モビリティの性能
“人”を徹底的に研究することで生み出される安全技術
モビリティの安全性能をより高めるためには、
人体を保護する技術、衝突を極力回避する技術、人の意思を捉えて車両や周囲に伝える技術など、
人の能力を的確に補完・拡張するための複合的な性能が必要であると考えています。
「人中心」で安全技術をリードしてきたHondaは、人をさらに深く理解し、
その意思に寄り添えるよう、技術開発を進化させていきます。
これまでの歩み
Hondaは、二輪車、四輪車などさまざまなモビリティが混在するリアルワールド(現実の交通環境下)における事故の実態を把握し、メカニズムを細密に解析することで、四輪車との衝突時の人体の挙動を再現する実物大のモデル人形「歩行者ダミー」(世界初※1)の開発や、より現実に即した事故形態の研究を可能とした「屋内型全方位衝突実験施設」(世界初)の建設、そして、四輪車では、「運転席用SRSエアバッグシステム」、「コンパティビリティ対応ボディ※2」、「衝突軽減ブレーキ(CMBS)」(世界初)、二輪車では、量産の「二輪車用エアバッグシステム」(世界初)などの開発をすすめ、世に送り出してきました。
2014年には事故回避を支援する安全運転支援システム「Honda SENSING」/「Acura Watch」を開発し、以降、四輪車各機種へ搭載するとともに、技術を進化させています。
- Honda調べ
- 四輪車同士が相互に衝突するときの衝突エネルギーを、エンジンルームで効率よく分散・吸収することにより、自己保護性能を大幅に向上させるとともに、相手車両への攻撃性を低減する、衝突安全ボディー
主な技術
2030年のマイルストーンをめざすにあたり、四輪車では衝突安全性能の強化に加え、先進運転支援システム(ADAS)の機能進化と普及が重要となります。
Hondaの先進運転支援システムは、2014年より展開している「Honda SENSING」に加え、全方位の事故シーンに対応する「Honda SENSING360」、運転時のヒューマンエラーゼロをめざす「Honda SENSING Elite」の3タイプを展開しています。
Honda SENSING〈 安全・快適な運転や事故回避を支援 〉
「Honda SENSING」は、主にクルマの前方をセンシングし、歩行者なども検知対象として、安心快適な運転や事故回避を支援するシステムです。日本で販売されている「Honda SENSING」を搭載した軽自動車N-BOXでは、追突事故が82%減少、歩行者事故は56%減少※3しており、この技術の事故削減への効果が確認されています。
現在、二輪車の交通事故死者削減に向け、二輪検知機能を備えた「Honda SENSING」を2021年のモデルより順次展開しており、2031年3月期までに全世界の四輪車全機種へ展開することをめざします。
- N-BOX AEB(Autonomous Emergency Braking)非搭載車に対する「Honda SENSING」搭載車の登録台数当たり交通事故死傷者数調査結果の差分。公益財団法人交通事故総合分析センターのデータをもとに、Honda調べ
Honda SENSING 360〈 従来のシステムのセンシングの範囲を全方位へ拡大 〉
また、二輪車ではABSやCBSなどの先進ブレーキ、視認性および被視認性の高い灯火器の適用を拡大させる取り組みを進めています。
Hondaでは、これらの進捗状況を把握するため、その管理指標(KPI)として、先進国の四輪車※4におけるHonda SENSING 360、新興国の四輪車※5におけるHonda SENSING、新興国の二輪車※6先進ブレーキ(ABS/CBS)など「先進安全装備適用率」を設定しています。
将来に向けて
Honda SENSING Elite〈 運転時のヒューマンエラーゼロをめざす 〉
「Honda SENSING Elite」は、2020年に世界で初めて自動運行装置として国土交通省の型式指定を取得した自動運転レベル3※7条件付自動運転車(限定領域)に適合する「トラフィックジャムパイロット(渋滞運転機能)」を搭載したシステムで、高速道路渋滞時など一定の条件下で、システムがドライバーにかわって運転操作を行うことを可能にしました。
さらにこの「Honda SENSING Elite」の次の進化に向けて、新技術の開発を進めています。この技術は、人のように経験しながら成長するAI技術によって、複雑なシーンの認識や一般道路のような複雑な環境にも対応し、幹線道路での渋滞時のハンズオフ機能、高速道路のジャンクションなどでの合流・分岐シーンの運転支援機能を実現し、自宅から目的地まで、一般道路も含めた安全・安心でシームレスな移動を可能にします。
- 日本政府が定める自動運転の定義(SAEに準拠)。一定の条件下でシステムが周辺の交通状況を監視するとともに運転操作を代行。システムが使用可能な条件から外れる場合は、警報を発して直ちにドライバーに運転交代をすることが求められる。