Hondaは、製造時の必要エネルギーやCO2発生を従来の半分に抑える事を可能にした独自開発の非シリコン系次世代型薄膜太陽電池を、2007年より熊本製作所内に年産27.5MW(メガワット)の太陽電池量産用新工場を設け生産開始する計画を決定した。
また販売については、生産技術開発子会社 ホンダエンジニアリング(株)(社長:岩田秀信、本社:栃木県芳賀郡芳賀町 略称EG)にて生産する太陽電池を2006年秋より地域限定で開始する予定である。
今回Hondaが量産する次世代型太陽電池は、素材に銅-インジウム-ガリウム-セレン(CIGS)化合物薄膜を使用することで、製造過程で必要とされる消費エネルギーを、従来の結晶シリコン系太陽電池と比較して約半分に抑え、これによって生じるCO2を削減した製造時から環境に優しい太陽電池である。また、薄膜電池としては最高レベルの光電変換効率(一般的な結晶シリコン系とほぼ同等レベル)を実現している。
この太陽電池は2002年春より、細江船外機工場、EG本社、Honda和光ビルなどHondaの国内12事業所と海外3事業所に設置され既に活用されている。
地球環境保全に役立つ太陽電池の普及のためには低コスト化と光電変換効率の向上が求められており、非シリコン系薄膜太陽電池はこうした課題を解決するものとして注目されてきた。しかし、性能を安定させて量産する技術が課題となっていた。今回の量産化は二輪車や四輪車、エンジンやハイブリッドモーターなどの製造設備や生産技術などを開発するEGが独自に開発した薄膜太陽電池量産プロセスによって実現したものである。
Hondaは環境負荷低減の為に自動車排出ガスのクリーン化や、CO2削減に積極的に取り組んでおり、国内の四輪車を例に取ると平成22年度燃費基準を全重量カテゴリーで達成済み。これらの環境負荷低減に加えて、自動車メーカーとして初の太陽電池事業進出により、化石燃料を使用しないクリーンなエネルギー源の製造・販売でCO2削減による地球温暖化防止に貢献して行く。Hondaの2010年ビジョンでは、新領域へのチャレンジや、地球に優しい持続可能なエネルギー技術の開発を謳っており、この度の独自開発による太陽電池事業進出はこの2010年ビジョンを具現化したものである。
新量産ライン概要
場所
本田技研工業(株) 熊本製作所 現敷地内を予定
設立時期
2007年後半立ち上り
建屋面積
12,000平方メートル
規模
年間27.5MW(メガワット)(一般家庭一軒を3.5KW分とすると約8千世帯分に相当)
用途
個人住宅用及び公共産業用