Hondaは、多くのモビリティーで、多くの価値を、世の中に提供してきました。いま、私たちが生みだそうとしているのは、飛行機よりももっと地上に近い、新しい空の移動レイヤーを飛行する、電動垂直離着陸機、eVTOL。さらに、3次元のさまざまな移動レイヤーを結ぶことで、よりシームレスな移動が可能になる、eVTOLを中心としたひとつの大きなエコシステムの実現。すべては、ライフスタイルが拡がる喜びを、多くのお客様へもたらすために。

eVTOLとモビリティーエコシステム

地上と空をつなぐ。

もっと自由なモビリティーを。地上と空をつなぎ移動の概念を大きく変える、3次元モビリティーeVTOL。

陸 海 空

地上と空のレイヤーを組み合わせた3次元の移動サービスを。

Hondaはさまざまなモビリティーをお客様に提供しています。クルマやバイクといった地上のモビリティー、HondaJetで実現した空のモビリティー、そして海にも。こうしたモビリティーをつなげていくことで、移動の価値をもっと提供できるのではないかと考えています。しかも2次元ではなく、地上のレイヤーと空のレイヤーを組み合わせた3次元のサービスによって移動時間が大幅に短縮でき、快適に移動できる。これによって、働く場所に縛られずに住みたい場所に住み、自由な暮らしができる未来を描いています。

地上と空をつなげるにあたって、空のモビリティーとしてHondaJetも手法のひとつですが、もっと空を身近なものにしたい。そのために、HondaJetより地上に近いレイヤーを活用しようと考えました。ビジネス用途だけでなく、通勤、通学にも利用できる、より気軽に使える空のモビリティーとして着目したのが、eVTOLです。

eVTOLは電動垂直離着陸機を意味し、ヘリコプターのように垂直に離着陸するため、滑走路などの大がかりな設備を必要としない空のモビリティーで、電動化により静かでクリーンな移動が可能。さらにHondaは、クルマの室内空間設計で培った技術で快適な移動空間の提供をめざしています。
※eVTOL : electric vertical takeoff and landing

移動価値の拡大をめざしたモビリティーエコシステム。

Hondaは、この新しい空のモビリティーeVTOLを中心に、Honda製品だけでなく公共交通機関を含む地上のモビリティーと連携するサービスを提供し、移動の自由度を大きく拡大するモビリティーエコシステムの構築をめざしています。予約システムやインフラ、運航・管制システム、各モビリティーなど、さまざまな要素を統合することで、地上と空のモビリティーをシームレスに連携させた最短ルートなど、多様な提案が可能になります。

このHondaが描く未来のモビリティーエコシステムに共感する多くの企業や関係機関と協調しながら取り組んでいきます。



多彩に活用できるeVTOL。

より気軽に空を移動できるeVTOLは、人の移動のほかにもさまざまな活用シーンが考えられます。例えば物流や緊急搬送などの用途への展開も期待されています。ミニバンなどクルマのパッケージング技術を活用しながら、乗員が搭乗時間を楽しめる工夫を盛り込むとともに、多用途性も考慮した空間設計を進めています。

Honda eVTOLの特長

安全に、より遠くへ。

HondaJetのノウハウや量産車やレース活動で培ったハイブリッド技術などHondaが連綿と築きあげてきたものを、eVTOLへ。


HondaのeVTOLはなにが違うのか。

eVTOLを設計するにあたり、何よりも優先したのは安全性です。ローターの角度を可変させるティルトローターは燃費の面で有利ですが、その反面、機能統合により故障時に他の機能で補うことが難しくなります。垂直離着陸用に8つのローター、推進用に2つのローターを備えるHonda eVTOLは、機能の分散によって高い冗長性を確保。旅客機と同等の安全性を実現します。

マルチローター構成は安全面だけでなく、ローターの小径化を可能にし、ヘリコプターと比較して圧倒的な静粛性を獲得。乗員の快適性はもちろん、離着陸時や飛行時の周辺環境への影響も最小限に抑えられます。

他のeVTOLにはない特長として挙げられるのは、航続距離を大きく延ばせるガスタービン・ハイブリッド・パワーユニットです。バッテリーに蓄えたエネルギーのみで飛行するAll Electric eVTOLが100km前後の航続距離で都市近郊のタクシー用途を想定しているのに対し、ハイブリッドを採用したHonda eVTOLは、都市間移動までをカバーする400kmの航続距離を確保。モビリティーエコシステムの中心として高い利便性を発揮します。

Hondaの多彩なコア技術が画期的なeVTOLの開発を可能に。

Hondaは、HondaJetにおいて航空機の機体とエンジンの両方で米国連邦航空局(FAA)認定を取得し、事業を行っている世界で唯一の企業です。そのノウハウがあることで空のモビリティーであるeVTOLにおいても開発効率を高められ、いち早くお客様に製品を届けることが可能になります。航空機ならではの軽量構造や製造技術なども大いに活用できます。

F1の技術も有形無形を問わず注ぎ込まれています。F1パワーユニット技術をHonda eVTOLの超高回転ジェネレーターなどに取り入れたほか、空力開発のシミュレーション解析技術や設備も活用。速度域や空気流の乱れが旅客機よりもF1に近いため、空力現象に多くの類似性があることから、レース車体技術もHonda eVTOLに反映されています。

そのほかにもHondaは、長年培ってきたハイブリッド技術やHonda SENSINGなどの安全技術も保有。HondaJetやF1、ハイブリッド車、安全運転支援技術などを経験したエンジニアがプロジェクトメンバーとして参画し、HondaにしかできないeVTOLの開発を進めています。
※FAA:Federal Aviation Administration


※数値はすべてHonda測定値。

よりよい未来のために。無いものをつくるというチャレンジ。

eVTOLはまだ実用化されていません。マーケットがない中でマーケットが求めていることを考える必要があります。航空機ともヘリコプターとも異なるモビリティーであり、法規も整備されていない段階でもあることから、機体の安全性、商品性について常に考え、日々トライアンドエラーを繰り返しながら開発を進めています。 Hondaのコア技術の活用と、独創的な技術やアイデア、デザインで、 Honda eVTOLは移動にまつわる価値を拡大させ、社会をよりよくしていくモビリティーになると、確信を持って取り組んでいます。

Honda eVTOL 開発チーム

  • 東 弘英

    株式会社 本田技術研究所
    先進技術研究所
    eVTOL開発プロジェクトリーダー

    東 弘英

  • 真塩 享

    株式会社 本田技術研究所
    先進技術研究所
    eVTOL開発プロジェクトリーダー代行

    真塩 享

この記事は面白かったですか?

  • そう思う
  • どちらともいえない
  • そう思わない