本田技研工業(株)は、大排気量エンジンならではの力強く余裕ある出力特性を活かし、市街 地から高速道路、さらに効外のワインディングロードまで幅広くダイナミックな走行が楽しめ、 しかも画期的な二輪車用の前・後輪連動ブレーキシステム(Dual CombinedBrake System/デュアル・コンバインド・ブレーキ・システム)を搭載した大型スポーツバイク「ホンダCBR1000F」を4月27日より発売する。
このCBR1000Fは、'86年より欧米に輸出し、優れたスポーツ性能と快適なクルージ ング性能を両立させ、トータルバランスに優れたモデルとして好評を得ているもので、'93年 モデルは「ヒューマンフィッティング」をキーワードに、新開発の前・後輪連動ブレーキシステムを搭載するとともに、マス(質量)の集中化を図ったもので、限定解除の自動二輪車免許を所 有するベテランライダーに向けて国内発売する大型スポーツモデルである。
販売計画台数(国内・年間)
500台
メーカー希望小売価格
950,000円
地域希望小売価格の一例:北海道は30,000円高、沖縄は10,000高円、 その他一部地域を除く。)
(参考価格。消費税を含まず。)
この前・後輪連動ブレーキシステムは、レバーブレーキは前輪のみ、ペダルブレーキは後輪のみの制動を行う一般の二輪車用ブレーキと異なり、レバー、ペダルのいずれの操作を行っても前 ・後輪ともに制動力を配分させ、さらに、レバー、ペダル双方の併用操作を行うことによって、 最大減速度を得るための理想的な前・後制動力配分特性に近い配分で制動が可能となり、制動時 の挙動変化を極力減少させることを目的に開発した画期的なものである。
このシステムは、制動時に前輪ブレーキ・キャリパー上部に設置したメカニカル・サーボ機構によって後輪への制動液圧を発生させるとともに、新開発のモーターサイクル用PCV (Proportional Control Valve)で、後輪への液圧を機械的に制御 し、3ポットキャリパーに液圧を伝達することで理想に近い制動力配分を行う、新しい概念に基 いたシステムである。また、前・後連動システムでありながら従来の前・後独立システムと同様 の操作方法を実現することによって、これまでのブレーキに慣れた人でも違和感なく操作できる システムとしている。
エンジンは、水冷・4サイクル・DOHC・直列4気筒・998ccを搭載し、常用頻度の高 い中・低回転域で力強い出力特性とするとともに、高回転域でも一層力強く余裕ある走りを実現。 さらにキャブレターにVPタイプを採用することによって、微妙なアクセル操作にも俊敏に応答 するレスポンス性を実現している。また、1軸2次バランサー等の採用によってエンジン振動を 軽減させ、クルージング時などで優れた快適性を実現している。
フレーム・足廻りは、しなやかさと剛性を高次元でバランスさせたスチール製ツインチューブ・ フレームを採用し、軽量・高剛性の大径(41mm)のカートリッジタイプのフロントフォー クや、スムーズな減衰力特性を発揮するダンパー構造を採用したプロリンク式リアサスペンショ ン、軽量の3本スポーク・アルミホイールなどとあいまって、快適な乗り心地を実現するととも に、各部品の徹底したマスの集中化によって優れた操縦性能を両立させている。
外観は、トータル・エアマネジメントを追求した空気低抗の少ないフルカバードデザインとし、 優れた空力バランスとするとともに、フラッシュサーフェス化されたフロントカウルとウインドスクリーンによって、風によるライダーの疲労を軽減させている。
またリア・グラブレールや、ツーリングなどに役立つ収納式荷掛けフックを左・右4箇所に装 備し、使い勝手の良いものとしている。
このように、CBR1000Fは、ビッグバイクならではの力強いエンジン特性や、シャープ で洗練されたスタイリング、さらに新開発の前・後輪連動ブレーキシステムの搭載や、徹底したマスの集中化などによって高性能で、優れた操縦性と快適性を追求した大型スポーツバイクとしている。
主要諸元
通称名 | CBR1000F |
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車名・型式 | ホンダSC31 |
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全長×全幅×全高(m) | 2.235×0.740×1.215 |
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軸距(m) | 1.505 |
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最低地上高(m) | 0.145 |
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シート高(m) | 0.780 |
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車両重量/乾燥重量(kg) | 273/249 |
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乗車定員(人) | 2 |
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燃料消費率(km/L)60km/h定地走行テスト値 | 22.0 |
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最小回転半径(m) | 3.5 |
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エンジン型式 | SC30E(水冷・4サイクル・DOHC・4バルブ・4気筒) |
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総排気量(cm3) | 998 |
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内径×行程(mm) | 77.0×53.6 |
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圧縮比 | 10.5 |
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最高出力(PS/rpm) | 93/9,000 |
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最大トルク(kgm/rpm) | 8.7/6,000 |
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キャブレター型式 | VP87 |
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始動方式 | セルフ式 |
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点火装置形式 | フル・トランジスタ式バッテリ点火 |
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潤滑方式 | 圧送飛沫併用式 |
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潤滑油容量(L) | 4.5 |
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燃料タンク容量(L) | 22.0 |
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クラッチ形式 | 湿式多板コイル・スプリング |
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変速機形式 | 常時噛合式5段リターン |
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変速比 | 1速 |
2.833 |
2速 |
1.941 |
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3速 |
1.500 |
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4速 |
1.217 |
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5速 |
1.040 |
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減速比(1次/2次) | 1.785/2.411 |
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キャスター(度)/トレール(mm) | 27°00′/110 |
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タイヤサイズ | 前 |
120/70R17 58V |
後 |
170/60R17 72V |
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ブレーキ形式 | 前 |
油圧式ダブル・ディスク |
後 |
油圧式ディスク |
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懸架方式 | 前 |
テレスコピック式 |
後 |
スイング・アーム式 |
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フレーム形式 | ダイヤモンド |