本田技研工業(株)は、簡便な操作で効果的な制動力が得られる新開発の前・後輪連動ブレーキシステム「コンビ・ブレーキ」を搭載するとともに、燃料タンクの容量を増加させるなど使い勝手を向上させた50ccメットインスクーター「ホンダ Dio」を12月23日より発売します。また、専用カラー採用の「ホンダ Dio SP」を’97年1月1日より発売します。
このDioは’88年に発売以来、初心者はもとより幅広い層に愛用されているメットインスクーターです。今回搭載した新開発のコンビ・ブレーキは、より安心感のある扱い易いブレーキシステムの実現を目指してホンダが独自に開発したもので、比較的使用頻度の高い左ブレーキレバー(後輪ブレーキ)の操作時に、制動力を前・後輪に適切に配分しています。この連動システムは、シンプルでコンパクトな構造にするとともに、前輪ブレーキを従来モデルドラムタイプから、安定した制動力が得られ易いディスクタイプに変更しています。また、燃料タンク容量を6Lにアップするなど機能面での充実を図りながらも、価格は従来モデルのDio SR(ディスクブレーキ仕様)比べ、9,000円低い価格設定とすることで、幅広いユーザーの要望に応えられるものとしています。
*コンビ・ブレーキとは、連動(Combined)、便利(Convenience)の意味をもたせた造語
尚、コンビ・ブレーキはあくまでもブレーキ操作を補助するためのシステムであり、ブレーキングの基本は左右のブレーキレバーを同時に操作することです。
販売計画台数(国内・年間)
シリーズ合計
180,000台
メーカー希望小売価格
Dio
147,000円
Dio SP
147,000円
(地域小売価格の一例 : 北海道は8,000円高、沖縄は5,000円高、その他一部地域を除く。)
(参考価格。消費税を含まず。)
コンビ・ブレーキシステムの構成
左ブレーキレバーによる制動操作を前・後輪に連動配分させるために、「手元イコライザー」を左レバーブラケットに設け、後輪ブレーキワイヤーと、「コネクティングケーブル」(前輪制御のためのケーブル)をそれぞれ接続しています。
右ブレーキレバー部には、コネクティングケーブルの動作を前輪マスターシリンダーに伝えるための「ノッカー」と、前輪への制動力配分を適切にするための「特性設定スプリング」を設けています。
コンビ・ブレーキの機能
この前・後輪連動システムは、初心者ユーザーにとっても比較的使用頻度の高い左ブレーキレバーの操作時に作動させています。また、左ブレーキレバーを握る力の強弱に応じて、前・後輪への制動力を適切に配分して、より効果的な制動力を得られやすくしています。
その他の充実した機能
・燃料タンクの容量を従来の 5.3L から 6.0L へとアップし、給油の頻度を少なくしています。
・ヘッドライトの光量アップを図った 40W/40W のハロゲンヘッドライトを採用し、視認性の
向上を図っています。
車体のカラーリングは、新色のブーンシルバーメタリックに豪華なイメージのキャンディメープルレッド、精悍なピュアブラック、落ち着いたタスマニアグリーンメタリックの4色を設定。なお、Dio SPは専用色のミディアムグレイメタリックを採用しています。
また、フロントフォークとホイールの色をミストラルゴールドメタリックに変更するとともに、ヘッドライトとウインカーを、四輪車イメージの一体型クリアアウターレンズでまとめるなど全体に高級感にあふれたデザインとしています。
エンジンは、定評の空冷・2サイクル・単気筒・49cm3 のエンジンを搭載し、ワイドレシオのVマチック(無段変速)によって、低・中速域でスムーズで粘り強い走りを発揮させています。
Dioシリーズは、’96年6月に発売した前・後輪連動ABS「M.A.-C.(Motor Actuated Combined)ABS」搭載のDio STに加え、今回のコンビ・ブレーキ搭載のDioとDio SPをラインナップすることで、幅広いユーザーに扱い易いブレーキシステムを提供できるものとしています。
*DioとDio SPの主要諸元は同一です。
主要諸元
通称名 | Dio | |
車名・型式 | ホンダ・A-AF35 | |
全長×全幅×全高 | (m) | 1.675×0.625×0.995 |
軸距 | (m) | 1.145 |
最低地上高 | (m) | 0.105 |
シート高 | (m) | 0.700 |
車両重量/乾燥重量 | (kg) | 75/69 |
乗車定員 | (人) | 1 |
燃料消費率(km/L) 30km/h定地走行テスト値 | 47.0 | |
最小回転半径 | (m) | 1.8 |
エンジン型式 | AF34E(空冷・2サイクル・単気筒) | |
総排気量 | (cm3) | 49 |
内径 × 行程 | (mm) | 40.0×39.3 |
圧縮比 | 7.1 | |
最高出力 | (PS/rpm) | 7.0/6,500 |
最大トルク | (kgm/rpm) | 0.79/6,250 |
キャブレター型式 | APB0C | |
始動方式 | セルフ式(キック式併設) | |
点火装置形式 | CDI式マグネット点火 | |
潤滑方式 | 分離潤滑式 | |
潤滑油容量 | (L) | 1.3 |
燃料タンク容量 | (L) | 6.0 |
クラッチ形式 | 乾式多板シュー式 | |
変速機形式 | 無段変速式(Vマチック) | |
変速比 | 1速 | 2.850~0.860 |
キャスター(度)/トレール(mm) | 25°40'/72 | |
タイヤサイズ | 前 | 3.00-10 42J |
後 | 3.00-10 42J | |
ブレーキ形式 | 前 | 油圧式ディスク |
後 | 機械式リーディング・トレーリング | |
懸架方式 | 前 | テレスコピック式 |
後 | ユニット・スイング式 | |
フレーム形式 | アンダボーン |