Honda Stories

 

モータースポーツ・スポーツ 2023.12.26

ニューイヤー駅伝で3連覇へ 陸上競技部がつないできた襷

ニューイヤー駅伝で3連覇へ 陸上競技部がつないできた襷

ニューイヤー駅伝で2022年、23年と2連覇しているHonda陸上競技部。2024年の年始には3連覇が期待されています。大会を前に、チームを作り上げてきた監督の小川智、主将の伊藤達彦、今年個人としての活躍も目立った青木涼真と小山直城にインタビュー。抱いている「夢」や、その実現に向けた「挑戦」、ニューイヤー駅伝への意気込みについて聞きました。

小川 智(おがわ さとし)

小川 智(おがわ さとし)

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伊藤 達彦(いとう たつひこ)

伊藤 達彦(いとう たつひこ)

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青木 涼真(あおき りょうま)

青木 涼真(あおき りょうま)

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小山 直城(こやま なおき)

小山 直城(こやま なおき)

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夢や目標に挑戦し続けることが「Hondaらしさ」

2022、23年のニューイヤー駅伝で連覇を達成しました。今シーズンはどのようなチーム作りをしてきたのでしょうか。

小川
小川

チームのスローガンについては、昨年は「超戦」でしたが、今年はシンプルに「挑戦」としています。昨年はまだ日本のトップにいっておらず、多くの人たちの期待を超える、という思いがありましたが、今年は世界に挑んでいこう、と目標を立てて取り組んできました。中距離でもマラソンでも、各カテゴリーの全てで日本のトップを取りたいと考えてやってきて、それが徐々に実現しつつあります。ここからはもっと世界に挑戦していきたい。「Hondaだからできるよね」と言われるチームにしていきたいなと思っています。

ニューイヤー駅伝で優勝したあとは、反響も大きく、寮の近所の人たちが声をかけてくれるようになったそうです。

小川
小川

地域の方々や従業員、ファンの方に応援されるのとは、また違った嬉しさがありますね。合宿先でも、「せっかく毎年皆さんが来てくれているから、車を買い替える時にHondaの車にしたよ」という声をいただくこともありました。ここ数年、社内外からの期待がどんどん高まっているのを感じます。期待されることでプレッシャーも感じますが、それが適度にいい緊張感を生んでいると思います。

今期は個人で目標に向かって取り組む時期が長く、4月から一度も全員が集まっての練習をしていません(10月中旬の取材時点)。それでもチームの仲が良く、つながりが強いのがHonda陸上競技部の強さだと小川は言います。

小川
小川

実際に、外部の方からも「Hondaに入って本当にみんな伸びるよね」と言っていただき、それが誇りでもあります。これは社風ともつながるのですが、私たちは「誰々のメソッド」や「誰々の指導を受け継いだ」ということはなく、オリジナルで選手それぞれの「個」を尊重して工夫しながらやってきました。それが今、結果という見える形になってきているのだと思います。

Hondaがグローバルブランドスローガンに掲げる「The Power of Dreams」、そして新たな副文「How we move you.」。陸上競技部として、どのように受け止めているのでしょうか。

小川
小川

初優勝した時も社長の三部敏宏さんから「Hondaを体現してくれてありがとう」と言葉をかけてもらいました。
Hondaの掲げる“夢の力”は、夢と目標を実現していく選手たちの姿を通じて、見てくださっている方々にも伝わるのではないかと考えています。また、それが皆さまにとって一歩踏みだすきっかけになる「move」に少しでもなれればなと思っています。moveには「movement」の意味もあると思っています。陸上競技部が会社の先陣を切って、movementを起こしていく存在でありたいと思っています。

みんなが一体となり、一つの夢や目標に熱き想いを持って挑戦していくことが「Hondaらしさ」だと語る小川。自身にも夢や目標があります。

小川
小川

私としては、このチームから世界で頂点に立つような選手を出すことが大きな夢であり目標です。日本ではトップレベルになってきましたが、まだ世界には遠く及びません。なんとしても成し遂げたいですね。

いよいよHonda史上初の3連覇に向けた戦いが幕を開けます。

小川
小川

ニューイヤー駅伝は、勝ちます。「連覇」ではなく、一つひとつの勝ちを積み重ね、チャレンジし続けていきたいですね。応援してくださる皆さんの応援がいつも大きな力(我々の夢)になっていて、自分たちを動かしてくれています。これも「The Power of Dreams - How we move you.」だなと、身をもって感じています。今後も、陸上競技部への応援をよろしくお願いいたします。

チーム全員で襷を繋ぎ、3連覇を目指す チーム全員で襷を繋ぎ、3連覇を目指す

Hondaに入社し、視野が世界に広がる

今年4月から主将を努める伊藤達彦。突然、寮のエレベーター内で小川監督から「主将をやってくれないか」と打診されました。

伊藤
伊藤

「ここで言うんだ!」とびっくりしました(笑)。年齢もチームで真ん中なので心配もありましたが、自分を指名してくれている以上、頑張ってみようと引き受けました。

チームメイトとは普段からコミュニケーションをとっているのですが、主将になってからは、今まで以上に心がけています。同じ家に住んでいるし、練習がバラバラでもご飯の時間には誰かがいるのでしゃべったり。チームメイトは“家族”です。

伊藤は、Hondaに入社していなければ競技をやめてスポーツショップの店員になろうと思っていました。それほどHondaへの思いが強い選手です。

伊藤
伊藤

大志田秀次監督(現・Honda陸上競技部エグゼクティブアドバイザー)の縁で、大学1年の頃からHondaの練習に参加していました。その時からお世話になっていましたし、明るい雰囲気やチャレンジする精神が僕とマッチしていると思って入社を決めました。Hondaの社風も好きですし、明るくてみんな仲が良いHondaのチームカラーも好きです。

練習後の食事では、チームメンバー同士話がはずむ 練習後の食事では、チームメンバー同士話がはずむ

伊藤は入社2年目で、世界の舞台にチャレンジをしましたが、そのレベルの高さを痛感しました。直近の夢を尋ねると、「来年の世界大会に出場して、少しでも以前の自分を超えたい」と語ります。

伊藤
伊藤

自分が世界を目指せるような選手だとは、思ってもいませんでした。ですが、Hondaに入って学生の時とは視野が変わってから、「目指せるんじゃないか」と思うようになりました。トラックで活躍したら、ゆくゆくはマラソンもやりたいなと思います。僕は、陸上を始めた最初の頃、本当に力のない選手でしたが、そういう選手が世界で戦う姿、「続けていればいつか夢や目標を実現できることもあるんだよ」という姿を見せ続けて、今落ち込んでいたり、ネガティブになっていたりする人たちに少しでも勇気を与えられたらな、とも思っています。

「駅伝はずっと好きです。みんなでやるのって、やっぱり楽しいなって思うんです」と、駅伝の魅力を語る伊藤。Hondaの従業員として、個人の目標はもちろんですが、ニューイヤー駅伝での活躍も期待されています。

伊藤
伊藤

ニューイヤー駅伝では3連覇を目指して、チーム一丸となってやっていきます。Hondaファンの皆さんや従業員の皆さんの期待に応えられるように頑張りたいです。それから、できれば応援の時は名前を呼んでくれるとすごく力が出るので、ぜひ僕に限らず、走っている選手の名前を呼んでの応援をお願いします。

世界の大舞台を目指す挑戦者たち

チーム力の向上には個人のレベルアップが欠かせません。今シーズン、個人の活躍が光ったのが、3000m障害を主戦場とし、8月の世界選手権で決勝進出を果たした青木涼真と、国際大会出場の切符を掴んだ小山直城です。

青木は大学時代からトラック競技や駅伝で結果を出してきました。「自分の可能性にかけてみたい」と、憧れていた小山がいるHondaに入社しました。

青木
青木

入社当時、まずはニューイヤー駅伝初優勝に貢献したいと思っていました。チームには設楽悠太さん(現・西鉄)をはじめとする、トップ選手ばかり。とにかく自分が埋もれないように、駅伝のメンバーに入るため、がむしゃらに練習に取り組んできました。

その練習が実を結び、入社2年目でHondaとして初めて駅伝で優勝して、本当に嬉しかったですね。駅伝は個の結集ではありますが、チームワークが大きく結果に影響してきます。Hondaには良い選手ばかりで、日本で一番強いチームだと多くの方に知っていただきたいとずっと思っていましたが、優勝してそれがようやく証明できました。

青木は5区区間賞の走りで2連覇に貢献 青木は5区区間賞の走りで2連覇に貢献

3000m障害の日本代表として、大きな舞台を次々と経験。2023年世界選手権では決勝進出を果たし、目標や夢も大きくなっていきました。

青木
青木

世界選手権の決勝はいつもスタンドから見ていた憧れの舞台でした。決勝に出たら出たで、もっと高みに、という欲が出てきました。レース後、ここはまだ終わる所じゃない、と思いました。海外を見ると、僕より10歳くらい年上の選手も決勝に出ています。世界基準の目標を立てて、できるだけ長く第一線で戦いたいです。

2024年のニューイヤー駅伝は何としても勝ちたいですね。もう2位は獲りたくないですし個人としても良い走りがしたいです。3連覇となると、黄金時代と言えるでしょうし、今も1人1人がどんどん強くなっているチームなので、ミスなく勝ちたいと思います。

小山は日本代表の切符を掴み、一気に注目を集めました。地元・埼玉県を拠点とし、なじみの深かったHondaに入社を決めました。当時、憧れの設楽悠太さんがいたことも決め手になりました。

小山
小山

入社した時はニューイヤー駅伝に出ることが目標でした。Hondaは選手のレベルが高いので、メンバーに入るだけでも大変です。練習の質も量も大学の頃に比べて格段に上がりました。

ニューイヤー駅伝には1年目から出走。3年目には初優勝に貢献、2連覇を果たした4年目はエース区間の4区を任されました。大学時代は、年始の学生駅伝が最大の目標でしたが、各大学の選手から成る選抜チームの一員として、2年時に走ったのみ。だからこそ自分のチームでつかんだ優勝には格別な思いがあります。

小山
小山

国際大会での日本代表を決めた時より、ニューイヤー駅伝で優勝の方が嬉しいですね。トラック競技やマラソンは個人レースですが、駅伝はチーム戦で、襷をもらう位置によって走り方や戦略が変わってきます。そういった考えたレースができるのが駅伝の楽しいところだと思います。初優勝した2021年は23位で襷をもらって追い上げるという走りでしたが、今年は初めて先頭を走り、良い経験になりました。何より、優勝のゴールシーンではみんなで集まって胴上げをして、盛り上がれたのが楽しかったです。

自身の競技力向上とともに、胸に抱く夢も少しずつ変化してきました。走ることがとにかく好きで、世界各地のマラソン大会に出るのが「究極の夢」と語ります。

小山
小山

入社3年目に10000mで27分台を出して、マラソンに移行した時、マラソンで世界大会を目指そうという思いが芽生えました。今は世界の舞台で8位入賞が夢であり、目標です。究極の夢をかなえるため、1年でも長く競技を続けられるようにしたいと思っています。

ニューイヤー駅伝は来年1月1日9時15分号砲です。3連覇はもちろん、個人の区間賞も目標に掲げています。

小山
小山

Hondaのチームは個性豊かで、チームワークもあります。自分はマラソンに取り組んでいるので、長い距離や単独走になりやすい後半区間が向いているのかなと思っています。2024年も出走メンバーに入り、チーム3連覇と個人の区間賞、その2つを達成できるように頑張ります。当日はたくさんの応援をよろしくお願いします。

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