本田技研工業(株)は、新設計の粘り強く扱い易い出力特性をもつ空冷・4サイクル・単気筒 エンジンに、始動の容易なセルフスターターを組み合わせて装備するとともに、フレーム、足廻りをも一新し、オンロードからオフロードまで一段と軽快で優れた走破性を発揮するランドスポーツバイク「ホンダXR250」「ホンダXRバハ」の2タイプを'95年2月20日より発売する。
このXR250/XRバハは、世界各地の過酷なラリーレイドやエンデューロレースで培った技術をもとに開発したオフロード走行専用車“XRシリーズ”の開発コンセプトである「より楽しく軽快に」「より幅広いライダーに」「長時間のライディングにもストレスなく」走行できる高い基本性能をもとに、ライダーの技量に応じて、「自由自在」に操れることを徹底追及するとともに、足場の悪い不整地などでもエンジンの再始動をより容易にするセルフスターターを装備するなど、日常のオンロード走行から、本格的なオフロード走行まで、一段と軽快な走りが楽しめるランドスポーツバイクである。
販売計画台数(国内・年間)
シリーズ合計
8,000台
メーカー希望小売価格
XR250
479,000円
XRバハ
499,000円
(地域希望小売価格の一例:北海道は15,000円高、沖縄は9,000円高、その他一部地域を除く。)
(参考価格。消費税を含まず。)
エンジンは、新設計の空冷・4サイクル・単気筒・OHCで、好評のRFVC(放射状4バルブ方式半球形燃焼室)や振動を低減する1軸バランサー、ボア・ストローク(73.0mm×59.5mm)を継承しながら、小型・軽量でレスポンス性に優れたCVタイプのキャブレターやデュアルエキゾーストシステムを組み合わせて採用することで、優れた吸・排気効率と燃焼効率を実現し、不整地走行で求められる低・中回転域で力強いトルク特性としながらも、高回転域でもスムーズで力強い出力特性としている。
さらに、潤滑システムをドライサンプ方式とし、フレームの一部にエンジンオイルタンク(1.3L)を内蔵することによってエンジンのコンパクト化とクランクケースの軽量化を実現するとともに、シリンダーヘッドのフィンの大型化とあいまって優れたエンジンの冷却性能を発揮させている。
また、始動時のクランク回転トルクを軽減させるデコンプ(減圧)機構をカムシャフトに組み込んだオート・カムデコンプ・システムを採用することで、スターターモーターの負担を軽減させると同時に、小型化することで、軽量でコンパクトなMF(メンテナンスフリー)バッテリー(12V-4A)の装着をも可能にしている。
フレームは、エンジンを可能な限りコンパクトに抱え込ませる新構造で、メインフレームの主要部には角型断面鋼管を採用し、軽量化と高剛性を高次元でバランスさせたセミダブルクレードルとし、サブフレームを着脱式とすることによって充分なエアクリーナー容量を確保するとともに、リアサスペンションの調整を容易にするなど、メンテナンス性にも配慮している。
さらに、スイングアームのピボット部をエンジン後部のマウントと共用することによってフレームの小型化と軽量化を実現している。
マフラーは、円筒タイプとし、中・低回転域で力強いトルク特性としながら、高回転域でも伸びの良い出力特性としている。
足廻りは、ランドスポーツバイクに最適なホイールトラベル(作動)量(前:265mm/後:260mm)を確保するとともに、フロントサスペンションに、直径41mmの大径インナーチューブと優れた路面追従性を発揮するカートリッジタイプを採用。さらに、アウターチューブは高強度アルミの引き抜き材と、鋳造のアクスルホルダーとの2ピース構造とすることで強度と剛性を両立させている。また、ボトムブリッジの形状を工夫することでエンドピース部分の突き出し量を極力少なくし、轍などでのグラウンドヒットを低減させている。
またリアは、定評あるプロリンクサスペンションで、クッションユニットはリザーバータンクとダンパーケースを一体式とすることで、軽量・コンパクトで作動性に優れたものとするとともに、圧側・伸び側に減衰力調整機構を装備することによって、幅広い路面状況に対応できるものとしている。
ブレーキは、前・後とも油圧式ディクとし、フロントに直径240mm、リアに220mmのディスクプレートに、軽量・高剛性のキャリパーボディと焼結パッドを組み合わせるなど、優れた制動フィーリングを発揮させている。
メーターは、速度計に加え、時計やストップウォッチなどのクロック機能と、積算距離計や加算/減算機能付きの区間距離計などの走行距離機能が複合的に表示できる多機能デジタルを採用し、長距離のラリーやエンデューロに加え、ツーリングなどで使い勝手の良いものとしている。
ヘッドライトは、XR250には小型の角型ハロゲンタイプ(35W/36.5W)に分割式のライトケースとバイザー部を組み合わせて採用することで、軽量化を図るとともに、メンテナンス性にも配慮している。
また、XRハバには、大径(φ150mm)の2灯式ハロゲンヘッドライト(35W/36.5W×2)にアルミ製ガードパイプを組み合わせて装着し、多機能デジタルメーターとあわせ、フレーム側に取り付けることで、操舵系マスの軽量化を図り、軽快なハンドリングを実現している。
外観は、一段とフラッシュサーフェス化を推し進めたスリムな形状としながらも、充分な燃料タンク容量(9.7l)を確保するとともに、各部に徹底した軽量化を施している。
また、左側のサイドカバーの前部をヒンジ式のエアクリーナーリッドとし、クイックファスナーの採用とあいまって開閉し易く、ビスカス式のエアクリーナーエレメントの着脱を容易なものとしている。 さらに、シートはリアフェンダーと段差の少ない形状とし、前部の表皮の肉厚を厚目にしたツートーンカラーとするとともに、クッション材には高密度ウレタン材を採用し、オフロード走行で体重移動のしやすいスリムな形状としている。
カラーリングは、クリーンなイメージのホワイトを基調に、バイオレットとレッドを効果的に配したニュートリコロールとし、燃料タンク側面の大きめのロゴとあいまって力強いイメージとしている。
主要諸元
〈 〉内はXRバハ
通称名 | XR250〈XRバハ〉 |
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車名・型式 | ホンダ・MD30 |
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全長×全幅×全高(m) | 2.140×0.820×1.205〈1.225〉 |
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軸距(m) | 1.405 |
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最低地上高(m) | 0.280 |
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シート高(m) | 0.880 |
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車両重量/乾燥重量(kg) | 128〈130〉/115〈117〉 |
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乗車定員(人) | 2 |
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燃料消費率(km/L)60km/h定地走行テスト値 | 38.0 |
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最小回転半径(m) | 2.1 |
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エンジン型式 | MD17E(空冷・4サイクル・OHC・単気筒) |
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総排気量(cm3) | 249 |
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内径×行程(mm) | 73.0×59.5 |
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圧縮比 | 9.3 |
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最高出力(PS/rpm) | 28/8,000 |
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最大トルク(kgm/rpm) | 2.6/7,000 |
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キャブレター型式 | VE88 |
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始動方式 | セルフ式 |
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点火装置形式 | CDI式バッテリ点火 |
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潤滑方式 | 圧送式(ドライサンプ式) |
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潤滑油容量(L) | 1.7 |
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燃料タンク容量(L) | 9.7 |
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クラッチ形式 | 湿式多板コイル・スプリング |
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変速機形式 | 常時噛合式6段リターン |
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変速比 | 1速 |
2.769 |
2速 |
1.882 |
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3速 |
1.380 |
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4速 |
1.083 |
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5速 |
0.923 |
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6速 |
0.814 |
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減速比(1次/2次) | 3.100/3.000 |
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キャスター(度)/トレール(mm) | 25°25′/92 |
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タイヤサイズ | 前 |
3.00-21 51P |
後 |
4.60-18 63P |
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ブレーキ形式 | 前 |
油圧式ディスク |
後 |
油圧式ディスク |
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懸架方式 | 前 |
テレスコピック式 |
後 |
スイングアーム(プロリンク) |
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フレーム形式 | セミダブルクレードル |