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2019年05月08日 ニュースリリース

事業方針説明会見 代表取締役社長 八郷 隆弘 スピーチ内容

下線:今回新たに発信する内容

 昨今の自動車業界において、グローバルで事業環境が急激に変化する中、Hondaの四輪事業の体質強化と、次世代に向けた事業の変革スピードをさらに速めることを、経営の最重要課題として進めています。

 そこで本日は、四輪事業の取組みと進捗に関し、特に「四輪事業の体質強化」「電動化の方向性」についてご説明します。

四輪事業の体質強化

 私は、社長就任以来「強い商品づくり」と「地域の協調と連携の強化」により、強いHondaを作り上げると発信してきました。中でもHondaの強みである「グローバルモデル」と「地域専用モデル」の強化に力を入れてきました。

 現在、グローバルモデルは、CIVIC、ACCORD、CR-V、FIT / JAZZ、VEZEL / HR-Vの5機種となり、四輪車販売の6割を占める強い商品になりました。また、地域専用モデルは、日本のNシリーズ、北米のPILOT、中国のCRIDERなど、各地域の成長の源として重要な役割を果たしています。
 しかし、必要以上の地域ニーズへの対応を各地域で個別に進めた結果、モデル数、そしてグレードやオプション装備の組合せである「派生」の数が増え、効率が落ちてきたと認識しています。そこで、グローバルモデルと地域専用モデルの商品魅力と効率化の両立を目指し、「地域の協調と連携の強化」と「クルマづくりの進化」の2つに取り組みます。

地域の協調と連携強化

 地域の協調と連携については、4月からスタートした四輪事業の新たな運営体制の下で、海外の6地域を市場ニーズや環境規制が近い地域同士で束ね、商品ラインアップの見直しと共有化を進めています。これにより、2025年までに、グローバルモデルは派生数を現在の3分の1に削減、地域専用モデルはより強いモデルに集約・削減することで効率を高めていきます

クルマづくりの進化

 クルマづくりの進化については、社長就任以来「営業(Sales)・生産(Engineering)・開発(Development)・購買(Buying)」の各機能が部門を超えて連携することで、企画、開発から生産までを革新させ、モノづくりの効率化、スピードアップを図ってきました。
 さらに、量産車の開発効率や部品共有を高める全社的な取組み「ホンダ アーキテクチャー」を、既に開発に導入しています。この新しい手法で開発を進めた最初のモデルが、来年投入するグローバルモデルになります。そして今後、適用モデルを順次拡大していきます

 こうした地域の協調と連携によるグローバルモデルと地域専用モデルの強化、そしてホンダ アーキテクチャー導入により、2025年までに量産車の開発工数を30%削減し、その工数を将来に向けた先進領域での研究・開発に充てることで、Hondaの将来を支える新技術を生み出していきます

生産領域の体質強化

 生産領域でも、強い商品を効率的に生み出すために、体質強化をさらに進めます。

 現在、生産能力の適正化を各地域で着実に進めています。これにより中国を除くグローバルでの稼働率は、2018年の90%から2022年までにフル稼働となる予定です。
 中国では、東風ホンダの第3工場が新たに稼働し、需要に確実に応えられる体制が整ったことで、グローバル生産能力の適正化については道筋を付けることができました。

 この先は、北米地域での生産体制の効率化を行い、生産領域での競争力を高めることが重要だと考えています。
 北米事業は、販売の拡大と共にモデルラインアップを増やし、各生産拠点で様々なモデルを生産し、需要の変化に対応するフレキシブルな生産体制を構築してきました。しかし、フレキシブル性を高めてきた結果、投資の増加と生産効率の低下が課題となってきました。そこで北米においても、今後、モデルの派生数を削減すると共に、各拠点での生産モデルのアロケーションを、よりシンプルにしていきます。これにより、高効率な生産体制を再構築することで、北米事業での質の追求による成長を実現していきます。

 こうした効率化を各地域で進めることで、グローバルでの生産領域の費用を、2025年までに、2018年と比較して10%削減できる見通しです。

 以上、四輪事業の体質強化を確実に進め、2025年までに四輪車の既存ビジネス盤石化を実現すると共に、将来への対応を加速させます。

四輪車電動化の方向性

 Hondaは、カーボンフリー社会の実現に向けて、2030年にグローバル四輪車販売台数の3分の2を電動車にする目標を掲げています。

 電動車の導入は、「燃費の向上」と「ゼロエミッション」という2つの観点があります。企業平均燃費(CAFE※1)への対応は、世界各地域で規制が強化されている現在、自動車業界の最重要課題の1つです。Hondaは、インフラや車の使われ方を考えると、CAFE対応に現時点で最も有効な技術はハイブリッドだと考えています。全世界での拡販を通じて燃費の向上による地球環境への貢献を目指し、電動化はハイブリッドを中心に進めていきます

 その為に2モーターハイブリッドシステムのi-MMD※2をHondaのモデルラインアップ全体に拡げていきます。現在、中・大型モデルに対応しているi-MMDに、新たに小型車向けのシステムを開発しました。この小型i-MMDは、今秋の東京モーターショーで世界初公開予定の新型FITから採用します

採用モデルのラインアップ拡大に加え、グローバルでの展開を行うことにより、i-MMDのシステムコストは2022年までに、2018年に比べて25%の削減を見込んでいます

一方、ゼロエミッションビークル(ZEV)については、現在施行されている米国カリフォルニア州などのZEV規制や、中国の新エネルギー車(NEV※3)法に対して、バッテリーEVで対応します。地域ごとに異なるニーズに合わせて最適なパートナーやリソースを選ぶことで、効率的にバッテリーEVの導入を進めます。
 北米においては、ゼネラルモーターズとバッテリーコンポーネントの共同開発を行い、競争力のあるバッテリーEVを投入していきます。
 中国では、急速な電動化のスピードに対応するために、合弁会社との共同開発によるバッテリーEVの投入を既に始めています。中国現地リソースを有効活用し、Hondaブランドでの投入も視野に入れながら、市場のニーズに合わせたバッテリーEVをタイムリーに展開していきます。
 欧州・日本では、ジュネーブモーターショーにてプロトタイプを発表した、新型バッテリーEV「Honda e」を投入します。
 以上のように、ハイブリッド車とバッテリーEVに集中し、電動車の普及と事業性の向上を目指します。

事業運営体制の変更

 以上の四輪事業での各施策を確実に進めるために、4月から新しい運営体制でスタートしました。その狙いは、地域の協調と連携を強力に進めるための地域を束ねる組織の構築と、即断・即決で事業展開を加速させることです。本日ご紹介した「四輪事業の体質強化」と「電動化の方向性」を、新たな体制の下でスピード感を持って実現していきます。

結び

 Hondaは、2030年ビジョンで掲げる「すべての人に生活の可能性が拡がる喜びを提供する」というステートメントの実現に向け、「質の追求」による成長を目指しています。そして、創業100年を超える2050年においても、社会から存在を期待される企業であり続けるように、Hondaは熱き想いでチャレンジを続けていきます。

  • ※1Corporate Average Fuel Economyの略
  • ※2Intelligent Multi‐Mode Drive(インテリジェント・マルチモード・ドライブ)の略
  • ※3New Energy Vehicleの略