Honda SPORTS

第78回 都市対抗野球大会 Honda 硬式野球部

1回戦

第78回都市対抗野球大会

8月24日(金) 18:30
試合会場:東京ドーム

チーム名 1 2 3 4 5 6 7 8 9
Honda硬式野球部 2 0 0 0 1 0 0 1 0 4
三菱重工長崎 0 0 1 0 0 4 0 1 X 6

Honda 初回の先制活かしきれず逆転負け
新ユニホームと安藤監督のドームデビューも無念

 初回の先制生かしきれず逆転負け。8回追い上げを見せるも届かず敗戦。

 開幕戦、しかも金曜日のナイター。応援団の動員にはこの上ない状況で、一塁側のHonda応援席は、序盤、回を追うごとに増え続け、3回頃にはライトスタンドまで埋め尽くす大応援団となった。まずは、応援パワーで相手を圧倒しようという勢いだった。始球式では近藤広一代表取締役副社長の球もズバリと決まって景気のいいスタートだった。

 そんな勢いを得て、Hondaは立ち上がり、三菱長崎先発の後藤投手(延岡→九州産業大)が制球に苦しむところにつけ込んで、四死球で2死一二塁とすると、五番岡野(東京農大二→青山学院大)がしぶとく一二塁間を破って先制。さらに、相手失策もあってもう1点追加。幸先のよいスタートをきった。
 Hondaの先発筑川投手(東海大相模→東海大)は、初回は2安打されながらも何とかしのぐと、以降は粘りの投球を披露。苦しいながらも、3回に犠飛で許した1点のみでこらえていた。当初の予定通りの5回を投げて、5安打されながらも1失点はほぼ合格といっていい。
 味方も5回に、二番手米藤(JR九州から補強=九州産業→福岡大)を攻めて、三番落合(JFE東日本から補強=報徳学園→東海大)が二塁打すると、2死二塁から六番田浦(JFE東日本から補強=熊本城北)が詰まりながらも中前へ持っていくしぶとい安打で突き放す。ここまでは、完璧にHondaの流れの試合だった。

 6回からは当初の予定通り、二番手として中嵜(JFE東日本から補強=南部→東海大)を送り込んだが、いきなり安打されると、四番伊藤(福岡大大濠→法政大)に、出会い頭のような形で初球を左翼スタンドに運ばれた。まさかの同点2ランである。さらに、三塁内野安打を許してチャンスを継続され、八番中野(柳ヶ浦→東洋大)に中越二塁打され逆転。三番手として送り込んだ角田(鎌倉→国際武道大)も代わったすぐに二塁打されさらに1点を許す。
 結果的にはこの6回の攻防が試合の明暗を分けた。

 試合後、主将の岡野三塁手も、「6回だけなぜか雰囲気がおかしかったんです。落ち着こうと思っていてもどこかで浮き足立ってしまって…、結果として投手を孤立させてしまいました。オレのエラー(記録上は内野安打)で勢いをつけさせてしまいました」と振り返る。三塁側の三菱長崎応援団のボルテージもヒートアップしていて、声が通らなかったこともあったようだ。責任感の強い岡野は、内野安打をあえて、「自分のエラー」と表現していた。そんなところにも無念さがにじみ出ていた。

 それでも、反撃に出たいHondaは8回、吉岡(花咲徳栄→立正大)が三塁線二塁打してチャンスを作ると、早川(東海大相模→東洋大)の内野ゴロの間にホームを突くなどして追い上げた。しかし、その裏に再び追加点を許し、追い詰めきれず涙を呑んだ。
 都市対抗本大会のドーム初采配となった安藤強監督は、「前半点が入って、いいムードのときに、さらに何度か迎えたチャンスで、あと一本ほしかったなという気持ちはあります。相手の投手に内側を攻められていましたから、踏み込んでいけ、死球はラッキーだと思っていたのですが、勝ちへの執念が相手のほうが上だったのでしょうか。攻め切れませんでした」と、01年以来、本大会では勝利していない三菱長崎の今大会に賭けてきた執念に対して敬意を表していた。

 Hondaは今季、先発完投投手が整備されていないまま本大会に突入してしまった。そんなこともあって、継投は当初からの予定としていた。補強選手を含めての何人かの投手起用を計画していたところだったが、結果として継投が裏目に出てしまった。「秋の選手権へ向けては、先発完投出来る投手を作ることです」と目標を掲げ、岡野主将も、「今年は守り勝つ野球をしていかなければいけないという課題が改めて確認出来ました」と、今回の敗戦をバネとして、秋の選手権へ向けて気持ちを切り替えていた。
 プロ指名を蹴ってHondaに入社して注目度の高い一番長野選手(筑陽学園→日大)も、厳しいマークにあった。結局、3打数無安打2四死球、そう簡単には打たせてもらえない都市対抗本番での厳しさを味あわされた。Hondaとしては、今大会で初披露となった新ユニホームもほろ苦いデビューになってしまった。