走行時の不快なノイズを低減し、上質な室内空間に貢献
走行中の車内にはロードノイズやエンジンノイズ、風切り音など、さまざまな音が侵入します。こうした低周波の騒音を打ち消すことで、優れた静粛性を実現し、快適で上質な室内空間に貢献するのが、「アクティブノイズコントロール」です。エンジン車はもちろんe:HEV車にも対応し、エンジンが停止しているため相対的にロードノイズが聞こえやすくなるEVドライブモード時や、低いエンジン回転数で高いトルクを発生するため、低周波のエンジンノイズがキャビンに伝わりやすくなるエンジンドライブモード時などで大きな効果を発揮します。また、低周波騒音の発生を防ぐ目的で使用しているボディー補強材や制振材を軽減できるため、車両の軽量化にも寄与しています。
ノイズを逆位相の音で打ち消し、低周波音を低減
アクティブノイズコントロールは、エンジンの回転数情報や室内に設けたマイクからの情報をもとに、コントローラーでノイズと逆位相となる打ち消し信号を生成。オーディオスピーカーから音として出力し、音の干渉を利用して不快なノイズを低減します。
エンジンこもり音低減制御
エンジンに起因するこもり音はエンジン回転とノイズの周波数が同期するため、エンジン回転パルスから制御対象の周波数を特定。キャビンの前後に設置したマイクからの入力を常に分析し、打ち消し信号を随時更新することで精度を高めています。
ロードノイズ低減制御
走行中に路面からの入力がサスペンションを介してボディーに伝わることで発生するロードノイズに対しては、室内のマイクによって消すべきロードノイズの周波数を特定。検出された信号が最小になるようにスピーカーから逆位相の打消し音を発します。
音だけではなく振動も検出して、より広範囲のロードノイズに対応
マイクによるノイズ検出に加え、タイヤからの振動を検出する3軸振動センサーを備えたシステムも開発。室内音とタイヤ振動から打ち消すべき低周波ロードノイズを高精度に検出することで、より広範囲の周波数域で静粛性を高めます。特に荒れた路面で発生する圧迫感を伴うロードノイズを低減します。
振動センサーはタイヤ振動を適切に検出するために4輪の各ホイールハウス周辺のボディー骨格に設置。マイクは各乗員の耳に近いルーフの左右に設置し、さらに左右のマイクからルーフ中央部の音を推定することで6マイクと同等の効果を得ています。
乗車状況に応じてノイズ低減効果を最適化する、座席制御
乗員の着座状況に応じてノイズ打消し音を自動で切り替える「座席制御」を実現しました。後席の着座センサーおよびシートベルト装着センサーから、前席のみの乗車か前後席の乗車かを判断し、それぞれ最適となるようノイズ打消し音をコントロール。前席のみに乗車の場合は、前席のノイズ低減効果が最大となるように制御し、前後席に乗車の場合は、全席乗員が会話や音楽を楽しめるよう、ノイズ打ち消し音をバランスよく制御します。
∗「アクティブノイズコントロール」は、すべてのノイズを消す機能ではありません。また、ノイズの聞こえ方には個人差がありますので、人によって効果は異なります。