Hondaは本日、四輪事業の再構築に向けた取り組みと今後の事業の方向性について説明会を開催し、取締役 代表執行役社長 三部 敏宏が出席して説明を行いました。以下、その概要をお知らせします。
1. 四輪事業再構築に向けたロードマップ
Hondaは、足元の市場環境の変化を踏まえ、コスト体質の改善、開発効率の向上、重点地域への経営資源の集中投入による魅力ある商品の拡充を通じた競争力の向上を図ります。そのために、まず今後3年間を四輪事業の再構築に集中的に取り組む期間とし、2029年3月期には二輪・金融事業の成長と合わせ、過去最高水準となる営業利益1兆4000億円以上への回復を目指します。
2. 四輪事業再構築に向けた「3本の柱」
「経営資源の戦略的再配分」「ものづくり体質の徹底強化」「外部リソースの戦略的活用」を軸に取り組みます。
2-1. 経営資源の戦略的再配分
需要動向を見据えたパワートレーンポートフォリオの見直し
- 開発・生産リソースを、足元の需要の高いハイブリッド車に再配分します。
- 2027年からは、ハイブリッドシステムとプラットフォームを刷新した次世代ハイブリッドモデルの投入を開始します。注力地域の一つである北米を中心に、2029年度までにグローバルで15モデル投入する計画で、さらに北米では、2029年にDセグメント以上の大型ハイブリッドモデルを投入します。
- 2年以内に発売予定の次世代ハイブリッド車のプロトタイプ「Honda Hybrid Sedan Prototype(ホンダ ハイブリッド セダン プロトタイプ)」と「Acura Hybrid SUV Prototype(アキュラ ハイブリッド エスユーブイ プロトタイプ)」を世界初公開しました。
- 次世代ハイブリッドシステムは、2023年モデルに対して30%以上のコスト低減を目指すとともに、次世代プラットフォームと新開発の電動AWDユニットの組み合わせによる10%以上の燃費向上と、Hondaならではの、五感に響く上質・爽快な走りのさらなる進化を目指します。
- 次世代ADASは、予定通り2028年発売に向けて開発を進めており、5年間でグローバル15モデル以上のハイブリッド車に搭載していきます。
- 生産体制について、米国オハイオの完成車工場では、余剰能力をすべてICE・ハイブリッド車に充てるとともに、北米の全工場でハイブリッド車が生産できるようにします。
- 米国でのLGエナジーソリューションとの合弁会社であるL-H BatteryのEV用バッテリーラインの一部をハイブリッド車向けに転用するほか、モーター・インバーターのASSYおよび構成部品の現地調達率を4倍以上に高めることで、ハイブリッド車の増産に応える体制の構築と、関税影響の軽減、供給リスク低減を目指します。
重点地域への商品ラインアップの拡充
今後さらなる成長戦略を描く市場として、北米、日本、インドを注力する地域と位置づけ、戦略的なリソース配分を行います。上記の北米での取り組みに加え、日本、インド、そして抜本的な競争力強化に取り組む中国について、以下の通り取り組みます。
日本:
軽自動車を中心にEVの拡充を図り、2028年にはN-BOX EVの投入を予定しています。さらに2028年以降は、新型VEZELを皮切りに、次世代ハイブリッド/次世代ADAS搭載モデルを展開。また、「SPORT LINE」「TRAIL LINE」の追加など高付加価値なラインアップを拡充していくことで、現在の販売台数以上の新車販売と、盤石な事業基盤を実現します。
インド:
インドの特性・嗜好にあった商品をお届けするべく、インドベストの性能要件に再定義し、全長4メートル未満のカテゴリー、ミッドサイズカテゴリーに対するインド向け戦略車を2028年から投入します。また、インドで年間600万台近くを販売している二輪事業の盤石な事業基盤を活用し、Honda二輪車保有客の四輪車へのステップアップ需要を確実に捉え、事業の成長を目指して行きます。その一環としてデジタルプラットフォーム会社「Honda Digital Innovation India」の設立、2026年度中に事業開始予定のキャプティブファイナンス会社の活用などにより販売拡大を目指します。
中国:
現地の標準化部品、次世代技術における現地技術の活用や、現地パートナーのプラットフォームを活用した新エネルギー車(NEV)の投入により、現地の圧倒的なスピードを取り込みながら、商品力・コスト競争力の強化に取り組みます。
2-2. ものづくり体質の徹底強化
「抜本的な原価低減」「徹底的な開発効率化」「環境変化に強い生産体質の構築」を推進します。
抜本的な原価低減:
直材のコストについて、Hondaの独自基準の見直しによる標準品の積極的な活用、中国やインドの競争力の取り込みにより、グローバルで原価体質を向上させます。
徹底的な開発効率化:
エンジニアリングチェーンマネジメントの徹底的な見直しにより、「開発費」・「開発期間」・「開発工数」の3つについて2025年比でそれぞれ半減する「トリプルハーフ」を実現します。デジタル環境やAIの活用により、設計・テスト・生産準備を効率化することに加え、開発要件そのものや企画・開発マネジメントの見直しなど、開発プロセス改革により、マイナーモデルチェンジは本年度から、フルモデルチェンジは2028年開始の開発から、期間をそれぞれ半減します。
環境変化に強い生産体質の構築:
新機種・設備投資の効率的な投入・配分などにより、今後5年間で生産効率の約2割向上を目指します。
2-3. 外部リソースの戦略的活用
中国やインドなどのコスト競争力、業界標準品の活用など外部リソースを柔軟かつ戦略的に活用します。バッテリーについては、当面は完全な自前化ではなく、L-H Batteryの設備を最大限活用するとともに、将来のEV需要拡大への対応も見据えながらも、当面は需要の高いハイブリッドやその他用途を取り込んだ運営効率化を進めるなど、北米での競争力を重視したバッテリー調達戦略をとります。カナダでの包括的バリューチェーン構築のプロジェクトは、無期限での凍結とし、今後の調達戦略を引き続き検討していきます。このように、自前のコア技術と外部リソースを組み合わせることで、不確実性の高い市場環境下で競争力強化を図ります。
3. 中長期の方向性
総合モビリティカンパニーの責務として、引き続き「2050年のカーボンニュートラル実現」を目指します。その実現に向け、地域ごとの市場環境、需要動向を見極めながら、EV、ハイブリッド、カーボンニュートラル燃料、カーボンオフセット技術などを組み合わせた多角的なアプローチを加速させます。
EVについては、今後需要が拡大したときに確実に対応できるよう、さらに競争力のあるEVハードウェアプラットフォームの導入や全固体電池の研究開発についても引き続き進めています。また、「知能化」の強化による新たな移動体験およびキャビン体験の提供を目指し、「ASIMO OS」をEVだけでなくハイブリッドにも適用し、移動価値の向上を目指します。またE&Eアーキテクチャーは、国ごとの違いや、お客様のニーズ・市場環境の変化、外部リソースの活用などに柔軟に対応するドメイン型とし、統一のソフトウェアアーキテクチャーで高効率な開発を実現します。これにより、お客様にタイムリーに新価値を提供し続けることが可能となり、柔軟性と競争力の両立を目指します。
4. 二輪事業の方向性
二輪車のグローバル市場は、2030年6000万台規模に拡大する見通しであり、その中で多様化するお客様のニーズを確実に捉えた商品投入、生産体制の構築により、さらなるシェア拡大、プレゼンスの向上を目指します。
ステップアップ需要と商品価値向上:
インドや中南米でのカテゴリーのステップアップ需要に対しては、競争力のあるインド、中国のリソースを活用し積極的に商品を投入していくほか、Honda E-Clutchなどの独自技術・新技術により新興勢力との差別化を図ります。
生産体制の構築:
Honda 二輪事業の最大市場となるインドでは、生産能力を現在の625万台から2028年には約800万台まで拡大する計画で、同国内の需要に加え、中南米やASEAN向けのグローバルな輸出拠点としても進化させていきます。
電動車への対応:
お客様の需要の変化や各国の環境規制などを見極めながら、柔軟かつアジャイルな商品投入と生産体制構築を進めます。
5. 財務戦略
足元3年間は上記の四輪事業体質の再構築に集中的に取り組み、その後の2年間は、この体質をベースに事業環境に応じて柔軟かつ機動的に商品投入し、四輪事業をさらなる成長軌道にのせていきます。
EV関連損失の解消、体質改革の深化や注力地域を中心とした新商品ラインナップの拡充により、四輪事業の収益は飛躍的に改善する見込みとし、盤石な収益性を持つ二輪事業や金融事業のさらなる成長を積み上げることで、2029年3月期には、過去最高となる営業利益1兆4000億円以上の達成、2031年3月期には従前からの目標であるROIC 10%の実現を目指します。
キャピタル・アロケーション:
2029年3月期までの3年間においては、投入資源を当初のEV向けからハイブリッド車へシフトしEV投資は3年間で0.8兆円規模にコントロールします。一方、ソフトウェアには1兆円、ICEやハイブリッド車に4.4兆円を投入し、これら合計の3年間の資源投入額は合計6.2兆円とします。
その稼ぎを示すR&D調整後のキャッシュフローは、四輪事業の黒字化と二輪事業の強いキャッシュ創出力により、EV関連損失を除き7兆円以上を見込み、投資と株主還元を両立します。
2030年3月期以降は、EVの需要動向を見極めながらEV投資の判断を行い、自前化にこだわらず外部リソースの積極的な活用により、投資効率のさらなる改善を図ります。
株主還元:
今後もDOE3%を目安として安定的・継続的な配当を実施します。
6. ガバナンス体制のさらなる進化
各事業戦略の着実な実行と、果断かつ透明性をもった意思決定を実現するため、ガバナンス体制の見直しを行います。具体的には、取締役会構成(社外取締役過半数化)に加え、各委員会の構成および取締役会の運営体制を見直します。