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第83回 都市対抗野球大会 Honda 熊本硬式野球部

1回戦

第83回都市対抗野球大会

7月18日(水) 18:00
試合会場:東京ドーム

チーム名 1 2 3 4 5 6 7 8 9
Honda熊本硬式野球部 0 0 0 1 0 0 0 0 0 1
パナソニック 0 0 0 2 0 0 0 0 × 2
バッテリー Honda熊本 パナソニック(門真市)
投手:山中-隈部-荒西

二塁打
三塁打
本塁打

Honda熊本一瞬の守りの隙を突かれて、2回戦進出ならず

毎回ランナーを出すも決定打がなく、じれる展開。四回、浜岡のスクイズで待望の先制点。そのウラ、ファーストのエラーから出塁したパナソニックに2点を奪われ逆転される。先発の山中は好投を続け、味方の援護を待つ。しかしその後もあと一本が出ず、そのまま1-2で試合終了。残念ながら初戦敗退となった。

 レベルの高い九州地区は、代表となることが難しい。そのかわり、代表を勝ち取れば、そう簡単には負けないぞという気持ちで出場しているHonda熊本。昨年も、初戦突破したが、今年は、「日本一を狙わなくてはいけないチーム」と、渡辺正健監督も手ごたえを感じた仕上がりになってきた。そういう意味では、自信を持って挑んだ初戦でもあった。「水害の出た熊本に、少しでも明るい話題を提供したい」そんな思いも背負っての試合となった。

 Honda熊本の先発マウンドは、昨年の大会でも実績のある右下手投げの山中浩史(必由館→九州東海大)。左右のコースギリギリのところへの投げ分けは定評がある。自分では、「まっすぐが変化球だと思っている」という投球は、そうは打たれない。対するパナソニックは、右横手投げながら、最速148キロを誇るスピード派の秋吉だ。ストレートだけではなく、キレのいいスライダーに加えて、チェンジアップも磨かれて、打ち崩すのは難しいと言われている投手である。
 当然、投手戦となることが予想されたが、序盤はその通りの展開になった。

 試合が動いたのは4回だった。
 Honda熊本は1死から、東京ドーム初登場となる六番小山健太郎(小倉東→福岡工大)が中前打すると、続く佐久本匠(宜野座)のバントが悪送球を呼んで一三塁。ここで、前の打席で二塁打している浜岡直人(九州学院→亜細亜大)が、1球目を堂々と見送って、2球目にスクイズを決めて先制。さらに、九番江頭哲史(南筑→九州共立大)も左前打。2点目かと思われたが、ここはパナソニック森捕手の好ブロックに阻まれた。

 それでも、1点先制でHonda熊本のペースで試合が運べるかと思われた。
 ところがその裏、先頭の一番坂口の一塁ゴロをファンブルして出塁を許した。さらに、送りバントを処理しようとした浜岡捕手が打者走者と交錯するような形になって安打となってしまい一二塁となる。送って二三塁とされて、相手四番の梶原に中前に返されて二者が帰ってパナソニックが主砲の一振りで逆転。
 Honda熊本としては、わずかな守りのほころびから試合の流れを相手に渡してしまうことになった。

 何とか、試合の流れを取り戻したいHonda熊本は6回、四番熊丸武志が四球で出塁。バントで二塁へ進み、2死となったところでパナソニックは秋吉から左腕公文(補強=大阪ガス)を投入した。ここは抑えられたものの、秋吉が降りたことで、終盤へかけて、もう一動き、ふた動きありそうな期待感は出てきた。

 しかし、7回は1死から江頭が三塁手を強襲して左翼線へ抜ける安打を放つも二塁を欲張ってタッチアウト。いくらか、気持ちの焦りも表れはじめたかのようでもあった。8回も、二番からの好打順で代打藤野裕次(福岡工→福岡工大)を送り込むも、三者凡退。
 9回の攻撃に賭けたが、先頭の照屋吐夢(宜野座→浜松大=沖縄電力)が右前打で出たものの、結局最後は遊撃ライナー併殺となり、最後まで流れを取り戻すことが出来なかった。

 試合後の渡辺監督は、いくらか渋い表情で口を開いた。「ウチが点をもらったのも相手のミスからでしたが、取られたのもこっちのミスでした。山中は、予選よりもよかったのに、それに応えきれなかったのは私の責任です」と、指揮官として反省の言葉を語った。
 ただ、収穫としては、都市対抗初出場となった小山と江頭に安打が出たことを挙げた。また、課題としては、「序盤に細かいチャンスがあったのですが、それを、一つひとつものにしていかないと、全国では勝てないということを改めて実感しました。そうした緻密さを身に着けることを、これから秋の日本選手権と来年に向けて、きっちりとやっていきたいと思います」と締めた。

 「バントだけは絶対の自信があります」と、先制のスクイズを決めながらも、その裏に自身の不本意なプレーで逆転の切っ掛けを許してしまった浜岡は、試合後は「山中が持ち味を出して、本当によく投げていたので、残念なことをしてしまいました」と、いくらか肩を落としていた。「あのバントは、直接捕球しようとしたのですが…」と、4回のプレーを悔やんだ。
 また、パナソニック打線をバント安打を含めて5安打に抑えて好投した山中は、「自分の投球をすれば、それほど打たれることはないだろうとは思っていました」と語りながらも、「負けたので、結果としては満足はしていません。アンラッキーな失点でしたが、ボクが点を取られなければ、勝てたのですから」と、あくまでも厳しく自分を見つめていた。