カスタムを愛するライダーが集う、
年に1度のイベントWheels and Waves inフランス
ツーリングスポットとして名高いフランス南西部のビアリッツで2024年6月12日~16日に開催されたイベントWheels and Waves(ホイールス・アンド・ウェーブス)。今年で開催13回目を迎えたこのイベントは、バイク、サーフィン、スケートボード、そして音楽やアートなどさまざまな趣味を愛する人びとが欧州中から集うカルチャーイベントです。
会場ではスプリントレース、ダートトラック、サンドレースなど、来場者によるバリエーション豊かなバイクレースが開催されたり、イベント会場を目指したツーリングが催されるなど、ライダー垂涎のコンテンツが盛りだくさん。
なかでもユニークな点は、イベントに参加するライダーが乗っているバイク、そして展示されているバイク、会場で目にするバイクのほとんどがカスタムされているということです。
ベースとなるバイクはビンテージバイクもあれば、比較的新しいバイクもあります。またカテゴリーもレーシングバイクからツーリングバイクなどさまざま。時代やジャンルを超えて、セルフビルドの精神を共有するライダーと、彼ら自慢のバイクが一堂に会しているのです。
ヨーロッパ各地のHondaが
カスタムデザインを競う
このイベントの一角に、色とりどりのカスタムバイクがずらりと並ぶエリアがあります。これはHonda Motor Europe (Hondaの欧州現地法人)が主催するカスタマイズコンテストにエントリーしたバイクたち。
Honda Motor Europeは、Hondaの現行車種をベースにしたカスタマイズコンテストを2020年から毎年開催しているのです。
今年のベース車両はCL500/250。2気筒エンジンを搭載したスクランブラースタイルで2023年に発売開始したばかりのバイクです。
コンテスト参加チームに与えられたミッションは、輝かしいHondaのこれまでの歩みやバイク文化が積み上げたヘリテッジからインスピレーションを得て、アイコニックな一台にするというもの。
今年は9カ国のHonda販売店やカスタムビルダーがエントリーし、Hondaの歴史のいちページやかけがえのない歴代のバイクシーンから、おのおのがリスペクトするレジェンダリーな車種や心に残るコンセプト、シーンをモチーフに唯一無二のバイクを仕上げました。
なんとこのコンテストは欧州だけでなく世界各国からオンラインで投票に参加することができるのです。
このコンテスト特設サイトでは、エントリーした各バイクの細部を動画と写真で見ることができます。ディテールに込められた作り手たちの想いに触れられます。
なお、投票はお気に入りのバイクを選んでVOTEボタンを押すだけ。会員登録などは不要です。締め切りは8月31日まで。優勝バイクは9月頃に発表になる見込みです。
懐かしいHonda、そしてバイクの歴史に想いを馳せつつ、是非お気に入りの一台を見つけて応援してみてください!
Honda カスタムコンテスト2024 エントリー車両
Enduro 500 (Spain)
ディーラーであるStilmotoが作りあげたバイクは、クラシカルなスペインのエンデューロバイク。タンクの塗装や、高いフロントマットガード、ヘッドライトカバー、ナンバーボード、マフラーなどの細部から、輝かしいエンデューロバイクの黄金時代を思い起こさせる。
Cherry Lady (Spain)
1990年代の伝説的なバイク、Honda 750のクラシカルなフォルムとロゴからインスピレーションを得たCherry Lady。このバイクの作り手はカスタマーとともにカスタムを長らく行ってきたHonda Motorsport Las Rozas de Madrid。さまざまなライダーのリクエストに応えてきた豊富な経験をもとに、マフラーや高級感漂うレザーシート、ミラーやタイヤなどに手を加え、Honda750の歴史あるブランドの姿を表現した。
CL501R (Spain)
アメリカで人気のフラットトラックレースのレーシングバイクのスタイルで仕上げた一台。リアガスショックアブソーバーとフロントフォークプラグは調整可能にし、またブレーキマスターシリンダー、フロントブレーキ、ラジエーター、チェーンガードなどを変更・装備。雰囲気たっぷりの見た目だけではなく、実際のレースで勝つことも想定した本格的な仕上がりに。
Moonground (Portugal)
無駄を省きミニマムにまとめたMoongroundの特徴はラッピングされたエキゾースト・ダウンパイプと、アグレッシブな印象のブロックタイヤ。どんな地形でも走行可能にすることを目指したこのバイクは、その名の通り月の地表も走行できるかも。
Oceans’ Track (France)
CL501R同様にアメリカのフラットトラックレースをモチーフにしながら、スタントバイクの要素も混ぜ込んだオリジナルの一台。真っ赤なフレームとツインLEDプロジェクターヘッドライト、バーエンドミラー付きのスイングアーム、そして大きな角度で持ち上がったマフラーがユニーク。
CL500 Digger (France)
中古バイク販売や修理を行っているChave Motosが手掛けたこのバイクは、1989年代のバイク、Honda XLとHonda XRをオマージュ。高いフロントマットガード、ヘッドライトバイザー、ナックルガード、レトロなテールユニットなどをあしらい、一目でオフロードスタイルとわかるアレンジに。
CL500 Charade Spirit (France)
フラットトラックレースにヒントを得つつ、オフロードシックなフォルムにした車体を、Hondaを代表するクラシックなカラーリングであるトリコロールでまとめた一台。品格あふれるトリコロールのペイントと、ワイルドさを演出する高いフロントマットガード、ブロックタイヤ、シングルエキゾーストマフラーのコンビネーションがマッチ。
Bik’ink (France)
1970年代のストリートスクランブラーの雰囲気をまとったこのバイクは、素朴な印象のメタリックシルバーに、オレンジとチェリーレッドのペイントが輝き印象的に。付け替えたリアサスペンションと、シングルエグゾーストマフラーがカリフォルニアスタイルを演出している。
Irezumi (France)
タンクとフロントマットガードに施された精巧なアートワークが圧倒的な存在を放つIruzumi。ほかにもミニマムにまとめられたリアエンド、タンカラーのシートなどが個性を主張している。
The Poseidon Project (UK)
ロンドン南部を拠点とするDoble Motorcycleは、海の生態系保護への強い関心から、海の力強さと美しさを一台のバイクで表現した。オーシャンブルーでペイントされたフレームとコンポーネント、白波をほうふつとさせる燃料タンクとサイドパネルへのエアブラシによるペイント、そして航海する船をイメージしたカスタムシートが特徴。
Sterrato 500 (Italy)
イタリア語で「ダートロード」を意味するSterrato。Hondaの歴代の車種からインスピレーションを得ながら、Honda純正のアクセサリーと選び抜いたパーツを用いてどこまでCL500のオフロード性能を高められるか挑戦した一台。
Terra Battuta 500 (Italy)
CL500を長距離旅行のパートナーとなる多用途で積載量を確保したスタイリッシュなオールラウンダーのバイクへと進化させた、欲張りなカスタム。ロードでの道中を楽しく快適に過ごすために、アルミニウムのフロントマットガードやエンジンバー、ラゲッジキャリア、高いスクリーンを装備。なかでもユニークなのが、ラゲッジラックに取り付けられたスケートボード。
CL Surfer (Germany)
Wheels and Wavesの開催地が美しいビリアッツのビーチであることにインスピレーションを得て作られたバイク。リラックスしたサーフスポットをイメージし、くつろいだムード漂うメタリックシルバーにブルーのストライプがポイントの燃料タンクとマットガード、そしてブラウンレザーの小さなベンチシートをあしらった。
Flat Track 500 (Belgium)
ベルギーからの初となるコンテストエントリー。アメリカのフラットトラックレースにインスパイアをうけ、レースマシンならではのそぎ落とされた機能美を再現した。特徴はカンチレバーのスイングアームと、名高いオーリンズのリアショック、ストレートハンドルバー、そしてローダウンされたエグゾーストパイプとマフラー。
Alpina 500 (Switzerland)
カスタムスタジオであるMeister EngineeringとスイスのHonda Motoがタッグを組んで作ったバイクは、スイスのHondaの50周年を祝う一台に。グローバルなHondaの伝統を色濃く残しつつ、ヨーロッパの美しい国々のエッセンスを盛り込んだ。CBシリーズをオマージュした燃料タンクと、シンプルなフレーム、ミニマムなベンチシートなど、ディテールに他者と一線を画したセンスがにじみ出る。
Bunker imPrint (Turkey)
トルコからのエントリーも今年が初。このチームのみベース車両はトルコで市販されているCL250。ガラス繊維強化ナイロンFDM 3Dという素材によるハーフフェアリング、サイドパネル、アンダーカウルを大胆に取り付け、レトロな雰囲気を醸し出すカフェレーサースタイルを、見事に現代的にアップデートした一台に仕上げた。