1)センシング原理
本視覚センサーは、独自方式の画素素子を13×16mm2内部にアレイとして配列し、そ れをデコーダーとセレクタにて読み出す構成をとっている。
個々の画素素子は12×12μm2のエリアに、CMOSプロセスによりフォトダイオードと、独自のリフレッシュ回路を内蔵している。一般的な視覚センサーでは、光入力が強ければ 出力が容易に飽和するのに対し、本センサーでは光入力に対し出力が対数的になる為、広い明暗幅が取れる。さらに画像読み込みの度にリフレッシュ信号を加えることで、ワイドダイナミックレンジと、低残像すなわち高動作速度との両立を実現している。
入射光強度と出力の関係
動作速度とダイナミックレンジの関係
センサーチップ外観
センサーチップ内部
画素素子構成
2)機能と応用
主な機能
- ・130dBのワイドダイナミックレンジ
- ・リフレッシュ回路による低残像
- ・高い集光効率による低照度対象物の検出
- ・近赤外線の検出
- ・カラー撮影
これらの機能を駆使することで、以下のような様々な用途が考えられる。
- 1.自動車用視覚センサー
ワイドダイナミックレンジにより、トンネルの出口などの明暗混在の対象を撮影できるほか、リフレッシュ機能により対向車ハイビームや西日を受けても残像が残らず、暗い対象を撮影可能。
- 2.道路の知能化用視覚センサー
時間と共に太陽光の方向が変わる外界においては、ワイドダイナミックレンジを有する視覚センサーが有効であり、ITSへの活用等にも貢献できる技術である。 - 3.セキュリティー用視覚センサー道路の知能化と同じく、太陽光の方向、戸外の明るさといった背景の変化があっても、対象物を撮影可能。近赤外線の照明・カメラは、侵入者に撮影ポイントが判らない為、特に夜間の防犯システムとして付加価値が高い。尚、信号は全てデジタル処理されている為、長距離の転送が容易。
- 4.溶接用視覚センサー
ワイドダイナミックレンジにより、一般視覚センサーでは眩惑される様な、アーク溶接、レーザー溶接工程のモニターが可能。
溶接スポットの検出により、溶接位置への制御フィードバックが可能になることで自動化へ貢献が可能。又、溶融池の面積、ビード(溶接痕)幅の検出により、溶接条件へフィードバックすることで溶接品質の向上が可能。
本センサーで撮影した映像
通常CCDレベルで撮影した映像