先進安全自動車 ASV

開発者の想い ASV編

世界から、「事故」はなくさなければいけません。からといって、道路から交差点をなくしてしまうわけにはいきませんし、ある一種類の乗り物だけを残して、他の交通手段を道路から閉め出してしまうというわけにもいきません。

これから先も、クルマやバイク、自転車、徒歩など、好きな交通手段で、好きなときに、好きな場所へ移動できるようにするためには、現在道路上に存在する問題をひとつひとつクリアしていく必要があります。

「無意識に行っていること」を確実に知らせるには?

「事故をなくす」ためのヒントになるのは、「人が無意識に観察しているあれこれ」でした。
人は、クルマやバイクで移動しているときに無意識にさまざまなことを観察して、身の回りで起きていることを感じ取っています。
ビルのガラスにバイクが映っているのを見たりとか、音で後ろからクルマが近づいてきていることを感じ取ったりとか、見えない場所にいるクルマの存在を、他のクルマの動きから予測したりとか……。
人が無意識のうちに行っているこれらのことは、現在のモビリティ社会を成り立たせている重要な要素です。

問題は、「無意識」のうちに行われていることが多いために、見落としてしまう可能性もあるということ。
これら「無意識に行われていること」に範をとって、運転者をサポートするコミュニケーションを実現することができれば、やがて多くの方がこれまでと同じように「無意識」のうちに使いながら、より効果的に危険を回避することのできるものができあがると考えています。
こうした研究の結果生まれたのが、今回ご紹介した「ASV」の安全技術というわけです。

希望のあるモビリティ社会への想いを込めたカラーリング

2006年から始まった「ASV4」では、2010年の大規模実証実験用に新型車を導入しました。 これまで通り、必要な実験をきちんと行えるようにするのはもちろんですが、今回は「デザイン」にも我々の想いを込めてあります。

安全を研究するためのクルマとして「目立つこと」が大事だとの考えから、歴代のHondaのASVはみんな「黄色」。今回のASV-4も「黄色」ですが、大きさの違う二輪と四輪で微妙にコントラストを変えたり、トンネルに入ったときにも存在感を示すことの出来る蓄光塗料を使ったりといったアップデートを行っています。

こうして「黄色」にこだわると同時に、以前よりも「白」の割合を多くしているのも特徴。これは、「ASV」で研究される安全なモビリティ社会が、もっと誰にとっても当たり前で身近なものになってほしい、という想いを込めたものです。

今回ご紹介した「ASV」で実験されている技術の普及は、インフラの整備状況とも密接に関わってくるため、まだもう少し先かも知れません。しかし、折に触れて今回のようにご紹介することで、モビリティ社会の明るい未来を、少しでも身近に感じていただけるようにしたいと思っています。 ぜひご期待いただければ幸いです。

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