<ご参考>
Hondaは本日「第71回 自動車技術会賞」において「論文賞」「技術開発賞」を受賞しました。自動車技術会賞は公益社団法人自動車技術会によって、自動車工学及び自動車技術の向上発展の奨励を目的として1951年に創設されました。今回受賞した技術及び技術者と受賞理由は以下の通りです。
論文賞
- ・受賞テーマ
- 「電磁鋼板のプレス打ち抜き影響を考慮したモータ回転子の疲労寿命予測」
- ・受賞者
- 井上 健太郎 (いのうえ けんたろう) 株式会社本田技術研究所
- 大図 達也 (おおず たつや) 株式会社本田技術研究所
- 松本 鉄平 (まつもと てっぺい) 株式会社本田技術研究所
- 熊野 勝基 (くまの まさき) 株式会社本田技術研究所
- 齋藤 圭介 (さいとう けいすけ) 株式会社本田技術研究所
・受賞理由
2モーターハイブリッドシステム e:HEV(イーエイチイーブイ)に搭載されているモーターの回転部(回転子)は薄い電磁鋼板※1を積層した部品であり、高速回転の遠心力によって大きな応力※2が発生します。モーターの耐久寿命の予測には、電磁鋼板のプレス加工で生じる残留応力の推定が不可欠となりますが、加工硬化※3や破断などさまざまな現象が伴うため、その推定は難易度の高いものでありました。本論文では、FEM※4による計算と放射光X線による測定を組み合わせることで、プレス加工における残留応力を高い精度で得られることを検証し、この手法を活かした部品の耐久寿命の予測は実物による試験結果と良く一致しました。こうしたデジタルを用いた高効率なモーター開発は部品の性能向上や電動車の進化、普及への貢献が期待されます。
技術開発賞
- ・受賞テーマ
- 「進化型CVT金属ベルト」世界最高動力伝達効率の追究
- ・受賞者
- 矢ヶ崎 徹 (やがさき とおる) 本田技研工業株式会社
- 隅田 聡一朗 (すみだ そういちろう) 本田技研工業株式会社
・受賞理由
金属ベルトを用いたCVT(無段変速機)は変速比を連続的に変化させることで、燃費の向上とスムーズな加速を実現しますが、発進やクルーズ時の動力の伝達効率が課題でありました。本開発の「進化型CVT金属ベルト」はエレメントとプーリーの形状を変更することによって、エレメントとリング、ベルトとプーリー、エレメント同士の接触状態を最適化しました。これにより課題であった動力の伝達効率を改善させるだけでなく、振動の原因となるミスアライメント(芯ずれ)も併せて解決し、電動車のさらなる燃費向上への貢献が期待されます。
- ※1モーターの鉄芯として使用される磁石につく特性(磁性)を活かした機能材料
- ※2物体が荷重を受けたときに荷重に応じて物体の内側に発生する抵抗力
- ※3金属を加工するときの影響、金属に力を加えると硬くなる現象
- ※4Finite Element Methodの略、有限要素法と呼ばれる数値解析手法のひとつ
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