ついに開幕した、3年ぶりのF1™日本GP。しかも、Oracle Red Bull Racingのマックス・フェルスタッペン選手がチャンピオン決定に王手をかけて臨む大一番となり、世界中の注目が集まっています。そんな中、マックス選手と、”チェコ”の愛称で知られるチームメイトのセルジオ・ペレス選手が、Honda本社に来訪。日本GPに向けた想いを語ってくれました。両選手にとって、Hondaはどんな存在なのでしょうか。
マックス・フェルスタッペン
さらに表示セルジオ・ペレス
さらに表示勢いに乗って鈴鹿へ。日本GPへの想い
世界中を転戦するF1世界選手権は、今シーズン予定されている22戦中17戦が終了。そのうち13勝を挙げてコンストラクターズ(チーム)ランキング首位を独走するのが、Oracle Red Bull Racingです。Hondaは、チームパートナーとしてサポートするとともに、HRC(ホンダ・レーシング)を通じた技術支援という形で、マシンの心臓部であるパワーユニット(PU、エンジン+ハイブリッド機構)の組み立てやレース現場での運用をサポートしています。
さらに、Hondaが日本GPのタイトルスポンサーを務め、今大会は「Honda Japanese Grand Prix」として開催されることもあり、両選手にとっては、まるでホームレースのような盛り上がりを見せています。
3年ぶりに日本に帰ってくることができて、そしてファンの皆さんに会うことができてとてもうれしく思っています。昨年はマックスがチャンピオンになりましたが、それを日本の皆さんと一緒に祝えなかったのがとても残念だったので、この日本GPをとても楽しみにしてきました。
マックス選手は今季ここまで11勝を挙げて、ドライバーズチャンピオンに王手。ペレス選手も前戦シンガポールGPで今季2勝目を挙げており、両ドライバーともに絶好調と言える状態で日本GPを迎えました。
とても浮き沈みの激しいシーズンでした。順調なスタートだったのに、その後マシンの開発が進むにつれて、そのマシンに順応するために数戦を必要としました。でも、まだシーズンは5レース残っていますし、日本GPは絶対に勝ちたいと思っているんです。Hondaにとっても、今週末のレースで僕らが1-2フィニッシュできればいいですよね。
鈴鹿でチャンピオンを決めてほしいという期待が集まっているので、叶えられるように全力を尽くします。パーフェクトなレースウイークにする必要がありますが、それを目指して頑張ります。レースに勝つ自信はありますよ。
F1ドライバーにとって夢の力とは
F1という世界の舞台で戦うことを夢見てきた両選手。まずはペレス選手に、これまでの歩みを振り返ってもらいました。
6歳のときに、兄のお下がりのレーシングカートに乗っていました。兄とは少し年が離れていたので、10歳以上の子供が乗るようなカートだったのですが、小さな自分にはあまりにも大きくてスピードも速いし、とにかく怖かったですね(笑)。最初はタイムアタックをするなんて考えられないほどでした。当時はメキシコから出て行って世界を舞台にするというのは全く想像できなくて、学校に行っては友達とマシンについて一緒に話し、そしてカートに乗って、その後はサッカーをしに行ってという感じで、とにかく楽しい毎日でした。今振り返ると、その頃から様々なキャリアを積んでここまでステップアップしてきたものだなと、本当に懐かしい気持ちになりますね。
着実に成長し、メキシコ人として5人目のF1ドライバーとなったペレス選手。現在は、名実ともに母国を代表するレーシングドライバーです。
メキシコ出身のレジェンドドライバーで、ペドロ・ロドリゲスさんという60年代に活躍されたドライバーがいます。その選手を超える成績※1を残すことができて、感慨深い気持ちです。なかなかメキシコ出身のF1ドライバーが出現していなかったので、僕の後で、もっとたくさんの子供たちが将来このF1の世界に飛び込んで活躍してくれるといいなと願っています。
※1 ペドロ・ロドリゲス氏は2勝、ペレス選手は4勝を挙げている
そして、2021年の最終戦でF1ワールドチャンピオンに輝いたマックス選手。夢が叶う瞬間というのは、どんな感情が沸き起こるのでしょうか。
長い間向かってきた夢が叶った瞬間は、最高の気分でした。ずっと叶えたかった目標が、実現したわけですから、そのときの感情は特別なもので、もしまたチャンピオンになれたとしても、もう二度と味わえるものではないかもしれませんね。
チャンピオンが決まった瞬間、すべてが報われた想いでした。そして、幼い頃にカートを始めたときからのすべての記憶が蘇ってきました。全部が、F1チャンピオンという夢に繋がっていたんですね。そこから、この瞬間を楽しもうという気持ちになりました。
そして、今季も快進撃を続け、2年連続チャンピオンまであと一歩に迫ったマックス選手。これからも貪欲に勝利を目指していきながらも、それを「楽しみたい」と語ります。
今は、マシンとPUを含めたパッケージ全体に競争力があります。僕らは、まだまだ多くのことを成し遂げていけるはずです。もっと勝利を重ねていけるようにしていこうと思いますし、できればタイトルも増やしていきたいですね。ただ、その一方で、こうした日々はあっという間に過ぎ去ってしまうものなので、それを楽しんでいかなければと思っています。自分自身やマシンに競争力があるのは素晴らしい気分ですし、目標に向かってトライを続けていくこと自体が楽しいんです。
Hondaとの絆
2021年、Honda F1にワールドチャンピオンをもたらしてくれたマックス選手と、それを支えてくれたペレス選手。2人のHondaとの出会いを教えてくれました。
僕が子供の頃、メキシコでF1はあまり有名でなくて、チャンプカー(現:インディカー※2)のレースをよく見ていました。実は、Hondaエンジンでチャンプカーを戦っていたエイドリアン・フェルナンデスさんと僕の父は一緒に仕事をしていたんです。その頃から、Hondaは素晴らしい会社だと思っていましたし、ずっとリスペクトしていました。だから、今はHondaと一緒に仕事ができるという夢が叶ったと言えるかもしれません。
※2 インディカー・シリーズ・・・北米最高峰のフォーミュラカーレース
今はHondaのCR-Vに乗っていますが、家族で出かけるのにぴったりですね。Hondaのスクーターも持っていたことがあって、60cc、80cc、125ccと徐々に排気量を上げて乗ってきました。あとはNSXを1年間貸し出してくれたのですが、メキシコではあまり走っていないクルマで目立ちすぎるので返してしまいました (笑)
そして、マックス選手とHondaの出会いは、まるで運命だったかのよう。
たしか3歳だったかな、その頃から僕はHondaのF1マシンに乗っていたんです!
1998年3月、Hondaはマシン製作も行うコンストラクターとしてF1参戦を目指していましたが、その頃にテスト用マシンとして作られたのが、この白い「RA099」。そのテストドライバーを務めていたのが、マックス選手の父、ヨス・フェルスタッペン氏でした。写真は、そのテストについてきた幼少時代のマックス選手が、RA099のコクピットに収まった姿を捉えた一枚。この少年が、20年以上の時を経て、Honda F1のPUでチャンピオンに輝いたのです。
その頃の記憶はあまりないのですが、Hondaは2000年の参戦に向けて、実戦を見据えたマシンを作っていたところでした。美しいマシンだし、今見ても素晴らしいレーシングマシンだと思います。
幼少期から目指していたF1ドライバーとなった両選手は、仕事を通じてHondaがどのように見えているのでしょうか。
Hondaはとてもひたむきに仕事をしてくれるんです。日々、PUの向上のために皆さんが全力を尽くしてくれています。これは本当に尊いことで、そういうPUでレースができて本当にうれしいです。PUに関して何かチームに言えば、Hondaはそれを改善してくれるという流れが形成されていて、素晴らしいチームワークです。例えば、先週のシンガポールGPは、とても蒸し暑くて、レースウイークの始めにはドライバビリティ (エンジンの扱いやすさ)にも課題を抱えた状態でしたが、それをレースまでに調整してくれて、戦いやすくなりました。こうした関係が何年も続くことを願っています。
PUは、飛び抜けて素晴らしいですよ。僕はこれまで5つのブランドのエンジンを搭載したF1マシンに乗ってきましたが、Hondaのエンジンサウンドは他と全く異なりますね。今年はさらに高いトップスピードを実現していますが、こうしたエンジンでレースができるのは、Hondaのスタッフが最高の仕事をしてくれているからにほかなりません。コース上でのバトルにも大いに役立ってくれていますし、追い抜きでも強さを発揮してくれます。僕らとHondaとの絆はとても強く、今年はさらに一歩上のレベルに来たのではないかと思っています。一緒にレースで勝てるのがうれしいですし、もちろんチャンピオンも勝ち取りたいですね。
この日本GPを前に、Hondaはモータースポーツのさらなる発展を目指して、レッドブル・グループとのパートナーシップを強化していくことを発表。ペレス選手のホンダ・レーシングスクールのアンバサダー就任や、11月27日(日)に開催される「Honda Racing THANKS DAY(ホンダ・レーシング サンクスデー)2022」へのF1ドライバー参加が決まりました。
また、Hondaとレッドブル・グループの強い絆の象徴として、今週末のレースから、同じHondaの技術が活かされたPUで戦うOracle Red Bull RacingとScuderia AlphaTauriのマシンに、Hondaのロゴがあしらわれることも決定。Hondaとともに世界最速の夢に挑むドライバーたちが鈴鹿で活躍する姿に、ぜひご注目ください!
[特別映像]インタビュー ダイジェスト
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日本GPというのは自分にとって本当に特別で、毎年とても楽しみなレースですが、この2年は来日できずにとても残念だったので、こうしてまた日本のファンに会えてとてもうれしいです。日本のファンは、とてもマナー良く接してくれて社交的。それなのに、F1に対しては熱狂的ですよね。オリジナルのコスプレも面白いし、大好きです。