POINTこの記事でわかること
- F1は世界的に人気が高まっており、開催を希望する国・都市が増加
- Hondaは日本でのF1開催を継続するために、F1ファンを増やす取り組みを行っており、その一環として今春開催したイベントには、延べ3万3,000人が来場した
- F1はビジネスの場としても脚光を浴びており、鈴鹿サーキットを運営するホンダモビリティランドはビジネス観点での取り組みも開始した
2025年4月6日、鈴鹿サーキットでF1日本グランプリ(以下、日本GP)決勝が行われました。それに合わせて東京で関連イベントが開催され、大きな盛り上がりを見せました。今回はHondaが力を入れている、日本におけるF1と一般生活者のタッチポイント拡大、F1協賛企業の拡大に向けた取り組みについて、ホンダモビリティランド株式会社の代表取締役社長 斎藤毅に話を聞きました。
ホンダモビリティランド株式会社
代表取締役社長
もっと見る
閉じる
斎藤毅
1988年Hondaへ入社。人事・コーポレートガバナンス統括部長などを経て、2023年にホンダモビリティランド株式会社 代表取締役社長(現職)に就任。
閉じる東京で音楽やグルメとの複合イベントを開催、F1との接点を拡大
お台場でパブリックビューイングやマシン展示に加え、グルメや音楽を楽しめるイベントを開催した
4月2日にはF1ドライバーも登壇した、スペシャルトークイベントが開催された
先日、鈴鹿サーキットで開催されたF1日本GPは26万6000人が来場し、大きな盛り上がりを見せていました。今回は、日本GP開催に合わせて東京・お台場で4月2日からの計4日間、音楽やグルメも合わせた複合イベントが開催されていたことも印象的でした。
タイヤ交換のスピードに挑戦するピットストップチャレンジの様子
4月2日には、F1マシンによるデモンストレーション走行イベント「Red Bull Showrun x Powered by Honda」も開催されました。F1マシンが東京の公道を走行するということ、また角田選手のOracle Red Bull Racingへの移籍が発表された直後ということもあり、会場はすごい熱気に包まれていましたね。
デモンストレーション走行イベントの様子
このデモンストレーション走行イベントは、国際トップモータースポーツ 体験事業実行委員会が主催し、Hondaとレッドブル・ジャパンがサポートする形で実現しました。F1マシンによるRed Bullショーランは、2019年以来、6年ぶりの開催で、公道を駆け抜けるF1マシンのスピード、音、迫力を間近で感じていただけたのではないかと思います。
Oracle Red Bull Racing から4年連続チャンピオンのマックス・フェルスタッペン選手、角田裕毅選手、Visa Cash App Racing Bulls からリアム・ローソン選手とアイザック・ハジャー選手、計4名のドライバーが参加する豪華なイベントとなりました。
なお、当日はF1マシンのデモンストレーション走行に加え、リアム・ローソン選手とアイザック・ハジャー選手が「PRELUDE」 プロトタイプに、角田裕毅選手とマックス・フェルスタッペン選手が「Honda 0 SUV」 プロトタイプにそれぞれ乗って、公道走行を行うという、サプライズ演出も行いました。
Hondaがこれまで取り組んできた、レース運営や鈴鹿サーキットご来場の皆様に満足していただく各種の施策はもちろんですが、今後も引き続き鈴鹿までお越しいただくことが難しい方にもF1の魅力を知っていただくために、Hondaグループとして強力に連携し、さまざまな取り組みを行っていきたいと考えています。
今回のデモンストレーション走行はその取り組みの一環ですが、今後も東京などを中心にF1日本GPを楽しんでいただけるサーキット以外のタッチポイントを増やしていきたいと考えています。
F1ドライバーが「Honda 0 SUV」 プロトタイプ(左)と「PRELUDE」 プロトタイプ(右)でパレードラン
前述の通り、F1の魅力をより多くの方に知っていただく取り組みをHondaとして強化しているわけですが、その一環として最も注力している施策のひとつが「F1 Tokyo Festival」です。こちらは、2年前に開始しており、2023年は新宿歌舞伎町、2024年は六本木ヒルズで、F1ドライバーのトークイベントやF1マシン展示を中心としたイベントを開催しました。さらに、2024年11月には、東京・歌舞伎座で日本GP公式アンバサダーに歌舞伎俳優の市川團十郎さんをお迎えし、F1ラスベガスグランプリのパブリックビューイングイベントとF1マシンの展示も実施しました。
日本ではF1は過去のもの?世界的に人気の高まるF1
改めて、F1をあまり知らない方に向けて、F1日本GPについて簡単に教えていただいてもよろしいでしょうか。
F1は世界最高峰の四輪レースとして、75年の歴史を誇ります。年間延べ650万人が各国のF1開催サーキットで観戦し、グローバルでのF1ファンは7億人を超える、世界有数のスポーツエンターテインメントです。鈴鹿サーキットでのF1日本GPの初開催は1987年、今年で35回目を迎えました。今年の来場者は26万6000人、昨年比で16%増、鈴鹿サーキットでF1日本グランプリを再開した2009年以来で最大の来場者数となりました。これまでの累計観客動員数は延べ890万人以上に上ります。
2025年 F1日本GPのレーススタート
長いF1の歴史の中で、1990年代の日本でのF1ブームはすさまじいものでした。
おっしゃる通り、1990年代に地上波でのレース放送やF1ドライバーのバラエティー番組出演などをきっかけとして起こったF1ブームで、日本でF1が大きく注目されるようになりました。アイルトン・セナやアラン・プロストなど、一大ムーブメントを巻き起こしたドライバーの名前を覚えている方も多いかもしれません。
その印象のせいか、国内において「F1は過去に流行したもの」というイメージが先行していますが、近年世界的にF1人気は急激に高まっており、海外からの来場者は昨年の50,000人から2025年は80,000人に上りました。
近年ではHondaが活動を支援する角田裕毅選手の人気が高まっていますね。
角田裕毅選手のインスタグラムのフォロワー数は300万人(2025年4月時点)を超えています。日本人スポーツ選手におけるフォロワー数ランキングで野球の大谷翔平選手に次いで2位という多さなんですよ。
日本でも再び盛り上がりを見せるF1シーン。現状の課題感などについてもお聞かせください。
ホンダモビリティランドは「モビリティ文化の醸成」や「モータースポーツ振興拡大」をミッションに掲げていますが、前述の通り、F1は過去のものというイメージが先行しています。そこで、これまでF1とあまりなじみのなかった若い世代の方も含め、より多くのお客様や企業様にF1の魅力をお伝えすべく、Hondaグループとしてさまざまなアプローチを推進しています。
4月4日にはF1日本GPビジネスカンファレンスが初開催されました。
F1日本GPビジネスカンファレンスの様子
はい、実は世界的にはF1はビジネスの場としてもその存在感を増しています。国内企業様向けにF1の魅力をお伝えし、F1日本GPをビジネスフィールドとして捉えていただくため、F1日本GPの開催に合わせて、初めてF1日本GPビジネスカンファレンスを開催しました。当日は70社以上、人数では130名を超える企業の方にご参加いただき、「F1がグローバルにおいてどのように成長したのか?」「グローバル企業は、F1に対して、どのようなビジネス投資を行ったのか?」「F1日本GPや鈴鹿サーキットをフィールドにしたビジネス協業の可能性とは?」などについて有識者をお招きして語っていただきました。
最後に、F1ファンの皆さんにメッセージをお願いします。
鈴鹿サーキットはHondaのホームです。これからも末永くF1グランプリを開催していくためにも、これまで応援し支えてきてくださったF1の皆様はもとより、これから興味を持ってくださる皆様、一緒にF1日本GPを盛り上げていってくださる企業様のお力を借りながら、今後もF1の魅力や価値を最大化させ、次世代につながる取り組みを加速させていきたいと考えていますので、是非ご注目ください。
ありがとうございました。
お台場では三重県の鈴鹿サーキットまで足を運ぶのが難しい方にもF1に触れていただこうと、「F1 TOKYO FAN FESTIVAL」を開催しました。このイベントはHondaとホンダモビリティランドが共同主催という形で開催し、F1のパブリックビューイングに加え、F1にあまり詳しくない方、家族連れの方でも楽しめるよう、音楽やグルメなどを組み合わせた複合イベントとし、「F1 VILLAGE ZONE」、「WORLD FOOD CIRCUIT ZONE」、「TWILIGHT MUSIC ZONE」という3つのゾーンをご用意しました。
「F1 VILLAGE ZONE」では、F1マシンの展示に加え、F1シミュレーターや、タイヤ交換のスピードに挑戦するピットストップチャレンジなど、F1の世界をリアルに体感できるコンテンツを用意しました。
「WORLD FOOD CIRCUIT ZONE」では、さまざまなF1グランプリ開催国のご当地グルメを提供し、「TWILIGHT MUSIC ZONE」では、幅広い音楽ジャンルのアーティストの皆様をお招きし、会場でライブミュージックをお楽しみいただきました。