Hondaは、オフィスなど実際の環境で作業する能力と、高い運動能力を特徴とする「新型ASIMO」を発表した。従来に比べ、人と手をつないで一緒に歩くなど、人に合わせて行動する機能を強化すると共に、ワゴンを使った運搬機能も追加。さらにこれらの機能を総合的に実行する統合制御システムを開発したことにより、受付案内や、デリバリーサービスなどを自動で行なうことができるようになった。また、走行能力を飛躍的に向上させて、時速6kmの走りや旋回走行なども可能になった。

トレイの受け渡し

時速6kmの走り
Hondaは、これまで、知的・身体的能力を高次元で合わせ持つ、真に役立つ人間型ロボットの実現を目指し、研究開発を進めてきたが、この度の進化で、身体能力に関しては、所期の目標を達成した。
今後は様々な状況に応じた総合判断が行えるなど、知能領域に重点を移して、いっそう強力に研究開発を推進していく。
受付案内などを人に合わせて自動で行なう機能
視覚センサー、床面センサーおよび超音波センサーによって周囲環境を認識することに加え、新たに、独自開発のIC通信カード*を人が携帯することで、人の動きに合わせて自動で受付・案内ができるようになった。また、頭部のアイカメラと手首にある力覚センサーを用いることによって、トレイなどの物をタイミング良く手渡ししたり受け取ったりすることが可能となった。また、この力覚センサーを用いることで、手をつないでASIMOと一緒に歩行することも可能になった。
- *IC通信カード :ICタグに光通信機能を加えたもので、人や物の存在と位置がわかるカード。360°どの方向に人がいても、その位置と誰であるかを認識できるようになった。
ワゴンを使った運搬機能
手首の力覚センサーを用いてワゴンを押す左右の腕の力を調整することで、ワゴンとの間隔を適切に保ちながらワゴンを自在に操ることが可能になった。また、ワゴンの動きを邪魔されても、減速したり向きを変えるなど、柔軟に対応しながら、移動させることができる。
ワゴン積載重量10kgまで可能。
走行機能の向上
両足が浮いているときでも、積極的に姿勢の傾きを制御することで、走行スピードを従来の時速3kmから、時速6kmに倍増させた。また旋回時に発生する遠心力に釣り合うように、体の重心を内側に傾けることにより高速旋回走行を可能とした。
Hondaは、この新型ASIMOを、来年の春を目処に、Honda和光ビル内のオフィスで運用を開始する。リースについても順次、新型ASIMOを適用していく予定。
一方、ASIMOで培った様々な要素技術として、姿勢制御技術、画像および音声認識技術、衝突予知・回避技術認識などの技術は、今後クルマの安全技術をはじめ様々な分野にフィードバックしていく。
主な仕様
1.走り | 時速6km(従来 時速3km) (跳躍時間 0.08秒、跳躍時に両足が浮いて前に進む距離 50mm) |
2.通常歩行速度 | 時速2.7km(従来 時速2.5km) |
3.旋回走行速度 | 時速5km(旋回半径 2.5m) |
4.運搬歩行速度 | 時速1.6km(運搬時重量 1kg) |
5.身長 | 130cm |
6.体重 | 54kg |
7.関節自由度 | 34自由度 |

IC通信カード

ワゴンサービス

旋回走行-1

旋回走行-2

手をつないで歩く

時速6km時の両足が浮いた瞬間

トレイをテーブルに置く