉県立進修館高校 機械研究部は1年生と2年生でふたつのチームを構成しています。2024年の全国大会は2台ともグループII(高校生クラス)でエントリーしましたが、2025年の全国大会は2台のうち1台がCNグループII(高校生クラス・カーボンニュートラル燃料)で参加します。2台はほぼ同じ構成で、写真はCNグループIIの車両です。
自作のカウルで車輪をすべて覆った車両は、先輩たちが作ったものを受け継ぎ、改良を加えながら走らせています。前年度の卒業生が残した課題は、「エンジンが冷えてしまう」だったそう。この課題に対し、ドライバーのコメントなどから生徒たちが原因を探った結果、車内に入り込む風が原因だと突き止めました。エンジンが効率良く運転する温度域を保つため、これまでも保温するカバーを被せていましたが、もっと広い範囲を覆って保温性を高めるべく、クルマ用サンシェードを利用して新作しています。
エンジン関連では、燃料噴射に使うエアのタンクに1.5Lのペットボトルを2本使っているのが特徴です。容量的には1本で十分ですが、2本にしたほうが競技の後半で燃料噴射が安定することから、2本としています。
燃費を追求する車両のセオリーどおり、転がり抵抗の低減に取り組んでいますが、高価な部品に頼らず、使い方やセッティングの工夫で抵抗の低減を図っています。例えば、駆動輪である後輪のハブはきつく締め付けず、固定方法の工夫でベアリングに過度な押し付け圧がかからないようにしています。
また、エンジンの動力を後輪に伝えるチェーンは、車軸側で引っ張る構造にすると同時にテンショナーを設け、チェーン外れのトラブルを防いでいます。自転車の内装3段ギヤを転用しているのも、チェーン外れのリスクを回避するため。1段目のギヤを抜くことで、このギヤを選択した際に後輪がフリーになります。後輪をフリーにするのにドグクラッチを採用するケースでは、操作時にチェーンが左右に動くため、チェーン外れのリスクが高まります。内装ギヤの場合は操作した場合もチェーンは動かないで、外れるリスクが軽減されるというわけです。
アライメント調整にはとくに力を入れています。部室横の廊下がテストコースです。ここに跳び箱の踏み台のようなスロープを置き、ドライバーが乗った状態で車両を転がします。トーやキャンバーを調整し、惰性で動いた距離から、転がり抵抗の小さなセッティングを導き出しています。生徒の発案と工夫、それに基本整備を重視しているのが、進修館高校 機械研究部の特色です。










