Honda 二輪事業説明会 説明概要
Hondaは本日、二輪事業の取り組みについて説明会を開催し、執行役 二輪・パワープロダクツ事業本部長 兼 二輪事業統括部長 加藤 稔(かとう みのる)および 執行職 電動事業開発本部 二輪・パワープロダクツ電動事業統括部長 三原 大樹(みはら だいき)が出席して説明を行いました。
以下、その概要をお知らせします。
Hondaの二輪事業の歴史と足元の事業環境
Hondaにとって二輪事業は祖業であり、ものづくりの原点となる事業です。
1949年にHonda初の量産二輪車として生産を開始した「ドリームD型」を皮切りに、「技術で多くの人々の生活をより便利にしたい」という想いから、多くの国や地域においてお客様のニーズに合った製品を開発・提供してきました。
世界各地で事業を展開する現在では、日常の生活に使われるコミューターから週末のレジャーに使われる大型モデル、電動車まで幅広い商品ラインアップを展開。23の国と地域、37の生産拠点において年間2000万台を超える生産能力を持ち、3万店以上のHonda販売店を通じて、お客様に商品をお届けしており、創業以来の累計生産台数は5億台達成が視野に入っています。
2024年度の販売台数は、世界シェア約4割※1となる2020万台の見通しで、このうちインド、インドネシア、タイ、ベトナムなどアジアでの販売台数が全体の85%(1717万台)、日本、欧州、米国は6%(120万台)をそれぞれ占めます。また、2024年暦年の販売台数は、37の国と地域で過去最高を記録しました。
グローバルでカテゴリーごとに統一されたプラットフォームや、最適な供給体制によって世界最大規模の生産量が支えられており、Hondaらしい魅力ある多様な商品の提供と高効率な事業体質を構築しています。
二輪事業の今後の展開
一方で、グローバルでの二輪車の需要は、最大市場であるインドを含めた南西アジア、インドネシア、フィリピン、ブラジルを始めとする中南米などのグローバルサウスと呼ばれる地域を中心に、人口増や所得向上を背景にさらなる伸長を見込んでいます。
それに伴い二輪車の全体市場は現状の5000万台規模から、2030年には電動車を含め6000万台規模に成長する見通しです。
この市場成長、需要拡大に確実に対応するため、より競争力の高い商品の継続的な投入に加え、電動化を含めたカーボンニュートラルへの対応、二輪事業のさらなる盤石化を進め、長期的には電動二輪車も含め世界シェア5割を目指して取り組みを加速していきます。
コミューターモデルの拡販施策 ~南西アジア、アセアン、中南米~
二輪車において最大市場となるインドでは、通勤・街乗りに使用される最量販スクーター「ACTIVA(アクティバ)」をはじめ、若者向けスクーター「Dio(ディオ)」や、地方を中心に幅広い用途で使われるライトモーターサイクル「Shine(シャイン)」、また高付加価値ライトモーターサイクル「SP(エスピー)」など、お客様のさまざまなニーズに合わせて魅力ある商品ラインアップを拡充しています。また、販売ネットワーク・サービスの充実などの販売施策も強化し、インドでのシェアNo.1に手が届くところまで着実に販売台数を伸ばしています。
また、さらなる拡販に向けては、生産工場の自動化や、現地サプライヤーの積極的な開拓・活用など、インド事業強化の取り組みを進めるほか、インドで培った商品力、競争力の高い商品は、インド国内だけでなく、お客様のニーズが近い中南米へ輸出するなど、グローバルで効率的な商品展開を行うことでさらなる事業拡大を図っていきます。
また、アセアン各国や、パキスタン、バングラデシュ、ブラジルにおいても、二輪車ユーザーとなる労働人口の増加によりさらなる需要の拡大を見込んでいます。この機を確実に捉え、グローバルでの商品力、販売・サービス、調達・生産力の強さを最大活用し、さらなる事業盤石化を進めていきます。
大型FUNモデルのラインアップ・商品力強化 ~欧州~
大型FUNモデルの需要が高い欧州では、好評をいただいている「CB(シービー)」「CBR(シービーアール)」「Africa Twin(アフリカツイン)」「Rebel(レブル)」シリーズなど、各商品の魅力向上に継続的に取り組むほか、「HORNET(ホーネット)」「TRANSALP(トランザルプ)」といった、欧州において歴史のある商品ブランドを復活。さらに、ライディング体験の質の向上につながる技術「デュアル・クラッチ・トランスミッション(DCT)」「Honda E-Clutch(ホンダ イークラッチ)」の提供など、「操る楽しさ」を求めるライダーの嗜好に応える商品ラインアップや技術を拡充しています。その結果、欧州主要5か国(イタリア、ドイツ、フランス、スペイン、英国)において、2024年暦年でシェアNo.1※1を獲得しました。
また、これらの大型モデルは多品種・少量生産となりますが、プラットフォームの共通化を進め、開発・調達、生産効率の向上を図っています。
さらに、お客様の期待を超える魅力的な商品の提供に向けて、二輪車として世界で初めて「電動過給機」を搭載したV型3気筒エンジンを新たに開発。今後FUNモデルへの適用を予定しており、量産化に向け引き続き開発を行っています。
これらの取り組みにより、2018年度では大半がアジアに偏っていた二輪事業の収益は、2023年度には欧州を含めた先進国、南米など、グローバルでバランスよく収益を獲得できるようになり、収益額の増大はもちろん、事業体質の向上にも大きく貢献しています。
二輪事業 カーボンニュートラル達成に向けたさまざまな取り組み
Hondaは、2040年代に全ての二輪製品でのカーボンニュートラルを実現することを目指し、ICE(内燃機関)の進化にも継続的に取り組みながら、環境戦略の主軸として二輪車の電動化を加速させています。
これに加え、環境負荷ゼロの循環型社会を目指したコンセプト「Triple Action to ZERO※2」の方針のもと、脱炭素化に向けたさまざまな取り組みを進めています。
電動二輪車普及に向けた取り組み
①商品ラインアップの拡充
Hondaは、2030年のグローバルでの電動二輪車の年間販売台数目標を400万台、2030年までにグローバルで30機種の電動モデルを投入することを目指し、戦略的に電動二輪車の市場投入を進めています。
この達成に向けて、2024年を電動二輪車のグローバル展開元年と位置付け、電動二輪市場への参入を本格化しています。10月には、インドネシアで交換式バッテリー「Honda Mobile Power Pack e:(モバイルパワーパック イー)」を搭載した「CUV e:(シーユーヴィー イー)」、固定式バッテリーを搭載した「ICON e:(アイコン イー)」の2つの電動グローバルモデルを発表しました。CUV e:は、欧州・日本を含む20か国での販売を予定しています。
また、11月には、インドでもHonda Mobile Power Pack e:を搭載した「ACTIVA e:(アクティバ イー)」、固定式バッテリーの「QC1(キューシーワン)」をインド専用モデルとして発表しました。目標となる30機種中、13機種を投入し、計画を着実に進めています。
また、EICMA 2024 では、Honda初のスポーツモデルの電動二輪車「EV Fun Concept(イーヴィー ファン コンセプト)」、Hondaが考える近未来の都市型モビリティを具現化した「EV Urban Concept(イーヴィー アーバン コンセプト)」を公開しました。多様化するお客様のニーズに応える多彩なバリエーション展開により、電動二輪車においてもリーディングカンパニーを目指していきます。
②充電・利用環境の整備
電動二輪車の普及に向けては、商品ラインアップの強化だけでなく、利用環境の整備に向けた施策を展開します。
日本、インドネシア、タイにひき続きインドでも、交換式バッテリーを搭載する電動二輪車の普及強化に向けて、現地法人Honda Power Pack Energy India Private Limitedによるバッテリーシェアリングサービス事業を展開しています。ACTIVA e:の発売にあわせて、ベンガルール、デリー、ムンバイの三都市で、街中でバッテリー交換ができるシェアリングサービス「Honda e:Swap(ホンダ イースワップ)」を開始し、バッテリー切れの不安や充電の待ち時間を解消するとともに、より安心な移動体験を提供します。
また、インド全土6,000店舗で展開している業界最大※1の販売ネットワークを活用し、アフターサービス、メンテナンスを強化するほか、今後順次投入していく固定式バッテリー搭載車両の電欠不安に対しても、この幅広いネットワークを生かして充電網を拡充していきます。
これらの取り組みにより、インドの電動二輪車においてもシェアNo.1の獲得を目指します。
③電動二輪車 保有コストの低減
電動二輪車の導入において課題となる、TCO(Total Cost of Ownership:総保有コスト)の低減に向けても取り組みを進めています。
電動二輪車を3年間保有した際にかかる総費用が、ICE車と同等となる価格帯での販売を目指し、2028年にインドで電動二輪車専用工場を稼働させます。多くのモデルでモジュールを共通化し、組み合わせることで多彩なモデルを生産していきます。また、主要部品であるバッテリーについても、二輪車の特性にあった仕様の構築、安定調達に向けて、バッテリーメーカーと協働して準備を進めています。
④バッテリーの利活用・リソースサーキュレーション
カーボンニュートラルの実現に向けて、バッテリーの二次活用、リサイクルなど、リソースサーキュレーションの観点での取り組みも行っています。
インドでは、分散型電源・グリッド事業を展開するOMCパワー社と協業し、使用済みのHonda Mobile Power Pack e:をインドの電力不安定地域および非電化地区での給電装置として活用し、個人商店や学校においての給電に役立てる取り組みを開始しました。また最終的には、貴金属などの素材のリサイクルを含めた、循環型バリューチェーンの構築に取り組んでいきます。
製品における環境負荷低減
電動車に加え、二輪車ならではの幅広いニーズや使用環境に対応しながらカーボンニュートラルを実現するため、ICE車の環境負荷低減にも継続的に取り組んでいます。燃費改善によるCO2削減に加え、ガソリンやエタノールなどの混合燃料に対応するモデルとして、ブラジルで導入実績のあるフレックスフューエルモデルの適用地域の拡大を進めています。インドでは他社に先駆けてフレックスフューエル対応の「CB300F(シービーサンビャクエフ)」を投入するなど、地域のエネルギー事情に合わせた商品展開を図っています。
企業活動における環境負荷低減
- 熊本製作所では、太陽光発電システムおよびリチウムイオン蓄電池の導入により、2025年3月期で発電能力9.3MW、蓄電容量20MWhを実現しています。
- ブラジルのマナウス工場では、1000ha規模の森林保存区を保持し、森林のCO2吸収効果によるカーボンニュートラルへの貢献に取り組んでいます。
- 環境に優しいバイオエンジニアリングプラスチックDURABIO™※3の適用拡大や、四輪車のバンパーリサイクル材の二輪車への適用など、環境負荷の低い、持続可能な資源の活用を進めています。
Honda調べ
「カーボンニュートラル」「クリーンエネルギー」「リソースサーキュレーション」の3つを相互に連鎖させた取り組み
DURABIO™は三菱ケミカル株式会社の登録商標です
Honda 二輪車の世界生産の歩み
1948年 |
本田技研工業株式会社 設立 |
1949年 |
本格的な二輪車の第一号モデル「ドリーム D型」を発売 |
1958年 |
スーパーカブの初代モデル「スーパーカブ C100」を発売 |
1963年 |
ベルギーで二輪車生産を開始(海外初の完成車工場) |
1968年 |
世界生産累計1000万台を達成 |
1984年 |
世界生産累計5000万台を達成 |
1997年 |
世界生産累計1億台を達成(48年で達成) |
2004年 |
初めて年間生産台数1000万台を突破 |
2008年 |
世界生産累計2億台を達成(1億台から11年で達成) |
2014年 |
世界生産累計3億台を達成(2億台から6年で達成) |
2018年 |
初めて年間生産台数2000万台を突破 |
2019年 |
世界生産累計4億台を達成(3億台から5年で達成) |
2025年 |
世界生産累計5億台を達成見込み |