Hondaは、新しいコンセプトの小型ビジネスジェット実験機「HondaJet」を自社開発し、自社製ジェットエンジンHF118を搭載して、今月、米国ノースカロライナ州ピードモントトライアッド空港にてフライト試験を開始した。

離陸するHondaJet
この実験機は従来機と比較して、燃費、キャビンの広さを格段に向上させたのが特徴。
エンジンを主翼上面の最適位置に配置するというユニークな形態を採用する事で高速飛行時の造波抵抗を低減させ、巡航効率を高めた。また、このレイアウトにより胴体内のエンジン支持構造を廃することで従来の機体に比べ胴体内容積を30%以上拡大。胴体にはカーボン複合材一体成形構造を用い、小型軽量でありながら、クラス最大のキャビンを実現した。
主翼構造にはアルミ一体削り出しスキンを採用する事で従来構造に比べよりスムーズな表面を実現し、独自開発した乱流発生を抑える層流翼設計と合わせ、空気抵抗を大きく低減。さらに胴体の先端形状を工夫し層流を実現させるなど、随所に抵抗低減の技術が盛り込まれている。Honda製ターボファンエンジンHF118の低燃費性能と合わせ、燃費は従来機に対し約4割向上している。
この実験機には、先進のグラスコックピットタイプの計器表示装置を採用した。またオートパイロットや防氷装置などを搭載している。
今後約200時間の飛行試験を計画しており、各種システム、性能や操縦安定性を実機レベルで確認、実証する予定である。
Hondaは1986年より小型ジェット機の研究を始め、他社製エンジンでの飛行例はあるが、自社製エンジンと自社製機体の組み合わせでの飛行は今回が初めてで、世界的にも珍しい。
機体の新技術
Honda自然層流翼SHM-1
翼厚が厚いにもかかわらず、抵抗が低く、高い速度領域での特性に優れた翼形SHM-1を独自開発。

既存機T-33による翼型テスト
胴体層流ノーズ
胴体先端部分の形状を最適化する事で、層流を実現し胴体抵抗を低減。

赤外線による空気の流れ分析

風洞試験で可視化された ノーズ周りの流れ
エンジン主翼上面配置
エンジンナセルを主翼上面の最適位置に配置することで、高速域での空力特性を向上。

コンピュータによる翼上面配置 エンジン周りの圧力分布
一体成形複合材製胴体
一体成形構造とハニカムサンドウィッチ構造を組み合わせた新しい複合材構造様式を開発。
軽量で内部容積の広い胴体を独自開発。

一体成形複合材製胴体の 強度プルーフ試験
アルミ製主翼
一体削り出しスキンを採用することで滑らかな翼表面を構成、層流を実現。

アルミ主翼構造配置
グラスコックピット
操縦計器には先進のグラスコックピットシステムGarmin G1000を搭載し、フラットディスプレイに情報を効率的に表示。

HondaJetコックピット
主要諸元
通称名 | HondaJet |
座席数 | 計6(乗員2+乗客4/乗員1+乗客5) |
エンジン | Honda HF118 ターボファンエンジン |
最大離陸推力(kgf(lbf)) | 757(1,670)×2 |
最大離陸重量(kgf(lbf)) | 4,173(9,200) |
全長×全幅×全高(m(ft)) | 12.5×12.2×4.1(41.1×39.9×13.2) |
最高速度(km/hr(knot)) | 778(420) |
最大運用高度(m(ft)) | 12,497(41,000) |
航続距離(km(nm)) | 2,037(1,100) |
燃費(km/kg(nm/lb)) | 3.3(0.8) |
離陸距離(m(ft)) | 807(2,647) |
着陸距離(m(ft)) | 694(2,277) |

3面図

HondaJet全景
HondaJet 参考資料

地上のHondaJet

高速タキシング

HondaJetリヤビュー

離陸するHondaJet

離陸するHondaJet

着陸するHondaJet

風洞実験