本田技研工業株式会社 代表取締役社長 三部 敏宏(みべ としひろ)が、本日15時より社長就任会見を行いました。以下、会見でのスピーチの概要をお知らせします。
Hondaは幅広い製品を提供するモビリティカンパニーであり、世界一のパワーユニットメーカーでもあります。創業以来、多彩なパワーユニットを通じて、人々に行動する「パワー」を提供し、移動と暮らしの進化に貢献してきました。
これからもHondaは、社会の変革や、暮らしの質を向上させようと、意志を持って動き出そうとしている世界中全ての人を支えるパワーとなることで、人々の可能性を拡げていきます。
代表取締役社長 三部 敏宏
Hondaは「環境」と「安全」に徹底的に取り組むとともに、将来に向けてモビリティ、パワーユニット、エネルギー、ロボティクスの領域で進化をリードすることを目指します。
また、環境と安全の目標達成の地盤となる、「既存事業の盤石化」の確実な達成に引き続き取り組みます。
2050年に、Hondaの関わる全ての製品と企業活動を通じて、カーボンニュートラルを目指します。製品だけでなく、企業活動を含めたライフサイクルでの環境負荷ゼロを目指し、カーボンニュートラル、クリーンエネルギー、リソースサーキュレーションの3つを柱に取り組んでいきます。
自動車メーカーとして、まずTank to Wheelでのカーボンフリーを達成するため、「先進国全体でのEV、FCVの販売比率を2030年に40%、2035年には80%」、そして「2040年には、グローバルで100%」を目指します。これはチャレンジングな目標であり、バリューチェーン全体での対応が必要ですが、全員で目指す姿を共有し、実現に向けて高い目標を掲げることにしました。
EVの高い商品競争力を確保するため、高容量、低コスト化を実現する次世代バッテリーとして、全固体電池の研究を独自に進めており、今期、実証ラインでの生産技術の検証に着手します。この全固体電池は、2020年代後半のモデルに採用できるよう、研究を加速していきます。
これまでHondaは、オデッセイやステップワゴンなど、人々の暮らしを創造する商品「クリエイティブムーバー」を提供してきました。EVの世界でも、独創的なアイデアやデザインといった強みに、デジタル技術を融合させ、Hondaならではの空間価値を提供していきます。
二輪車においては、電動化だけでなく、ガソリンエンジンの燃費改善やバイオ燃料の活用などにも取り組み、二輪車の環境トップランナーとして、業界をリードしていきます。
水素は再生可能エネルギーとして普及が期待されており、Hondaは長きにわたり、FC技術の研究、開発、実用化に取り組んできました。
GMとの協業は継続しながら、FCVの拡大だけでなく、商用トラックへの展開や、定置型、可搬型電源など、幅広い用途にFCシステムを活用していくことで、コスト低減と水素社会の実現を目指します。
2050年に全世界で、Hondaの二輪車、四輪車が関与する交通事故死者ゼロを目指します。二輪車と四輪車、両方を手掛けるHondaならではの、共存安全技術の研究強化を図ると共に、ハード・ソフト両面で、事故のない社会の実現をリードしていきます。
これら環境と安全の取り組みを進めるには、研究開発領域への積極的な投資が不可欠なため、売上高の増減に左右されず、今後6年間で総額5兆円程度を研究開発費として投入します。
研究開発領域では、さらなる強化が必要なデジタル技術の開発体制などに、アライアンスも含め、必要な手を、迅速に打っていきます。
また、電動化におけるバリューチェーンの構築にも、積極的な対応を行っていきます。
「Hondaらしさ」とは、「本質を考え抜いた末にたどり着く価値」、そして「独創性」だと考えます。Hondaは、独創的でありたい、という拘りの強い人材が集まっている会社です。人の描く夢を大切にし、大きな目標に向かってチャレンジし続ける。その中で、常に本質と独創性に拘り続ける会社でありたいと思います。
研究所は昨年から先進技術の研究に特化しており、環境負荷ゼロ社会と、事故のない社会の実現に向けた、先行技術の研究に取り組んでいます。そして、更に次の夢として、モビリティを三次元、四次元に拡大していくべく、空、海洋、宇宙、そしてロボットなどの研究を進めています。先進・先端技術へのリソースはしっかり確保し、独創的な技術研究を強化していきます。
また、新しい価値を積極的に生み出し、お客さまに届けていく為に、従業員の夢やアイデアを起点とした「新事業創出プログラム」も開始しました。
こうした取り組みの結果、「Hondaがあってよかった」「Hondaなら、きっとやってくれる」と、皆さまから存在を期待される企業であり続けたい。これが、私たちが目指す姿です。
目指す姿の実現に向けて、変化する事業環境に対してレジリエントな体質を作ると共に、スケールの大きなアクションを迅速に実行していく。本質を追求し、独創的である、というHondaらしさを常に自らに問いかけながら、アグレッシブに取り組んでいきます。