POINTこの記事でわかること
- アマゾナス州マナウス工場を拠点とするパワープロダクツ事業が、ブラジル現地生産25周年と累計50万台の達成という大きな節目を迎える。
- 交通インフラの限られたアマゾンの水上コミュニティーにおいて、Hondaのエンジンが低燃費で耐久性に優れていると評され、人々の生活や経済活動に欠かせない「足」として活躍している。
- 1953年の原点から受け継がれる「技術で人の負担を軽減し、暮らしを豊かにする」という思想のもと、これからも地域をつなぎ、人々の可能性を広げていく。
ブラジルでHondaパワープロダクツの生産開始から25周年を迎え、現地累計生産50万台という節目も目前に。Hondaは、日々の暮らしをアマゾンの川と共に生きる人々の可能性を広げるため、挑戦を続けています。
Hondaパワープロダクツの担う役割
Hondaは創業以来、モビリティには人々の可能性を広げ、距離を縮め、暮らしを変える力があると考えてきました。その想いは、クルマやバイクだけにとどまりません。インフラや移動手段が十分ではない地域における、仕事や移動をより便利にするソリューションを提供するパワープロダクツ事業にも受け継がれています。
この想いのもと、Hondaは1953年、日本でH型エンジンの生産を開始しました。農業や漁業に携わる人々の身体的な負担を、技術の力で軽減することを目指して開発された製品です。一つのエンジンから始まった事業は、その後、汎用エンジン、発電機、ポンプ、刈払機、芝刈機、船外機など、多彩な製品へと広がっていきました。
それから70年以上が経った今も、同じ想いが世界各地でHondaの事業を支えています。ブラジルでは、独特の地理的環境を持ち、多くの場所で道路が担う役割を川が担っているアマゾン地域で、その想いが大きな意味を持っています。
2026年、ブラジル・アマゾナス州のマナウス工場はパワープロダクツの現地生産開始25周年、累計生産台数50万台の達成という大きな節目を迎えます。Hondaブラジルはこれからも、社会に新たな価値を生み出し、人々の日々の暮らしの可能性を広げていきます。
南米で築いてきたHondaパワープロダクツの歩み
ブラジルにおけるHondaパワープロダクツの歴史は、1973年、主に農業用、業務用、レジャー用の製品の輸入・販売から始まりました。
現地生産を開始したのは2001年。ブラジルでHondaの二輪車も生産しているマナウスの生産拠点でスタートしました。これにより、ブラジルは南米で唯一、Hondaパワープロダクツを生産する国となりました。
マナウスのエンジン生産施設
最初に現地生産された製品はGX160K1 QDエンジンでした。その後、マナウスでの生産は南米地域における重要な拠点へと成長。現在は3機種の定置用エンジンを生産し、ブラジル国内に供給しています。
現地生産を開始してから25年。変化するお客様のニーズに応えるため、取り扱うパワープロダクツ商品も拡充してきました。マナウスで生産するエンジンやポンプに加え、ブラジルでは発電機や刈払機なども販売しています。
生産・品質・物流部門責任者 ロウリバル・バロス
この25年の歩みは、生産台数という数字だけでは語れません。Hondaパワープロダクツがもたらしてきた本当の価値は、仕事や教育、医療、そして日々の暮らしのために技術を必要としている、何千人もの人々の日常の中にあります。
川が「道」になる場所
ブラジル北部、特にアマゾン川とその支流沿いでは、モビリティのあり方が大きく異なります。川沿いのコミュニティーでは、大都市の道路と同じ役割を川が担っています。
仕事へ向かう。子どもたちを学校へ送り届ける。荷物を運ぶ。そして、家族の暮らしを支えるための経済活動を営む。そのすべてに川が欠かせません。こうした環境では、小型ボートに搭載するエンジンが、安全で効率的な移動を支える重要な存在となっています。
私たちは、お客様のニーズや日々の暮らしの中で直面している課題を理解するため、常にお客様に寄り添うことを大切にしています。川沿いのコミュニティーで暮らす方々と深く関わる中で、エンジンは単なる機械ではないということを学びました。多くの方にとって、エンジンは仕事や教育、医療、そして新たな機会へつながるための大切な手段なのです。こうしたお客様との密接なつながりがあるからこそ、より暮らしに寄り添ったソリューションを生み出し、Hondaが長年にわたって築いてきたお客様との信頼関係をさらに深めることができると考えています。
パワープロダクツ・マリン営業責任者 アンダーソン・メイレレス
この地域特有の自然環境が、移動に対する課題をより複雑なものにしています。季節によって川の水位が大きく変化し、それに伴って航行条件も変わるのです。特に渇水期には水深が大幅に浅くなるため、ロングテール式のボートエンジンが、地域の移動を維持するための唯一の選択肢となる場合もあります。
こうした環境でHondaのエンジンが信頼を得てきた背景には、耐久性や信頼性、静粛性、低燃費、そして排出ガスの少なさがあります。それを支えているのが、Hondaの大きな特長の一つである4ストロークエンジン技術です。
水の上で暮らす、カタランの人々
その暮らしを象徴する場所の一つが、ブラジル・アマゾンの中心都市マナウス近郊、ネグロ川とソリモンエス川の合流地点近くに位置する水上コミュニティー「カタラン」です。
1960年代から形成されてきたカタランには、現在およそ115世帯が暮らしており、ここでは、すべての家が水に浮かんでいます。川の水位が季節によって変化すると、それに合わせて家も自然に上下します。アマゾン地域の重要な観光地の一つであると同時に、カタランは、人々が自然の営みに合わせて暮らしを築いてきたことを物語る場所でもあります。
川とともにある暮らしを支える技術
カタランに30年以上暮らすライムンダ・フェレイラ・ヴィアナさんは、この地域の暮らしを知り尽くした一人です。農業に従事しながら地域のリーダーも務め、住民が抱える課題に耳を傾け、地域の家族の生活をより良くするために活動しています。
ライムンダさんの日常では、Hondaのエンジンがさまざまな場面で活躍しています。街への移動や孫たちの通学だけでなく、重要な収入源となる製粉機の稼働にも使われています。また、毎日使用するHondaのポンプをはじめ、エンジン以外の商品も暮らしを支えています。
ライムンダさんにとって、エンジンがもたらすモビリティは川沿いでの生活に欠かせないものです。
ここではロングテールエンジンなしでは暮らせません。移動手段の確保が必須だからこそ、私はこのエンジンを信頼しています。
長年にわたる商品の信頼性こそ、ライムンダさんがHondaを選び続けるうえでの大きな理由となってきました。生活のあらゆる場面で川を利用する彼女にとって、移動にも仕事にも安心して使えるHondaの商品は、日々の暮らしを支える存在です。
漁師のジョゼ・マリーニョさんがカタランに移り住んだのは1994年。彼にとっても、エンジンという技術は暮らしを大きく変えるものでした。彼の一日は夜明け前から始まります。午前4時ごろにはすでにボートに乗り、家族の生活を支えるため、漁場へと向かいます。
エンジンは、漁にも移動にも欠かせない道具です。信頼できるエンジンがあるからこそ、この地域の水路を長距離移動し、新鮮な魚を街まで届けることができます。
そしてモビリティの進化は、生産性も大きく向上させました。かつて何時間もかけてオールで漕いでいた距離を、今ではわずか数分で移動できるようになっています。
私たちにとってエンジンは、街で暮らす人にとってのクルマやバイクと同じで、移動するためにエンジンは欠かせません。Hondaのエンジンはその期待に常に応えてくれるからこそ、私たちはこのエンジンを信頼しています。
商店を営み、メカニックでもあるラザロ・ネトさんにとって、エンジンは地域での移動だけでなく、収入にも直結する存在です。商品の運搬や日々の移動に使われ、仕事を止めずに続けるための欠かせない道具となっています。
エンジン整備の経験を持つラザロさんは、技術的な視点からもHonda製品を評価しています。サポートを受けられる場所から何時間も離れた場所で故障すれば、その場から動けなくなる可能性もある地域だからこそ、部品の耐久性や堅牢な構造が、使う人の安心感につながっているといいます。
Hondaが一番です。部品が丈夫で長持ちするし、安心して使えます。エンジンは私にとってすべてです。どこへ行くにも必要ですし、家族を養うための仕事を支えてくれているのも、このエンジンです。
次の世代へ、可能性を広げていく
ブラジルでの現地生産25周年を迎え、累計生産50万台という節目を目前にしたHonda。その歩みを支えてきたのは、技術への挑戦、お客様からの信頼、そして社会に新たな価値を生み出し続けるという想いです。
アマゾンの中心、マナウスで生産されるHondaパワープロダクツは、農業に携わる人、漁師、商店を営む人、事業を営む人、そして地域で暮らす多くの人々が、移動の課題を乗り越え、生産性を高め、可能性を広げることを支えています。
1953年のエンジン開発から一貫しているHondaの想いは、南米において受け継がれていきます。それは、技術の力で人々の役に立ちたいという想い。人々の暮らしをより豊かにし、移動を支え、次の世代に新たな可能性を生み出していく。これからもこの挑戦は続いていきます。
私たちの工場から送り出される一つ一つの商品には、エンジニアリングや技術の枠を超えた役割があります。マナウスで生産されたエンジンが地域の人々をつなぎ、漁業や農業に携わる方々、事業を営む方々の仕事を支え、収入の創出に貢献していることを誇りに思います。パワープロダクツの現地生産25周年とブラジルでの累計生産50万台という節目は、生産活動における成果であるだけでなく、Hondaが事業を展開する地域とそこで暮らす方々の発展に貢献し続ける姿勢を示すものでもあります。