Hondaは、最高速や加速性能といった走行性能を向上させたほか、航続距離を伸ばすとともに、衝突安全対応を行うなど、より市販車の性能に近づけた新燃料電池車「FCX-V4」を発表した。

FCX-V4
このFCX-V4では、燃料電池システムの各部位を新規設計し、コンパクト化を実現。 新設計350気圧対応高圧水素タンクの採用により、航続距離を従来の180kmから300kmへと大幅に向上させたほか、タンクを床下に配置することで、荷室スペースも確保した。始動性、静粛性、発進加速性で高い評価を得た前実験車FCX-V3に比べ、最高速を130km/hから140km/hにまで上げたほか、加速性能も向上させた。一方、衝突安全対策として、フロント及びリアにクラッシャブルゾーンを設け、安全性を高めている。また、ラジエータも大型化し、冷却性能を向上した。インテリアではデジタルメーターを新たに設計し、燃料電池とウルトラキャパシタを使ったエネルギーマネージメントが一目で把握できるデザインとしている。

FCX-V4 モータールーム
Hondaは、米国での燃料電池車公道走行テストプロジェクトであるカリフォルニアフューエルセルパートナーシップ(CaFCP)において昨年11月から今年8月末までに既に6,300マイル(約10,000km)を走行し、実車走行データを着実に蓄積している。また、今年7月から開始した日本での公道走行テストを通じても、さまざまな状況下での燃料電池車の市場適合性検証を重ねている。これらテストを通じて得られた各種データは、新燃料電池車開発に反映されていくことになる。
Hondaはかねてより化石燃料の代替、排出ガスの削減、地球温暖化への影響低減などという観点から、燃料電池を次世代のパワープラントととらえ、燃料電池車の開発を進めている。今後もさらに米国や日本で行う公道走行テストなどを通して要素技術の向上を続け、2003年の実用化を目指している。
FCX-V4 主要諸元
車両重量 | 1,740kg | |
乗車定員 | 4名 | |
最高速 | 140km/h | |
モーター | 最大出力 | 60kW(82PS) |
最大駆動トルク | 238Nm | |
種類 | 交流同期電動機 | |
燃料電池スタック | 形式 | PEFC(固体高分子膜型)(バラード製) |
出力 | 78kW | |
燃料 | 種類 | 圧縮水素ガス |
貯蔵方式 | 高圧水素タンク(350気圧) | |
容量 | 130L | |
航続距離 | 300km |