ニュースルーム

2003年10月03日 ニュースリリース

4ストローク50ccスクーター用電子制御燃料噴射装置を世界で初めて開発

    Hondaは、燃費の向上と排出ガスのクリーン化に加え、始動性に優れた電子制御燃料噴射装置 (Honda Programmed Fuel Injection 以下PGM-FI)を、量産車として世界で初めて、4ストローク50ccエンジン用に開発し、来春国内で発売予定の新型スクーターに搭載する。

PGM-FI搭載4ストローク50ccエンジン

PGM-FI搭載4ストローク50ccエンジン

    今後、2007年末までに、国内向けに発売するすべてのスクーターをPGM-FI搭載車に切り替えていく予定である。さらに、2010年末までに、全世界で発売する大半の二輪車にPGM-FIを搭載する。

 二輪車へPGM-FIを搭載する場合には、緻密な制御が必要な上、50ccのような最小排気量車においてはさらなる小型化、低コスト化が重要な技術的課題であった。

    4ストローク50ccスクーター用PGM-FI開発の主な成果

  • システム構成部品の機能集約や一体設計により大幅に部品点数を削減し、小型化と低コスト化を実現。
  • 30km/h定地走行燃費で約7%、市街地を想定した実走行モード燃費で約10%の向上。
  • 排出ガスは国内規制値に対し、CO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)ともに約1/2と大幅なクリーン化を達成。
  • 従来のキャブレター仕様と比較して、低温時や長期間放置後のエンジン始動性を大幅に向上。
  • 電力供給が必要なシステムにもかかわらず、バッテリーが完全放電した場合でもキックによる始動を可能とした。
  • Honda測定値

    Hondaはかねてより、地球環境保全の観点から、全世界で二輪車の4ストロークエンジン化を推進し2002年度末で完了した(一部特殊車両を除く)。二輪車のFI化については、1982年に発売したCX500 Turbo(500cc、輸出車)を皮切りに、大排気量1,800ccから小排気量125ccまで幅広く採用してきており、今回の技術が完成したことにより、世界で初めて4ストローク50ccエンジンにまで拡大展開することとなった。
 この技術により、国内で最も販売量の多い50ccクラスにおいて、さらなる低燃費化と排出ガスのクリーン化を促進していく。

PGM-FI搭載4ストローク 50ccスクーター試作車

PGM-FI搭載4ストローク 50ccスクーター試作車

4ストローク50ccスクーター用PGM-FIの主な特長

低コスト化と機能集約

各機能部品の統合化やセンシング機能の集約化、燃料ポンプをはじめとする主要部品の新設計など、大型機種用PGM-FIに比べ、15部品から8部品へと大幅な部品点数削減を図っている。さらに、32bit高速CPUを採用し、ACG※1スターター制御ECU※2に、PGM-FI制御ECUを統合することで、機能の集約化を図り低コスト化を実現している。

  • ※1ACG・・・交流発電機
  • ※2ECU・・・Engine Control Unit

部品の小型化、軽量化

50ccスクーターのフラットフロアを維持するために、フロア下に配置された扁平ガソリンタンク内に収まる超小型燃料ポンプモジュールを新開発。2003年2月に欧州で発売したパンテオン(125ccスクーター)と比較して64%の小型化、32%の軽量化を実現している。スロットルボディーとECUは、従来の50ccスクーターのキャブレターシステムと比較して、それぞれ38%、21%の小型化を実現している。

微少な燃料流量制御

小排気量エンジン用インジェクターは微少な噴射量と噴霧の微粒化の両立が求められる。今回開発した50cc用インジェクターは、その噴射量を125ccスクーター(パンテオン)に対し1/3にするため2孔噴射ノズルを採用。一方、微粒化については従来噴射ノズルの多孔化が一般的であったが、内部流路形状を最適化することで世界最高水準の微粒化も達成した。

アイドリング時の微少な空気流量制御

最小制御空気量も、125ccスクーター(パンテオン)と比べ1/3にする必要がある。今回開発した50cc用エアバルブは、超小型ステップモーターで高精度のバルブを30μm単位で精密に作動させることにより、始動・暖機・アイドリング等エンジンの運転状態に応じた最適な空気量を制御することが可能となった。
その結果、始動性とアイドリング性能の大幅な向上と経年変化に対するメンテナンスを不要としている。

バッテリー完全放電状態からのキック始動

小型二輪車においては長期放置等でバッテリーが完全放電した場合でも、キックで始動出来ることが求められる。従来のFIシステムにおいてはキック時のわずかな電流で始動させることは困難であった。今回キック時の0.2秒間に発電されるわずかな電流を、始動に必要な回路にのみ重点供給するシステムと、省電力燃料ポンプの開発により、バッテリーが上がった場合でもキックで確実なエンジン始動が可能となった。