大物スタッフを招聘し、チーム力が向上
レッドブルとの技術提携を強化し
戦闘力アップ
2024年アルファタウリは、レッドブルF1がアメリカの決済サービス企業VISA(ビザ)とグローバルパートナーシップを結んだことに伴い、VISAのモバイル決済企業Cash APPとともにチームの冠スポンサーとなり、チーム名を「ビザ・キャッシュアップRB」に変更した。トロロッソ時代に似たメタリックブルーを基調とした鮮やかなデザインのカラーリングをまとい、新たなスタートを切った。
体制面も大きく変わり、トロロッソ、アルファタウリで代表を務めてきたフランツ・トストが勇退。チームCEOに元F1事務局長のピーター・バイエル、チーム代表にフェラーリで要職を歴任したローラン・メキースが就任した。エンジニアリングスタッフもチーフテクニカルオフィサーに元FIAテクニカルディレクターのティム・ゴス、レーシングディレクターに元アルピーヌF1のアラン・パルメイン、副テクニカルディレクターにレッドブル・テクノロジーからギヨーム・カッテラーニといった大物を招聘し、チーム力向上に力を入れた新体制で2024年シーズンに挑んでいる。
チームはレッドブルとの連携を強化して共用パーツを多用。RB VCARB 01はレッドブルが2023年に記録的な戦績を挙げたRB19を彷彿とさせるフォルムで登場した。フロントサスペンションは2023年型アルファタウリAT04まで採用していたプッシュロッド式からプルロッド式に変更し、リヤは2023年シンガポールGPから使用したRB19のプッシュロッド式サスペンションを踏襲し、前後ともにサスペンション型式を統一した。
オリジナリティを見せるのはフロントノーズとウイングのデザインで、RB VCARB 01はAT04の流れを汲むデザインを採用。よりナローなノーズと大型のフラップが特徴となっている。
Honda RBPTH002は、前年型からさらに信頼性向上を突き詰めた仕様とし、パワーユニットのポテンシャルを限界まで引き出すことを目標に仕上げられている。2024年シーズンは過去最多の24グランプリが開催されるが、年間4基の使用基数制限規定をクリアできる信頼性と高いパフォーマンスを維持している。
マシンの戦闘力アップはシーズン序盤から発揮され、4年目を迎えた角田裕毅選手は自身の成長ぶりも見せて、予選、決勝レースで好結果を残している。第3戦オーストラリアGPと第6戦マイアミGPで7位入賞を果たし、第7戦終了時点で5回入賞(第6戦マイアミGPスプリントでの8位入賞を含む)、予選でも速さを発揮しQ3進出の常連となるパフォーマンスを見せている。
Spec
シャシー
- シャシー
- ビザ・キャッシュアップRBフォーミュラ・ワン・チーム製カーボン・コンポジット・モノコック
- フロントサスペンション
- レッドブル・テクノロジー製カーボン・コンポジット・ウィッシュボーン、トラックロッド&アップライト・アッセンブリー、サスペンション・ロッカー、トーションバー&ダンパー
- リヤサスペンション
- レッドブル・テクノロジー製カーボン・コンポジット・ウィッシュボーン、インボードトーションバー&ダンパー
- ブレーキダクト
- ビザ・キャッシュアップRBフォーミュラ・ワン・チーム製
(前後とも) - ステアリング
- レッドブル・テクノロジー製(パワーステアリング)
- ギヤボックス
- レッドブル・テクノロジー製カーボン・コンポジット・メインケース、縦置き、油圧式8速
- ディファレンシャル
- 油圧式マルチプレート
- クラッチ
- 油圧式カーボンマルチプレート
- エキゾースト
- レッドブル・パワートレインズ製
- ブレーキシステム
- ビザ・キャッシュアップRBフォーミュラ・ワン・チーム/レッドブル・テクノロジー製
- ドライバーズシート
- ビザ・キャッシュアップRBフォーミュラ・ワン・チーム製ドライバー専用カーボン・コンポジット
- タイヤ
- ピレリ
- 燃料システム
- ビザ・キャッシュアップRBフォーミュラ・ワン・チーム製
- 車重
- 798㎏
パワーユニット
- パワーユニット
- Honda RBPTH002
- シリンダー数
- 6(以下レギュレーションに準拠)
- 排気量
- 1,600cc
- 最高回転数
- 15,000rpm
- バルブ数
- 1シリンダー4バルブ
(インレット2、アウトレット2) - バンク角
- 90度
- エンジン重量
- 150㎏
- 最高出力
- 未公表
- エンジン製造
- ホンダ・レーシング(HRC)
- Energy Storage System製造
- レッドブル・パワートレインズ
Detail
全体的なフォルムは前年のアルファタウリAT04をベースにしながらも、シーズン中の積極的なアップデートで独自の空力ソリューションを獲得。特にサイドポンツーンやエンジンカバー、フロアパネルのデザインは開幕後も何度も手を加えられ、その度に順調にパフォーマンスアップを遂げてきている。
フロントサスペンションはレッドブルと同様プルロッド式に変更。タイヤに対して各アームの下反角は強くなり、アッパーアームのフロントレッグをモノコック最上段まで上げて搭載し、反対にリヤレッグを前年よりさらに大きく下げてブレーキング時のフロント姿勢変化をおさえる手法までレッドブルと同じくした。
レッドブルがノーズ前面までスクエアな形状を持つのに対し、VCARB 01は細身のペンシル型ノーズ。フロントウイングの上面フラップも外側に向かって角度が上がるデザインを採用している。またベースプレートは中央部が持ち上げられ、ノーズセンター下面の空気をより取り入れる手法を見せている。