2010年10月01日 ニュースリリース
汎用エンジン新型「iGX」シリーズ(電子ガバナー搭載仕様)/新型「GX」シリーズ(スタンダード仕様)を発売 -より複雑で高度な用途に対応/出力&環境性能、耐久信頼性を向上-
Hondaは、独自の回転数電子制御技術を採用した汎用エンジン「iGX」に4モデルを追加しシリーズ化を図るとともに、広範な搭載互換性や耐久信頼性で好評を得ているスタンダード仕様の「GX」シリーズを一部モデルチェンジし、国内の各種作業機械メーカーへの販売を10月より順次開始します。
新型「iGX」シリーズ※1は、ECU(電子制御ユニット)がスロットル開度を常に制御することで搭載作業機械が要求する作業回転数やアイドル回転数などを正確に保持する回転数電子制御技術「新電子ガバナー※2(STR※3ガバナー)」を採用。エンジンの負荷状況に合わせて回転数を最適に自動制御するオートスロットルをはじめ、エンジン始動から暖機までのチョーク開度位置をECUが最適に自動制御するオートチョーク機構やリモート制御も可能なDBW※4などを採用することで、より複雑で高度な用途に対応するとともに、優れた燃費性能と低騒音を実現した知能化エンジンです。
また新型「GX」シリーズ※5は、好評のコンパクト設計による広範な搭載互換性はそのままに、燃費、エミッション、出力、騒音、振動、始動性、耐久信頼性などをさらに高め、クラストップレベルの性能を実現しています。
1983年に誕生した4ストローク汎用エンジン「GX」シリーズは、小型軽量でエンジン振動の小さい低重心傾斜シリンダーを世界で初めて汎用エンジンに採用することで、小型建設機械や農業機械など各種作業機械用パワーユニットの世界基準として幅広い業界から支持を獲得。累計生産台数が、4,000万台を超える汎用エンジンのベストセラー※6となっています。
なお、新型「iGX/GX」シリーズは、商業建築業界唯一の毎年開催される国際見本市「ワールドオブコンクリート2010」(2010年2月2日〜5日 開催地:米国ネバダ州ラスベガス)において発表され、「GX」シリーズは3月より北米および欧州地域を中心に海外向け販売を開始。「iGX」シリーズは11月より北米、欧州地域から販売を開始(日本向けは来春より)する予定です。
- ※1 iGX240(最大出力5.9kW)、iGX270(最大出力6.3kW)、iGX340(最大出力8.0kW)、iGX390(最大出力8.7kW)の4モデル
- ※2 ガバナー:回転数調整機構(負荷変動に関わらず回転数を保持する機構)
- ※3 STR:Self Tuning Regulatorの略。自己調整装置
- ※4 DBW:ドライブ・バイ・ワイヤ(Drive By Wire)の略
- ※5 GX240(最大出力5.9kW)、GX270(最大出力6.3kW)、GX340(最大出力8.0kW)、GX390(最大出力8.7kW)の4モデル
- ※6 2010年8月末現在。Honda調べ
販売計画台数(国内海外合計・年間・iGX/GXシリーズ合計)
500,000台
新型「iGX/GX」シリーズの主な特長
知能化を追求した独創の汎用エンジン(iGX)
- ・Honda独自のSTR(電子)ガバナー:自己のパワーコイル※7からの発電でECUを作動させるため、バッテリーの搭載が不要です。ECUは、常にスロットル開度と回転数を監視し、エンジンへの負荷が変化した場合でもスロットルを最適に制御し、設定された回転数を正確に保持します。搭載する作業機械の要求に適した4パターンの仕様※8から最適な作業回転数やアイドル回転数などの選択が可能です。
- ・オートスロットル:エンジンの負荷状況に合わせて自動的に回転数を制御し、負荷がなくなるとアイドリング回転数に戻るため、低騒音&低燃費に寄与します。
- ・オートチョーク:始動時の混合気を濃くするために空気取り入れ口を自動的に絞ります。エンジン始動時から暖機運転まで、エンジン温度により最適なチョーク開度位置をECUが自動制御するため、汎用エンジンで一般的なチョーク操作が不要です。
- ・DBW:操作系は全てワイヤ(電線)で接続。操作荷重が軽く、作業機械側スイッチとエンジンをカプラー結線のみの接続でリモートによる回転調整設定が可能です。
- ※7パワーコイル:ECUを作動させるため、エンジンに設定された電源コイル
- ※8 発電機パッケージ、高圧洗浄機パッケージ、スイッチ仕様、ボリューム仕様の4パターン
高出力
- ・高圧縮比化による燃焼効率の向上やポート形状の最適化に加え、エアクリーナーの通気抵抗を抑制し、シリンダー内に取り込む混合気の吸気体積効率を高めることにより、全回転域でのトルクを向上し、高出力を実現。さらに、iGXは、STRガバナーの搭載により、機械式ガバナーを採用した従来の同排気量のGXエンジンに対し11%の実用出力の向上※9を達成しています。
- ※9iGX390で3,000rpm運転時。Honda調べ
低燃費&低排出ガスエミッション
- ・最適な点火時期を実現するデジタルCDIと高圧縮比の採用や、キャブレターセッティングの最適化による燃焼効率の向上で、低燃費と低排出ガスを両立しています。
- ・実用燃費は、従来の同排気量のGXエンジンに対し10%※10向上。さらにiGXエンジンは、オートスロットルの採用により、従来の同排気量のGXエンジンに対し15%※11向上しています。
- ・デジタルCDIの採用により、始動性と対ノッキング性を向上しています。
- ・実作業時におけるCO2の排出量は、従来のGXエンジンに対し10%※12低減。iGXエンジンは、従来のGXエンジンに対し15%※11低減しています。
- ・世界で最も厳しい排出ガス規制である米国環境保護庁(EPA)PhaseIII規制値※13を大幅に下回る※14エミッションレベルを実現しています。
- ※10GX270/390 EPAモード作業時。3,000rpm運転時。Honda調べ
- ※11iGX270/390 高圧洗浄機モード運転作業時(2分放水、1分止水)。Honda調べ
- ※12GX270/390 EPAモード作業時。Honda調べ
- ※132011年1月施行
- ※14GX340/390、iGX340/390で約25%低減。GX240/270、iGX240/270で約30%低減。EPAモード作業時。Honda調べ
低騒音&低振動
- ・ピストンの軽量化とブリーザーリードバルブの採用によるメカニカルノイズの低減とマフラー内部構造の改良によるエキゾーストノイズの低減を図りました。さらにiGXエンジンは、オートスロットルの採用により、エンジン回転数を制御することで実用上の騒音も軽減しています。
- ・ピストンの軽量化によりエンジン振動を低減し、長時間の作業におけるストレスや疲労を軽減するとともに、アプリケーション(搭載機械)への負荷も軽減しています。
扱いやすさ
- ・エンジン始動用のリコイルグリップは、人間工学的に握りやすい形状を追求。グリップ部には大きな弾性をもつエラストマー素材を採用し、リコイル操作時の衝撃音を低減しています。
- ・iGXエンジンは、大型リール径をもつハニカムデザインのリコイルを採用。同排気量の従来GXエンジンに対し、確実な始動性と約10%以上※15の引き荷重の低減を実現しています。
また、オイルレベルスイッチをエンジンの外付けとすることでメンテナンス性を高めています。
- ※10従来GXモデル比。Honda調べ
新型iGXシリーズ主要諸元
エンジン名称 | iGX240 | iGX270 | iGX340 | iGX390 |
エンジン形式 | 空冷4ストローク単気筒ガソリン(OHV) | |||
シリンダー数/ボア×ストローク(mm) | 1/77×58 | 1/88×64 | ||
総排気量(cm3) | 270 | 389 | ||
圧縮比 | 8.5:1 | 8.2:1 | ||
最大出力(kW[PS]/rpm)* | 5.9[8.0]/3,600 | 6.3[8.6]/3,600 | 8.0[10.8]/3,600 | 8.7[11.8]/3,600 |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm)* | 18.3[1.86]/2,500 | 19.1[1.94]/2,500 | 26.4[2.69]/2,500 | 26.5[2.70]/2,500 |
定格出力(kW[PS]/rpm) | 4.1[5.5]/3,000 4.6[6.2]/3,600 |
4.6[6.2]/3,000 5.1[6.9]/3,600 |
5.6[7.6]/3,000 6.3[8.5]/3,600 |
6.4[8.7]/3,000 7.0[9.5]/3,600 |
燃料消費量(L/h) <連続定格出力時3,600rpm> |
2.2 | 2.4 | 3.1 | 3.4 |
使用燃料 | 自動車用無鉛ガソリン | |||
燃料タンク容量(L) | 5.3 | 6.1 | ||
点火方式 | デジタルCDI式マグネット点火 | |||
点火プラグ | NGK:BPR6ES、DENSO:W20EPR-U | |||
制御方式 | 電気式 | |||
調速方式 | 電気式(STRガバナー) | |||
気化器 | バタフライ式 | |||
エアクリーナー方式 | デュアルサイレント、ローマウント | |||
潤滑方式 | 強制飛沫式 | |||
潤滑油量(L) | 1.1 | |||
全長(mm) | 358(S-type)、384(Q-type)* | 383(S-type)、409(Q-type)* | ||
全幅(mm) | 462* | 484* | ||
全高(mm) | 422 | 448* | ||
乾燥質量(kg) | 32.0(セルフスターター仕様) | 37.0(セルフスターター仕様) | ||
始動方式 | リコイルスターター(手動)式、セルフスターター(電動)式 | |||
チョーク | オート式 | |||
コントロールボックス | 標準装備:大型エンジンスイッチ、オイルアラートインジケーター オプション装備:アワーメーター |
|||
エンジンストップスイッチ | 開放停止タイプ |
* 2010.10.4訂正
新型GXシリーズ主要諸元
エンジン名称 | GX240 | GX270 | GX340 | GX390 |
エンジン形式 | 空冷4ストローク単気筒ガソリン(OHV) | |||
シリンダー数/ボア×ストローク(mm) | 1/77×58 | 1/88×64 | ||
総排気量(cm3) | 270 | 389 | ||
圧縮比 | 8.5:1 | 8.2:1 | ||
最大出力(kW[PS]/rpm)* | 5.9[8.0]/3,600 | 6.3[8.6]/3,600 | 8.0[10.8]/3,600 | 8.7[11.8]/3,600 |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm)* | 18.3[1.86]/2,500 | 19.1[1.94]/2,500 | 26.4[2.69]/2,500 | 26.5[2.70]/2,500 |
定格出力(kW[PS]/rpm) | 4.1[5.5]/3,000 4.6[6.2]/3,600 |
4.6[6.2]/3,000 5.1[6.9]/3,600 |
5.6[7.6]/3,000 6.3[8.5]/3,600 |
6.4[8.7]/3,000 7.0[9.5]/3,600 |
燃料消費量(L/h) <連続定格出力時3,600rpm> |
2.2 | 2.4 | 3.1 | 3.4 |
使用燃料 | 自動車用無鉛ガソリン | |||
燃料タンク容量(L) | 5.3 | 6.1 | ||
点火方式 | デジタルCDI式マグネット点火 | |||
点火プラグ | NGK:BP6ES/BPR6ES、DENSO:W20EP-U/W20EPR-U | |||
制御方式 | 遠心重鍾式 | |||
調速方式 | 機械式 | |||
気化器 | バタフライ式 | |||
エアクリーナー方式 | デュアルサイレント、ローマウント、オイルバス、サイクロン | |||
潤滑方式 | 強制飛沫式 | |||
潤滑油量(L) | 1.1 | |||
全長(mm) | 355(S-type)、381(Q-type)* | 380(S-type)、406(Q-type)* | ||
全幅(mm) | 428* | 460* | ||
全高(mm) | 422 | 448* | ||
乾燥質量(kg) | 25.0(リコイルスターター仕様) | 31.5(リコイルスターター仕様) | ||
始動方式 | リコイルスターター、セルフスターター | |||
チョーク | マニュアル式 | |||
コントロールボックス | オプション(セルフスターター仕様) | |||
エンジンストップスイッチ | 開放停止タイプ |
- *ここに表示したエンジン出力はSAE J1349に準拠して3,600rpm(最大出力)、2,500rpm(最大トルク)で測定された代表的なエンジンの出力値です。量産エンジンの出力はこの数値と変わることがあります。完成機に搭載された状態での実出力値はエンジン回転数、使用環境、メンテナンス状態やその他の条件により変化します。
* 2010.10.4訂正
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