Honda SPORTS
1回戦
第77回都市対抗野球大会
8月29日 14:00
試合会場:東京ドーム
チーム名 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
日本通運 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 2 | 5 |
Honda鈴鹿 硬式野球部 |
0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 3 |
白熱の延長戦、Honda鈴鹿無念
8回、同点に追いつく粘りを見せたが、延長11回力尽く
2年連続本大会出場を果たし、今年は「志高く~全国で戦い勝ち抜く集団へ」というスローガンを掲げて挑んだHonda鈴鹿。
12年ぶりの黒獅子旗も夢ではないという思いで乗り込んだ東京ドームだった。試合は、川岸光男・鈴鹿市長の始球式でほぼ定刻にプレーボールとなった。
先発したエース宮崎は、少し力みがあってコントロールに不安はあった。もっとも、逆にそれが持ち味といえば持ち味でもあるので、初回、日通の三番山崎(浦和学院→城西大)に先制タイムリーを許したものの、決してあわてた様子はなかった。むしろ、それで落ち着いたといってもいいくらいだろう。
持ち前のストレートも伸びを示し、スピード表示では最速153km/hをマークし、コンスタントに150km/h前後を出していた。
宮崎が自分のリズムを取り戻してくると、打線も応えた。3回、中飛落球で西崎が出塁すると、バントで二塁進塁。一番へ返って中東が中前へはじき返して同点。さらに、2死後、宮川も左翼線へポトリと落とす二塁打で逆転した。
宮崎投手の調子も上がってきただけに、早い回で逆転したが、そのまま逃げ切れるかとも思わせた。しかし、6回、ややコントロールを乱し2四球と安打で1死満塁としてしまい、ここで七番小松(中央学院→立正大)に一二塁間を破られて同点とされてしまった。「調子はよくなってきていたので、やはり、抑えるべきところを抑えておかなければいけませんでした。悔しいですし、悔いが残りますね」と、試合後、宮崎自身もこの回の乱れを反省し唇をかんでいた。
同点となった試合は、8回、日通が1死一三塁からボテボテの内野ゴロが野選(フィルダース・チョイス)となって、リードを許した。鈴鹿としては、打ち取ったと思っただけに、終盤になって少し嫌な点の取られ方だった。しかし、粘りを見せて、その裏、1死から代打広畑が気迫の右中間二塁打で出ると、期待に応えて頼れるDHの宮川が中前へ同点タイムリーを放った。
そのまま試合は延長戦にもつれ込んだ。
鈴鹿は、好投を続けた宮崎から川脇、久武とつないでかわしていった。久武は昨年もドームのマウンドを経験しているだけに、延長戦を託す形になった。一方、日通も下手投げの益田(工学院→創価大)がマウンドを降り、小刻みにつないできた。
11回、鈴鹿は簡単に2死を奪ったが、そこから久武が少し慎重になりすぎて2四球を与える。そして、二番澤村(熊本工→法政大)に右中間深いところへ運ばれ、10回にもファインプレーを見せた中東が追いつきかかってグラブに触れたかに思えたが届かず、二塁打となった。二者が帰り、結局これが決勝点となった。この澤村という打者は、高校時代には甲子園の決勝で一年生ながら9回に起死回生の同点本塁打を放ったという実績があり、天性の勝負強さを持っている選手である。やはり、相手の役者が一枚上だったのだろうか…。
與本監督は試合を振り返って、「やはり、前半打てなさ過ぎました。というより、相手の益田投手が予想以上にキレがありました。反省材料ばかりなのですが、そんな中で、中東がいい仕事をしてくれたことが救いでした。ポイントでは宮川も打ってくれました」と、選手をたたえていた。
6つの四球を出した宮崎投手に対しても、「あれが持ち味でもあるので、責められません。中盤立て直して、いい流れになったと思ったんですけれども…」と、やや悔やみつつも、ねぎらっていた。それでも、期待の松岡(昌)が一人だけとはいえ最後を三振でぴしゃりと抑えるなど、秋の日本選手権へ向けて、明るい材料も少なくなかったようだ。
鈴鹿としては、主将の上出が肉離れで出場回避していたのも痛かった。それでも、ベンチ前の円陣では選手をリードしてリーダーシップを発揮していた姿は印象的だった。
勝ちは逃したものの、スローガンに負けない戦いぶりだったといえる。
応援団も、当初予定していた5,000人(鈴鹿で3,000人、首都圏関係で2,000人)をはるかにしのぐ、7,000人以上の動員で盛り上げていた。5回には鈴鹿市のマスコット、ベルディーが登場し、6回には、歴代シビックのバルーンが踊るなどにぎやかな応援風景は応援賞候補といえるのではないだろうか。